愛欲の強さ、したたかさ。自己顕示欲の根強さ、したたかさ。煩悩の重さ、したたかさ。愛着の粘り強さ、したたかさ。苦しい。
苦しい地獄を彷徨いながら、なおも愛欲へ走る。自己顕示を謀る。それが引いては、頑強な生きるエネルギーになっていることもある。
わたし一個を満足させるために、わたしへの奉仕が生涯に亘って続く。
ときどき惑溺のわたしから逃れ出てみたい。肩の荷物を下ろして軽くなりたい。愛欲を捨てて、自己顕示欲を捨てて、蝶のように軽く軽くなりたい。
死はそれを果たしてくれる。やがて、それを果たすために死がわたしに訪れて来る。わたしは軽くなって蝶の魂になる。飛び回る。