亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

巻き戻しは金融の世界に限ったことではないわけで

2016年01月25日 22時40分52秒 | トピック

先週末の2営業日に急反発で大幅高になったWTI原油。ショートを大量に抱えていただけに、やっとショートカバーの自律的反発が見られたというところ。ショートが記録的水準まで膨れ上がり、それが巻き戻されるのは“金融的側面”からの動きだが、今回の原油相場には産油国間の“チキン・レース”という需給バランスの崩れが根幹にあるので、この程度で底打ちしたとの展開は考えにくいのではないかと思う。この辺りは1月14日にここに書かせてもらった。

やはり何か象徴的な出来事が起こることによりようやくあく抜けし、反転が見られるのではないだろうか。そのあく抜けになる何かが起きる前に、もう一段の下値トライという展開もシナリオの一つかも知れない。そして“何か”とは、クレジットに関連するものとなるのではないだろうか。昨日の日経朝刊の一面には、「原油の下落を理由に世界の景気が後退したことは過去にない」という引用があったが、政治的要因(≒地政学要因)をも背景とした合理性を欠いた低価格の長期化は何らかの行き詰まりを経て景気に影響を及ぼすのではないだろうか。

そういえば、同じ昨日の日経一面の日本郵船の10-12月期の経常益が4割減というものも目に付いた。輸送関係各社はエネルギーコストの低下は追い風であって4-9月期までは円安も手伝い増益を確保していたと。しかし暗転する。以前から関心を向けているデータに石炭や鉄鉱石などを運ぶバラ積み船の運賃を示す「バルチック海運指数」がある。船賃は荷動きを表すことから世界景気の現況や先行きをみる参考指標の一つだが、こちらも年始からCRB指数同様に最低値の更新をしている。否、連日の過去最低値の更新ゆえにCRBより悪いともいえよう。新興国需要を当て込んで、新造船ラッシュがあったのを記憶しているが、これもある種のバブルの崩壊ということだろう。年始には米国の鉄道貨物輸送が落ちているというニュースもあった。

いろいろな業態でここまでの新興国ブームの反動ともいえる逆回転が起きているということか。巻き戻しは、金融の世界に限ったことではないわけで。


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