亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

メインシナリオ「FRB複数回利上げ見通し」の後退がもたらすセンチメントの変化

2016年06月20日 22時33分39秒 | 金市場

6月15日のFOMC(連邦公開市場委員会)終了以降、その予想外にハト派的内容で利上げ観測が急速に後退したことが、市場センチメントを変えている。

17日は米国の5月の住宅着工件数が発表され116万4000件と市場予想の115万件を上回った。一方、先行きを示す建設許可件数は113万8000件と市場予想の114万5000件を下回った。市場は許可件数を重視する。ただし、この指標も、いまや当面の利上げ見通しには決着がついたことから関心は薄れている。

今週は明日21日に上院、22日に下院にてイエレン議長の年2回の金融政策に関する議会証言が予定されている。こちらも今や注目度は低下した。発言内容は先週のFOMCに準じたものになると思われることによる。旧ハンフリーホーキンス法にもとづく議会証言は通常7月だが、今回は議会側の要請で早まったようだ。これもFOMCの結果が違っていれば、何ゆえ早まったのか・・・と様々な憶測を呼んでいただろう。

足元の金市場のみならず金融市場全般が、英国の国民投票の見通しの変化でリスク・オフの度合いが変化している。FOMCの結果が、あれほどハト派に傾いていなければ、英国のEU残留が決まったなら、早期利上げ観測が一気に高まっただろう。しかし、その傾向が弱まることになった。FRBが米国経済(および米国に影響を及ぼす世界経済)の力強さに疑問を持ち始めているからだ。従来の慎重派(ハト派)の言い分が正しいのではないか・・・と再考するタカ派の委員が増えているようだ。

ただし、足元の金市場は週末発表のCFTC(米商品先物取引委員会)発表のファンドの買い残が、再び過去最高規模を突破するところまで膨れ上がっていることが判明しており、英国残留見通しの高まりで売られやすくなっている。先週、「来週にかけて高値追い」としたが、客観的に判断するにジョー・コックス議員の悲劇を受けた世論の揺れが、金のみならず金融市場全体の流れに影響しているようだ。





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