台風一過と言えば、暴風雨や波浪の後の、澄み切った青空を表現し、それは一難去った後の好転を意味するのだが、時として台風はひどい置き土産を残していく。
これは、普段週末Rickと散歩に出かける近くの海岸。
【写真↓:いままでコンクリートブロックは、出ていない。】
【写真↓:普段は、コンクリートブロックの数メートル上まで砂利の山となっていた。ということは、その砂利が海に戻され、平らになってブロックが出てきていしまったということ。恐ろしい波浪のパワーである。】
【写真↓:遠くまで続く流木などの帯】
【写真↓:人間の力では動かすこともできない大木も】
【写真↓:Rickもあきれ果てているのか。】
【写真↓:こんな物がいつもは海底に沈んでいる。】
【写真↓:中には家に持ち帰ってオブジェに、と思っても、クレーンとトラックが必要。】
本来は、砂利浜で、白砂とは言いがたい海岸線ではあるが、それでもゴミはあまり落ちていないRickとの快適な散歩コースである。
しかし、台風が去った後は、いつもこんな状態。
いわゆるふだん海底に沈んでいる木切れや藁、また、プラスチック系統のゴミなどが高波により浜へ打ち上げられるのだ。
木切れとはいっても、人の力では到底持ち上げられないような大木も打ち上げられている。
こんなものがいつも海底に沈んでいるのかと不思議な気もするが、東日本震災の津波ではないが、その大木をいとも簡単に打ち上げる波の力の凄さにも驚かされる。
ところで、これらの写真は、台風が過ぎたあと2週間ほどたったもの。
このまま自然に朽ちるまで、あるいは飛散するのを待つだけか・・・。
同じように牧之原市の静波海岸にも大量の流木が打ち上げられたが、こちらは、海水浴場でもあるため、早々に除去したようだ。
しかし、こちらの海岸はおそらく国の管轄だと思うが、利用目的も無く単なる海岸。
したがって、緊急の予算化はできないのかもしれない。
年度末の予算が何とか工面できそうだとハッキリしてからようやく、除去作業を行うのかもしれない。その間相当期間このままの状態だ。
ここは、結構散歩や磯釣りをする人たちが足を運ぶ場所。
白砂ではなく砂利海岸で家族向けではないが、海岸線からは富士山が見え、景観はいい。
そこにこの大量の流木は、少し残念な気がする。
また、この流木がこのまま海に戻るとなると、海岸線で行うしらす網漁など漁業への影響も出るだろう。
普段でさえ海底の流木は漁業に損害を与えている。
この際ちょうど打ち上げられた流木の除去は、必要ではないのだろうか。
そもそもこの流木や藁などはどこから海に流れ海底に沈んでいるのかというと、その運び屋は川である。
この海岸の横には、大井川が流れ、海岸線は河口の一部である。
この流木の大半は、大井川の途中の中州に生えていた柳などの木々。それらが、大雨などで川が増水した時に、根ごと流されてしまうのだ。
また、稲藁は、田んぼでコンバインで稲を刈り取るとき籾の部分と稲穂の部分にその場で分離され、穂の部分は即裁断され田んぼに戻される。
この戻された切り藁が、大雨で近くの水路、小さい河川に流され、流れ流れて海に着くのだ。
ただし、人の手に負えないような大木は、大井川のどこから発生したものなのだろうか?
途中には、ダムがあり、そのまま海まで流れ着くとは思えない。
しかし、明らかに自然木である。
静岡県は、県民税の他に目的税として森づくり県民税という税金を県民税に上乗せし集めている。
一人年間400円、法人には1000円のようだ。
この年間集まる税金は、約10億円ほど。
この森づくり県民税は、森林の手入れが行き届かず、「森の力」が失われて、県民の生活に様々な悪影響を及ぼすことが懸念されるので、荒廃した森林(人工林、竹林、広葉樹林)の整備に使うとのことだ。
実際、川の上流の森の力が衰えることは、土砂災害が起こり易い山林となり、また、保水力がないために鉄砲水が発生するなど、様々な災害につながる。
そして、海岸に流れ着いた流木は、まさにこれらの影響で崩れ落ちた土砂とともに川に流れ込んだ木々である。
またダムによる発電のための取水制限で、流水量が減った川の所々に中州が生じている。
そこに草木が生え、大雨とともにそれが流される。
またしばらくすると中洲ができそこに木々が生え、また大雨で流されるという繰り返しでもある。
これでは、最終流末の海には、上流からの厄介者が流れ込む一方である。
ということは、海の流木を考える場合、上流、山林の環境が改善されないことには解決しない。
森の力を高めるための森作り県民税は、静岡県山間部の環境改善のためだけならず、海岸部の環境改善にもつながるものであると考えられる。
ただし、税金を納めている海岸部の住民にとって、山間部への税金の投入は、結果として自分達地域にも恩恵を与えるものであるとは、なかなか考えにくい。
税金が目に見える形で使われているのを見て初めて私の税金が利用されているんだと思う。
だから、こんな海岸のすさんだ状況を見ると、森作り県民税がこんなところに使われれば、海岸地域の住民の納税の理解も十分に得られるのではないだろうか・・・。
なんだかんだといったが、要は、Rickとの散歩コースがしばらく難所となり困ったということ。
この大量の流木の間をジグザグに歩くとなると、距離はいつもの倍以上になる。
それでなくても足元がそろそろおぼつかなくなったRickは、途中またげそうも無いようなところの前で立ち止まってしまう。
また、流木にはいろんな匂いがしみているのだろう。
数メートル歩いては匂いをかぐ、また数メートル進んでは、という繰り返しで、時間も倍以上となる。
今まで快適な散策コースだったのが、時間と距離がかかる険しいものとなってしまった。
これがいつまで続くのか・・・。