亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

感応度の下がった?金

2012年12月26日 23時56分21秒 | 金市場
なにゆえ追加の量的緩和策に金市場は反応しなかったのか?・・・・というよりも、超緩和策に対し金市場の感応度が落ちてしまったのは何故か?ということを考えていた。

年末という季節要因と年明けにインカム、キャピタル・ゲイン双方の税率が上がる可能性が高まったことによる駆け込み売却。さらに崖転落のリスクを回避(オフ)という要素も乗ったファンドの売りの嵐が結果的に緩和策による押し上げ効果を上回ったということか。そうならば嵐の過ぎるのを待てば、浮上することになる。濡れた薪が積み上げられており、それらが乾燥し始めると、懸念は自ずと高まるというわけだ。

ないしは通貨のばら撒きにもかかわらず、当初懸念されたインフレの兆しは見えないばかりか、デフレ的様相の中でばら撒きの弊害に対する警戒感自体が薄れていることが価格を抑えているのか。・・・・というよりは、グローバル化など構造変化が人件費を含む物価の上昇を抑えており、そうした環境が感応度の下げにつながったのか。

はたまた単なる政治的駆け引きの谷間の一過性の出来事か。

以前からのイメージは、金とは導火線のながぁ~~~~い打ち上げ花火ということ。需給的にもスクラップ(リサイクル)の存在など(他では考えられない量の)価格抑制要因はあるが、いかんせん紙(紙幣および有価証券)がどんどん刷られる世の中にあって絶対量の少なさは明らか。この紙の洪水が日常になり皆慣れが出ているが、“紙”自体は約束(コミットメント)で成り立っており、その約束自体の心もとなさが意識されるにしたがい、実物資産の雄たる金への資金移動が始まると煙が立ち始め、やがて点火・・・・始めチロチロなかパッパ・・。ショーの始まり。

実物資産とは、触ることのできる資産。ゆえに金は情緒的側面を持つ。情緒とはセンチメント。見渡せば、“紙”の世界もいまや“情緒”に主導される世の中。ドラギが私を信じなさい!!と訴えたところからユーロに落ち着きが出た。コンフィデンス(信任)がいつまでもつか不明だが、浮足立っていたセンチメントは徐々に落ち着きを取り戻した。同じセンチメントなら、紙より形あるものを。紙はすでにたくさん保有されているし。また“紙”は理屈で適正価格が割り出せるが、金は割り出せないゆえにセンチメントの盛り上がりが、何をもたらすか不明。それを嫌うか面白いと思うか・・・。

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