痛みの増幅と活性酸素:なぜ痛みは強くなる?
2013年10月8日/カテゴリ: facebook, 水素の効果 /作成者: 辻クリニック
京都府立医大から出されているこの論文は、「痛みの感知」に関する大変興味深い論文です。
この論文では、痛みの感知閾値と活性酸素には大きな関連があることを示しています。活性酸素の発生源は外部からを除き
*ミトコンドリアがエネルギーを作る際の発生(約2%)
*NOX遺伝子による発生
が主です。
とくにNOX遺伝子発現によるスーパーオキシドの発生は、目的(殺菌など)を持った発生であると考えられていたが、それだけではないことが解ってきた。
NOX遺伝子は『NADPHオキシダーゼ』を作るための遺伝子で、細胞内エネルギー物質であるNADPHから電子を抜き取り、スーパーオキシドを作り出します。
NOXには数種のファミリーが存在しますが、そのうち『NOX1』をノックアウトすると
*熱/機械的刺激による侵襲受容体反応には変化なし
*熱/機械的痛覚過敏反応は大幅に減弱
となった。
知覚神経は身体を防御するために必須の神経ですが、これが過剰な状態(いわゆる痛み閾値の低下)は慢性的な痛みや継続する痛みの治療を妨げ、不快な症状をもたらします。
当院では1年前より『水素局所注射』を行っていますが、この作用/効果は
*麻酔のように痛みが瞬時に消えるものではない
*つねったりした痛みには変化がない
*徐々に痛みが引いてゆく
*痛みが消えるというより不快でなくなる/強くなる感じ
と訴える方が多い。
この他、多くの『痛みと活性酸素』に関する論文が存在するが、どれも「痛み閾値の改善」賭する物が多いが、当院での治療結果に一致する。
水素による鎮痛治療について
2014年3月6日/カテゴリ: facebook, 水素の効果 /作成者: 辻クリニック
水素の作用は「抗酸化」を中心として「抗炎症」「抗アレルギー」「遺伝子刺激」が研究のテーマとなりつつあります。
その中で「抗炎症」は自覚症状を急激に軽減し、体感に優れるため、その作用が大変解りやすい治療といえます。
当院においても「肩こり」「首こり/寝違え」「腰痛」「関節痛:肩/膝/股関節など」において効果を発揮しており、ほとんどの肩が治療後に痛みの軽減を実感されます。
では、なぜ水素が痛みを軽減するのでしょうか?痛みは何らかの刺激に端を発し、その後数多くの「サイトカイン:細胞間情報伝達物質」が連鎖的に反応し、「COX:酵素」によって「炎症性物質」が放出され、炎症が発揮され、それを知覚神経が感知することによります。
この仕組みには、まだまだ不明な点が多く、現在多くのメディエーターが発見されています。
一般的な鎮痛治療と言えば「麻酔」「消炎鎮痛剤」「ステロイド」が三本柱です。
麻酔は炎症反応自体を変化させるのではなく「単に痛みを感じなくする」というものですが、それほと長時間作用するものではありません。
ステロイドや消炎鎮痛剤の多くは炎症を伝達するCOX(シクロオキシゲナーゼ)という酵素を抑制することによって、サイトカインの反応が炎症性物質放出に伝達されないようにします。
水素はこれらとは全く違う働きによって消炎鎮痛作用を発揮しているようです。
簡単にいうと、炎症はサイトカイン→COX→炎症性物質の流れによって発生していますが、そこには増幅作用のようなものがあり、ここに活性酸素が大きく関係しているようです。
炎症を意図的に継続させなければならない場合や、慢性炎症が起こる理由は、根本的には解っていませんが、ここに活性酸素が大きく関わることは間違いありません。
炎症(活性酸素の発生)のない部位では「何も感じない」のですが、水素を患部(筋肉、関節内など)に投与すると「鈍痛→温感」に続いて痛みが急激に軽減します。
これは大変興味深い現象で、当院では「患部の発見」に利用しています。(炎症の根本部位でない場合は、何も感じません)
最も頼もしいのは副作用が今のところ存在しないところです。
多くの場合、炎症を抑制すると同時に「免疫抑制」「内分泌抑制」といった作用を持ち合わすため、消炎鎮痛系の薬物には多くの副作用が存在しますが、水素はそれらを引き起こすサイトカイン/COX/メディエーターには直接作用しないためであろうと考えられています。
投与方法や投与量、投与部位などによってその作用は大きく変化しますが、その鎮痛作用の力はどんどん強くなってきています。
今後も世界の研究結果と照らし合わせながら、改良してゆきたいと思います。
【水素注射】
*筋肉/関節:¥5,000/1パック(6カ所程度打てます)
*静脈注射(50cc):¥5,000/1本
痛みと活性酸素
市川治療室 №29/1992.09
私達の身体には、温覚・冷覚・触覚・痛覚などの知覚が備わっています。
知覚は、身体の状態・周囲の状況を知るためのシステムです。
知覚の中でも痛覚は、病気や有害な外界刺激に反応する生体防御に欠かせないものです。
「痛みは身体の警告反応」と言われるのはこのためでしょう。
皮膚・筋肉・関節などの痛みを体性痛、
心臓・胃・腸などの内臓に関係した痛みを内臓痛と言います。
内臓の痛みは器官は、引っ張られたり、ケイレン、ねじれなどによるものです。
心臓では、虚血(局所的な貧血)から激しい痛みを起こします(狭心症など)
脳や頭蓋骨には痛覚がありません。
ですから、頭の痛みは頭皮や筋肉や血管によるとされています。
慢性の頭痛では、頭や首の筋肉の緊張や凝りが原因となる緊張性のものと、
こめかみなどの血管の拡張が原因となる偏頭痛が多いようです。
関節は筋肉により動かされます。その筋肉の動きを支配しているのは神経です。
このために、筋肉の痛みが関節に現れることがあります。
五十肩として知られている肩関節周炎や、テニス肘・ゴルフ肘として知られる上腕骨上顆炎、
中年女性に多いと言われる腱鞘炎やバネ指、肘や腰などの関節通など
筋肉・関節・腱などの日常経験する痛みは、ほとんど炎症によるものです。
胃や腸などの消化器をはじめとする内臓痛も炎症により起ります。
炎症のある局所は、熱を持ち、赤くなり、腫れます。
また、炎症時には、その局所で痛みを起こす物質(発痛物質)が作られるため痛みが起ります。
(発通物質・・・アセチルコリン.ブラジキニン・ヒスタミン・プロスタグランディン・過酸化脂質・P物質など)
発痛物質プロスタグランディンは痛みの感じる程度を少しずつ増やし痛みを継続させ、
過酸化脂質は急激な痛みを生じさせます。
過酸化脂質による痛みは他の発通物質が引き起こす痛みより強いとされています。
炎症が起ると、食細胞(白血球)が炎症の局所で
病原体を殺す作業や痛んだ組織の解体のために、活性酸素を放出します。
この他に、発痛物質プロスタグランディンが作られる時にも活性酸素は発生します。
そして活性酸素は細胞膜の脂質を酸化させて過酸化脂質に変えます。
前出のように過酸化脂質は強力な発痛物質です。
心臓痛・頭痛などの様にその痛みの原因が虚血の場合もあります。
虚血の後、血流が再開される時には活性酸素が発生します。
痛みはストレッサーとしてストレスの原因としても注目されます。
ストレス奉戴の時には、身体は抗ストレスホルモンを分泌してストレスによるダメージを防ぎますが、
このホルモンを作る時と分解する時にも活性酸素は発生します。
痛みと活性酸素は切っても切り離せない関係であることがお分かりになったでしょうか。
私達の身体は痛みを察知した時には、鎮痛物質(痛みを抑制する物質)を作ります。
脳内モルヒネ様物質と言われるこれらの物質はタンパク質を材料として作られます。
(鎮痛物質・・・エンケファリン・エンドルフィン・ダイノルフィンなど)
痛みが持続する場合には、筋肉の収縮が過度であることが疑われます。
筋肉の疲労物質である乳酸を取り去るビタミンB群や、 スムーズな筋肉の収縮を助けるレシチンは過度の筋肉収縮・萎縮に対して有効です。
そしてストレスへの対応策は、タンパク質・ビタミンE・ビタミンCなどです。
タンパク質は体重の千分の一g以上の良質タンパク質(プロテイン・スコア100)が必要です。
痛みの対策として、ストレスの対応策として、活性酸素の対策として、
また、各種鎮痛物質生産のためにタンパク質・ビタミンなどの栄養素の摂取は大切です。