アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

児雷也豪傑譚話

2005年11月24日 | 歌舞伎

名古屋・京都。やっとこさのお江戸公演。

初演は1807年(文化4年)。
「児雷也」は、庶民に親しまれていたようで、
蝦蟇&蛇&なめくじの三すくみってやつは、
錦絵、講談で大~盛り上がりだったとさ。

片岡千恵蔵の映画で御対面した時、ワックワックしちゃいました。
”コミック風に視覚的に面白くできる”
30年前に復活上演した時からそう思ってたっつう菊五郎。
ここまで言われたら、またワックワックしちゃうって。

第一幕
大蛇丸(松緑)が、日本国に戦乱を招き魔界に変えようと、陰謀を張り巡らす。
発端からスモ~ク全開で大蛇登場ー!!
長~い尻尾でとぐろを巻いてまっす。ウヒヒヒ。

仙人(松助)に育てられた2人(菊之助&亀治郎)が、大蛇丸を滅ぼすために
①”浪切剣”を手に入れること。②夫婦になって力を合わせること。
そうして、③蝦蟇となめくじの妖術を授かったんだよ~ん。

嗚呼、松助お久しぶりでございます。
座ってるし、黒後見もいるし、きっと本調子ではないんじゃろ~。
でもお姿を拝見できて嬉しぃぃぃ。

順調に権力を掴みつつあった大蛇丸の目の前に、
シュワッチ!現れたのがこの2人。
暗闇のだんまり演っちゃった後に変~身っっ!!

”ガマはへびに負け。ナメクジはヘビに勝つ”
この法則に従った三つ巴の前半戦っっ!!
赤い目玉が2×3=6個 ギ~ラギラ~~。
蝦蟇はピョコピョコ。
大蛇はウネウネ。
なめくじはクニャクニャ。
このコラボ!お見事ー!
蝦蟇の背は岩石のよーで、白い斑点と赤いポチッとした点もある。
ああ触りたい~っっっ。

しかし、ここに到るまでのお話。
知らなけりゃつまらんのだが、もっとスピーディーに出来んかー!
中島かずき(劇団☆新感線)に書かせてみろっっ!

一幕目65分間のラスト!
3階下手側”立ち入り禁止”区域から、ロープを伝って滑車が滑り降りたゾ!
スタンバイOKだ~!
さあ~来っゾ~!来っゾ~!
蝦蟇が真っ二つになって!中から出てきた鷲に乗った児雷也(菊之助)!
足の親指をクッと反らせてワッサワッサ!飛んだっっっ!
上等なお席の方々には、宙乗り真正面姿が見えない。
ってことで、舞台に大型スクリーンを配置っ。
それより、ナマでグングン近づいてくる方が楽しいもんっ!
VIVA!3階席っ!

第二幕
西洋風な佇まいの悪代官屋敷。
最近巷に横行する義賊を怖がってる、一家の状況を婿養子の團蔵が解説っ。
ムム。團蔵ってことはもしや…イッツァ・ショー・タイムか?

出たっ!!出たっ出たっ!
嫁は菊五郎っ!
ドケバな衣装&メイク!そのホクロは、美川憲一?ちあきなおみ?
娘は松也。
コギャルっ。これが、そんじょそこらのギャルよりビュ~ティ~。
娘 「母上!最近太り気味ではありませぬか~?」
母 「(脇腹をつねって)軽くヤバイ」
場内は、臨時『俳優祭』状態で爆笑の渦渦渦~。

ヴィバルディ。ボレロ。のお囃子もさることながら、
バランスボールにヨガ体操。
ダサくない?。ひろしです。ジャンガ~ジャンガ~。切腹。フォー!
時事ネタならぬ、バラエティーネタがてんこ盛りっ。
NINAGAWA十二夜』で、”笑い”を松緑にかっさらわれた菊五郎。
これが!これが!これが演りたかったのねぇぇぇ。

音羽屋後援会受付で、楚々と佇む女優・富士純子が奥サマ。
なんですね~。こんな旦那大変っすね~。ガハハ
夏雄ちゃん、菊五郎は元気で~す。

そこへ巫女がやってきて、
「ジャンジャン金を増やしちゃる。有り金全部持ってこい」
ケバコ菊五郎は一目散っ。
婿養子は美貌の巫女に御執心。
婿 「メルアド教えて」
巫女 「www.~」
婿 「それは新橋演舞場のアドレスだ。 ドット・コム・混む」
ああ…。毎度のギャグありがとね。
この家の金をまんまとセシメテ巫女はドロン。
残るは掛け軸の名前だけ”児雷也”。
チャンチャン。

児雷也は単身大蛇丸に立ち向かったんだ。
でも、ホレ仙人が”2人力を合わせて”って言ったべー。
無残。目は潰れ、足腰立たぬ不具者と成り果てましたとサ。

楽しくないわけじゃぁないのに、たるいわー。
中田カウス・ボタンのよーに、、オモロイよーで、オモロクなーい。
やっぱ1幕目のチンタラが緒を引いてるね。
ラストスパートかけりゃイイってもんじゃないっしょ。芝居って。

第三幕
お~っと”世話物”~!黙阿弥しぇんしぇいの十八番。
箱根の宿屋へ、湯治に来ている夫婦。
菊之助が乗った木車を、キコキコ引っ張る亀ちゃん。
『小栗判官』か『天下茶屋』か~。

児雷也の病を治すには同時刻に生まれた女の生血が必要。
宿屋の娘(芝雀)が、偽りの恋を仕掛けて飲ませた。
オッ『合邦辻』
彼女こそ生き別れだった姉。
”菊之助&亀治郎&芝雀”このスリーショットは、
花かごに飾られる色とりどりの花。
涼やかでカワユクて落ち着くわねー。
パッチリ目を開けた菊ちゃんは、なんてビューティー。

探し求める”浪切剣”は地獄谷にあり!いざ行か~ん!
大蛇丸との至上最大の決戦が今始まったっ!
8本の火柱がモォ~モォ~と立つ。
いや、風を下から送ってるんだからゴ~ゴ~か…。

そんなことより、斜幕の後ろっ!!
三味線と各種鳴物連中がズラーッッッと並んで総勢15名!
やっぱ、袴姿ってカッチョイイのだ。
大太鼓打ってるところなんて「鼓童」みたいヨ~。キャ~。
これ、菊之助のアイディアなんだと。やってくれるじゃん。

所狭しと、赤い布持ってフリフリ走るっっ!跳ぶっっ!
ジャパンアクションクラブ?
あ!『ヤマトタケル』?
そいつは錯覚。似て非なるものなり。
これぞ菊五郎劇団が誇る団体演技っ!!
その名も”火粉四天”
金メダル間違いなしっ!

菊ちゃん、今度は舞台中央で中吊り!
赤い紐をスルスルと解いて、ヒョイと着地さっ。
OH!亀ちゃんが奮闘すると、スーパー歌舞伎モードっ!
ひと回り大きくなったゼ。澤瀉屋~!
松緑も負けてないっ!
「スターウォーズ」のライトセーバーまで出てきたっ。
スパークリングな大立ち廻りっっ。

ラストはお馬でパッカパッカ。菊五郎の登場。
大親分だからね、締めにゃぁならんわけか…。
大団円で、威風堂々のオーラスッッ!

あのね、
”スーパーヒーロー歌舞伎”が初体験の中高年には受けたんだ。
「生活ほっとモーニング」でも「歌舞伎を超えた」ってサ。
でもねぇ。
スーパー歌舞伎体験者にとっては、これでも”奇想天外”のつもりなの?
いのうえ歌舞伎ファンも、どこが”型破り”?

このままじゃ「復活してみました」ランク。
それじゃぁ国立劇場と同じ。
そんなのイヤだっ!もう1歩先を目指してくれっ!
この趣向には、既に先駆者がいるんだ。
練って練って練りまくって、ベラボーなものを作ってやれ!(by岡本太郎)

菊ちゃんが男役の時は、亀ちゃんと芝雀が相手娘役に決定っ!
ダースベーダーは松緑がイイっ!
”奇しき縁に結ばれし者たちよ”、
ハッシーと扇雀・翫雀兄弟みたいに自然消滅するな。
菊五郎の懐借りて、ドーンともいっちょブチ上げて!

なんだぁかんだぁ言っても、
これ”歌舞伎って観てみたいけど何がイイの?”って迷ってる子羊ちゃんにオススメ。
高校生が観たんだって。しかも男子校~!
「NARUTO」にハマってるお子ちゃま達来ないかなぁ。

しっかし、「羽左衛門一家」を見れて、目頭熱くなるほど嬉しかったっっ!
だってぇ、彦三郎もいたし、萬次郎もいたんだよ~。
萬ちゃん、1月国立劇場行くからねぇ。

忘れちゃならんのが、蝦蟇・大蛇・なめくじのスーツアクター達!!!
大~きな拍手をっっっ!!あんたは偉いっっ!!

2005年11月 新橋演舞場