トラ・イアン・グルの部屋

シニア街道をゆっくり散歩中
本読んで
映画観て
時々おでかけの記録も
仙台在住で大の阪神ファン

うつくしが丘の不幸の家 町田そのこ

2021-10-28 15:03:42 | 本 2021年
うつくしが丘にある一軒の家
そこに代々住む人の人間模様

第一章 おわりの家

美保理

夫婦で床屋を新装開店するため
うつくしが丘に家を購入し越してきた

夫の名は譲
代々の理容師で
美保理は好きになった男のために
結構歳がいってから理容師を目指した

この時点でこの家は築25年

オープンを二日後に控え
近所の人から
「ここが不幸の家と呼ばれていることを
知っていて買われたの?」
と心ない言葉

リフォーム業者からは
庭にある枇杷の木が縁起が悪いと言われる

落ち込む美保理を助けたのは
隣に住む老母

枇杷の木を自分で切ろうとしているところに
その木のすばらしさを話してくれる

それに不幸の家なんて噂は聞いたことがない
そう言った女性に心当たりがある
あの人は舌の教育を受けていない方なのよねと

老母と話すことで気持ちが軽くなり
悩んでいたいろんなことが
いい方向に向かっていく

第二章 ままごとの家

多賀子

家のローンのために
パートと節約に励む生活

うつくしが丘はバスしか交通手段がなく
移動も大変
車通勤の夫はその苦労を知らない

知人から夫の浮気を教えられる

高校生の息子が女性を妊娠させる

夫は息子が大学を卒業するまで
自宅で相手の女性と子供含めて
面倒みると言い出す

長女は高校卒業後の進路について
父親と対立
家を出ていた

家族がバラバラになってしまったのは
この家に引っ越してきたからだと多賀子は思う

その後息子は高校卒業するまでは面倒みてくれと
その後は家を出て働いて二人で子供を育てることに

夫は女と別れ

長女は舞台女優として頑張っていた

そして多賀子夫婦は
家を出て二人だけの生活にふさわしい
小さな一軒家に引っ越すことに

第三章 さなぎの家

叶枝

キャバクラで働いていたが
結婚詐欺に遭い
職も貯金も失う

助けてくれたのは先輩の女性
一年と言う約束でこの家を借りる

そこで高校の同級生でバツイチ
介護職の紫(ゆかり)
その娘響子と同居

叶枝はギフトセンターでの仕事はうまくいかず

紫の元夫が怒鳴り込んできたリ
(この男がとんでもないヤツ)

でも助けてくれる人はいた

退去の約束の一年が経ち
家を出て
紫と叶枝は別々に暮らすことになる

叶枝はキャバクラ時代に勉強したワインの知識が幸いして
スーパーのワイン売り場を任されることになった

紫は職場に近いアパートに越す
そこには響子の仲良しの子も住んでいる

第四章 夢喰いの家

夫 忠清 妻 蝶子

男性不妊で治療中

この蝶子が前章で二人に家を貸した先輩

なかなか妊娠しない
辛いのは女性

その大変さを見て
離婚しようと言い出す忠清

蝶子はこっそり家を出て行った

隣に住む老母 
名は荒木道子

彼女は子供ができない体で
夫の子供をこの世に誕生させようと
ほかの女性との関係を勧める

そして産まれたのが幸太郎

子供だけ引取り
女性は去って行った

その幸太郎が今度は
忠清と同じ男性不妊

お互いの身の上を知り
悩みを打ち明けあう二人

もう一度蝶子とやり直す気になった忠清

一年間はまた不妊治療を続けることになり
その間は親と同居することに

それが前章の期限付き借家ということ

第五章 しあわせの家

真尋まひろ

バツイチ男の子ありの
どうしようもない男健斗と
新しい三階建ての白壁の家で同棲中

前妻は愛想を尽かして家を出て行ったため
祖母が子供の面倒を見ていたが
急逝したので
それで真尋と同棲始めたのかなあと

でも真尋は素敵な家に住むのがうれしくて
了承したのだな

真尋は幼い頃
古臭い家に住んでいたので
家に対するあこがれがあったのだ

父親が自分と妻を置いて
好きな女性とかけおち

その父親が亡くなったとの知らせ

真尋は父親に捨てられたと思っていたのに
毎月真尋名義の通帳に預金してくれていた

今だったら通帳作れないかも

そして健斗が突然姿を消す

惣一は前妻の元へ
その前に庭に枇杷の木を植える

友人のユズくんが苗をくれたのだ

エピローグ

第一章の美保理の店に
二十四年前にここに住んでいたという男性が
訪ねてくる

枇杷の木大きくなりましたねえと

それは惣一の未来の姿
そしてユズは


全部逆からの話
最初の話が家の最後で
最後の話が家の最初


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ばにらさま 山本文緒

2021-10-16 14:13:02 | 本 2021年
ばにらさま

表紙に描かれている女の子のイメージのばにらさま

うなじから二の腕の内側までバニラアイスクリームのように白い
そして細い
名前は瑞希

そんな彼女が付き合っているのは
デブで汗っかきの広志

彼女が下心いっぱいで近づいてきたことを
彼は瑞希のネット上の日記を
偶然見つけたことで知ってしまう

そして広志の方は中学高校で一緒だった高明というツレがいて
ばにらさまと別れることになったことを報告したら
ばーか女なんかとつきあうからだよ
なんて言われている

あれ?そういう関係?


わたしは大丈夫

ちょっと騙された感あり

夫に浮気されているのかと思いきや
その浮気体験は今の妻の過去で
別れた前妻と子供に
慰謝料を月25万も払っているんだと

後妻は自殺未遂的な薬物中毒の後遺症で
働くことができなくなったため
夫の給料だけで超節約して生活している

義母はその事を知っているのだろうか

菓子苑

この話も作者に騙されたって感じ

友人同士かと思っていたら
実は母娘だったと
若い頃に産んだ娘
わがままですぐにキレる

なんでそんな子に振り回されて
ずっと付き合っているんだろう
離れればいいじゃないかと思っていたら
実は・・・という訳だ

母は舞子
娘は胡桃

若くして結婚し胡桃を産んで
舞子のわがままで夫と離婚
成長しないまま母になった感じ

そして胡桃も妊娠して結婚することになった
同じ道を歩みそうな予感

どうして菓子苑と言う題なんだっけ?

バヨリン心中

近未来の話

浜名湖に大小合わせて五つの人工島が造られ
老人用の島も三島ある

そこに住んでいる祖母の過去の恋愛話

ヴァイオリン奏者のポーランドの男性と結婚した祖母

しかし東日本大震災をきっかけに
日本に妻子を置いて母国に帰ってしまう

この国は危険だ一緒に帰ろうと言ってくれたのに

ポーランドってチェルノブイリの近く

20×20

これは原稿用紙の文字数

主人公は作家の女性
高原の町にリゾートマンションを買い
そこで仕事をしている

一人息子は地方の大学

夫は東京

リゾートマンション内での人間関係が少し

子供おばさん

40代後半で亡くなった友人から
犬を遺贈された

それもゴールデンレトリバー

そのために今の仕事もやめ
武蔵野市に移り住む

友人が不倫相手から手切れ金代わりに
買ってもらったというテラスハウス

パートの仕事をしながら
犬の面倒みる生活

日常に倦むことはないって

何も成し遂げた実感のないまま
何もかも中途半端のまま
大人になりきれず
幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま
確実に死ぬ日まで

なんだかなあ
友人亡くなった時は
もうそんなに親しくはなかったようなのに

やっぱり子供おばさんかなあ

犬が何歳の時に引き取ったか知らないけど
寿命はそんなに長くないよ

犬のために今までの生活全部捨てて
まあ健康的な生活の様ではあるけど
自分もいつどうなるかわからないのに
思い切ったことをするもんだ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする