裸で湯に入る。露天風呂へ。光が水底に射している。きらきら眩しい。十郎の肌は白い。日に当たらない脚の腿はいっそう白い。白が薄いピンクに見える。血管が走っている。太い血管は青いが、毛細血管は薄赤い。
で、ちっと感動しちまった。何故? ああ、この毛細血管に赤い血が流れているんだと思って。ずっとずっと流れていてくれてたんだ。それで十郎がこうして生きていることができていたんだ、と、そう思ってふっと。そんなことには目もくれずに過ごしていた。無視をしていたわけではなかったのだが、感謝の思いも捧げたことはなかったのである。