いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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自治権改革と司法。 innovation of autonomy and the judicature

2016-05-24 20:06:53 | 日記
 (1)米軍関係者による沖縄女性殺害事件を受けて23日に官邸で安倍首相と翁長知事が会談した。報道によると10分程度の短いものだったが、翁長知事は終始政府対応への不信感を募らせて直接オバマ大統領と話す機会を要求したといわれる。

 象徴的な言葉に「綱紀粛正や徹底した再発防止はこの数十年間で何百回と聞いたが、現状は何も変わっていない」(報道)という政府批判だ。
 翁長知事が安倍首相に対して直接オバマ大統領と話す機会を求めたことは、一国の首相に対して極めて非礼で失礼な物言いで政府と沖縄の関係事態をさらに悪化させるだけのもので、これで沖縄問題は当事者同士で解決する能力を失ったと見るべきだろう。

 (2)最近の地方自治体における直接住民投票による政治課題の解決方法の台頭を示す翁長流の政府への直訴のようにも映るし、沖縄問題も含めてトコトン政府とは全面対決する意思を示した計算づくの発信のようにも見える。

 しかし今回の冒頭の事件でも政府と米軍の受け取り方は同様事件が起きた時と同じステレオタイプな対応であり、翁長知事のこれまで何百回も聞いてきたことのくり返しのむなしさが取らせた、政府頭ごなしでのオバマ大統領との直接対話要請だったのだろう。

 (3)安倍首相がG7サミットで来日するオバマ大統領に直接実効性のある対策を求めると述べているが、たしかに空虚でそれこそ実効性など見えない返事にしか聞こえないものだ。

 そこでどう解決するのか考えどころである。冒頭の事件は現役軍人ではなく退役して沖縄米軍基地でインターネット事業を展開する軍関係者ということで、日本の司法が直接身柄を拘束して取り調べを行っており、日本の裁判で判決を言い渡され責任を問うことになる(地位協定では米軍人の裁判は米国に優先権がある)。

 (4)日本の司法には翁長知事が何百回と聞いてきたという米軍がこれまで約束してきた綱紀粛正や再発防止策について、これまでの実効性について有効なものだったのかの判断を示してもらいたい。

 つまり政府と沖縄の当事者間で沖縄問題を解決することが不可能な関係の中で、頼るのは日本の司法しかないということだ。辺野古移設問題でも司法の調停で政府と沖縄が話し合う土台を示して、双方がこれを受け入れて協議することが決定している。

 (5)沖縄問題は米国、米軍と日本政府との外交、防衛上の問題ではあるが、極めて日本の主権の及ぶ「日本国内」の問題であり、当事者解決能力がない現状では司法の判断が重要な意味を持つことになる。

 今回の翁長知事の要請に対して同席した菅官房長官は記者会見で「安全保障や外交に関することは中央政府間で協議されるべきだ」(報道)とありきたりの発言を平然と述べているように、政府には沖縄問題を責任を持って解決しようなどとは考えてもいないことが見て取れる。

 (6)政府、菅官房長官の考え方は古い政治感覚、意識のままのもので、地方政治で起きている政治に期待しない、できない住民自治、住民投票による直接的な生活、社会規律、問題解決方法論(methodology)の台頭とは格差のあるものだ。

 都市一極集中のなかで地方の過疎化は深刻化しているが、地方の余ったインフラ資本を活用した企業の経営形態改革に住民の直接政治参加で意思を反映する地方の自治権改革(innovation of autonomy)など変革の機運はある。

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