雨の音。と、と、と、すととん。屋根の雨樋を零れてベランダのスレートあたりに落ちている。音量音質から推察するに、そうそうたいした雨ではないらしい。霧雨の類だろう。春の春雨というところ。夜明けの５時半をやや過ぎている。障子戸がうっすら明るい。まだやり残している農作業がある。タイガーメロン2株と、生で食べられる黄色カボチャ1株と、ズッキーニ2株と、ヒマワリ苗2株をまだ植え付けていない。畑にそのままほっぽり出しているから、気持ちよく雨に濡れているだろう。雨が上がれば畑に出ていくとしよう。ヒマワリ苗はもちろん庭に植える。ナイトウェアを着ないで下着だけで寝ていたら寒い。掛け布団も薄いのにしていたから。押し入れからナイトウェアを取り出して慌てて着込んだ。コチコチコチコチ柱時計の秒針が刻む音がやけに大きく聞こえる。家族がそろそろ起き出して来る時間だろう。老夫婦は気ままな別室別居暮らし状態。いつ起きてもいい。いつ明かりを付けてもいい。いつラジオを聞いてもいい。迷惑が掛からない。
北朝鮮の動きが毎日の世界ニュースのトップだ、このところずっと。世界が緊張を強いられる。とりわけ周辺諸国が。核実験強行だの核弾頭発射実験だの、テポドン打ち上げだの、軍事演習だのと国威発揚の威嚇デモンストレーションを繰り返す。アメリカの軍艦カールビンソンが半島近海に待機して迎撃準備を整える。米軍の超大型潜水艦が釜山に入港する。危ない危ない。戦争に勝者はいない。双方に壊滅的被害が拡がるだけだ。核戦争が拡大すれば人類滅亡は避けられないだろう。魔の25日が過ぎた。戦争突入の臨時ニュースを聞かずに済んだ。ほっとしている。日本列島各地には米軍基地がある。これがすぐさま標的にされるだろう。幾つもある原子力発電所を攻撃されたら日本の安全は潰える。平和を維持して来た国日本がいつのまにか危険と隣り合わせを強いられている。
今日の平和を噛みしめる。朝の平和を噛みしめる。
