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42 ~世界を変えた男~

2013-11-06 | 映画 は行
公開されたら絶対見たいと思っていた作品、公開初日ティッシュを準備して見てきました。
予想通り、4回ほど涙が頬をつたいました。

泣くのは悲しい時や辛い時ではなく、悲しい時辛い時に優しい言葉をかけられた時。
そういうシーンを見た時は涙が出ちゃうんだよねぇ

有色人種を意味する「カラード colored」という言葉。80年代に一度耳にしたことがあります。
スリランカ人の友人が「(アメリカで)アパートを探すのは大変なんだ。僕はカラードだから」と
言ったのです。表立った差別を感じたことはありませんでしたが、その時「あぁ、私もカラードなんだな」
と、初めて自分の人種というものを意識しました。


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          42 ~世界を変えた男~

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アメリカの全球団が永久欠番にしている背番号42。
黒人初のメジャーリーガーとなった英雄ジャッキー・ロビンソンの伝記映画です。
毎年4月15日には、全チームの選手が42の背番号を付けてプレーするそうです。
今までジャッキー・ロビンソン選手のこと、全く知りませんでした。

 < ストーリー >
1945年、ブルックリン・ドジャース(ロサンゼルス・ドジャースの前身)のゼネラルマネージャー
ブランチ・リッキーは、周囲の反対をよそに黒人選手をチームに向かえる決心をする。
ニグロリーグで活躍していたジャッキー・ロビンソンと契約し、3Aのモントリオール・ロイヤルズを経て
1947年ドジャーズに入団させる。当時は黒人差別が激しく、メジャーリーグは白人のみ。
彼の入団はアメリカ中に大きな波紋を巻き起こす。他球団の監督、選手のみならず、味方の
チームメイトやファンからも差別を受け孤独な闘いを強いられるが、じっと耐えプレーをする
ジャッキーの姿にチームメイトの態度が変わってゆき・・・。

久しぶりの、爽やかな感動を呼ぶドラマです 
フランク・キャプラ監督の「スミス都へ行く 1946」とか「素晴らしき哉、人生 1939」
「ポケット一杯の幸せ 1961」のような雰囲気を持つ、誰もが感動する作品です。
伝記映画なのでストーリーの大筋はわかっているのですが、それでも感動し涙するのは
ロビンソンやGMブランチ・リッキー氏が信念の人だからでしょう。

戦後すぐ、人種分離政策が当たり前だった時代。
白人しか入れないと思われていたメジャーリークのチームに黒人が入団するということが
どれほど衝撃的だったのか?は想像に難くない。法(law)が許しても慣習(code)が許さないと。
    
                 記者に取り囲まれるロビンソン

何故黒人を入れるのか?という問いに、「黒人の観客が押し寄せる。これはマーケティングだ。
金には白も黒もない。ドル札は緑だ」とドライに答えるリッキー。
後でわかることですが、他にも理由が・・・泣かせるなぁ。


        GMのブランチ・リッキーを演じるハリソン・フォードです。わかります~?

リッキーに意見を求められた監督は「優秀な選手なら問題ない。役に立たなければ実の弟でも
追い出すだけだ」というリベラルな意見。
しか~し、当然のことながら世間の風は非常に厳しい。
そんなことを見込んだ上で、ロビンソンに白羽の矢を立てたリッキーは二つのアドバイスをする。
 ・Be a gentleman. 紳士たれ。
 ・Be a good baseball player. 良い選手であれ。
怒りに任せて軽率な行動をするな。手を出したら潰される。
そして、野球選手としての実力があれば、みんないずれ認めざるを得なくなると。
ここらあたりがアメリカ社会の厳しさであり、フェアなところね。

ハリソン・フォード演じるGMのリッキーの言葉が良いんです
「フィラデルフィア」の語源はギリシャ語で「兄弟愛」だとか、
「同情」を意味する「sympathy」は「痛みを分かち合うこと」だなど、心に響く言葉です。

果敢にも黒人選手を入団させ、彼を支えたGMブランチ・リッキー。
そんな彼の期待に応え、世間のひどい対応に・挑発に・罵倒に耐え、ひたすら野球に打ち込んだ
ロビンソン。先駆者はいばらの道やね。
彼を支える妻や黒人記者。次第に態度を変え、仲間として受け入れていくチームメイト。
彼の姿を見て野球選手に憧れる黒人少年たち。
「叩けよ、さらば開かれん!」 ええ話で涙がこぼれ落ちましたがな

今でこそ多くの日本人選手がメジャーリーグで活躍していますが、
ロビンソンあっての、野茂。野茂あってのイチロー、松井、ダルビッシュに今季の上原。
マー君も行くのかなぁ~? 

 
               
                    本物のロビンソンとリッキー

たかが野球、されど野球。
彼の活躍は黒人選手にメジャーリーグへの門戸を開き、1950年に始まる公民権運動へも
影響があったのではないでしょうか?
「差別はいかん」と時間をかけて説くよりも、この映画を見せる方が教育的だと思いました。

テロ事件が影を落としたボストンに明るい話題をもたらしたレッド・ソックス。
東北被災地の方々に歓喜をもたらした楽天ゴールデン・イーグルス。
スポーツには社会を明るく変える力がある





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ハンカチはいりますね (風子)
2013-11-10 11:25:25
ひたすら耐えぬく姿を見て、変わっていく周囲がよかったですね。
主人公が優しい言葉をかけてもらうと、見ているほうもありがとうと言う気持ちになりました。
Unknown (風子さんへ(ryoko))
2013-11-10 21:59:36
じっと耐え、黙々と野球に打ち込む姿。
心ある人ならあの罵声は耐え難く、どちらが人として尊敬できるかを思えば、自ずと彼に手を差し伸べることになりますよね。
そんな優しい言葉や態度に、涙がこぼれましたね。
イソップの「北風と太陽」のように、相手を無理やり変えようとしても難しいですね。
「泣くまで待とうホトトギス」。
Unknown (wadatsumihirohime)
2013-11-15 22:35:45
はじめまして。
私も観に行きました。
黒人の選手、今はたくさんいますが、初めてという
のは、想像以上に抵抗があるんですね><;
なんでも、はじまりを受け持って、道をつける人
というのは、ものすごい勇気と苦労が必要
なんだな~って思いました。
Unknown (wadatsumihirohimeさんへ(ryoko))
2013-11-23 02:35:55
初めまして。
コメントありがとうございます。
人種問題は難しいですね。
孤軍奮闘するロビンソン。
当時の状況を考えると、とてつもない勇気と忍耐力、強い心の持ち主だなぁとただただ脱帽ですね。

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