追悼:マイケル・ジャクソン
“KING OF POP”の軌跡
放送日 :2009年 7月11日(土)午前1時10分~2時10分(NHK総合)
再放送 :2009年 7月21日(火)午前0時54分~午前1時55分(NHK-BS2)
再放送 :2009年 8月 1日(土)午後4時~午後5時(NHK総合)
再放送 :2009年11月21日(土)午前1時20分~2時20分(NHK総合)
~すべての放送が終了しています。
<番組詳細>
マイケルの兄・ジャーメインさんの死亡報告から番組はスタート。
2009年6月25日ロサンゼルス。
マイケル・ジャクソンはこの世を去った。
*オープニング。
オルフ作曲のカルミナ・ブラーナをバックに猛烈な速度で紹介された、
短時間に詰め込んだ<繋ぎ合わされたカットの連続>に興奮。
視聴者の意識を煽る見事な編集だった。
*番組タイトル【Michael Jackson “King of Pop ”の軌跡】の、
~バック画像は映画『ムーンウォーカー』オープニング・カット。
*追悼式の模様とマイケルの生い立ちを紹介。
ジャクソン5(ファイブ)時代の曲から、
♪「帰って欲しいの」と
♪「ABC」。
~1970年のエド・サリバンショーの映像から。
マイケル・ソロ活動から1972年のヒット曲、
♪「ベンのテーマ」。
*その後大きな成功を得られなかったが、
1978年:ダイアナロス主演の映画『ウィズ』に出演。
クィンシー・ジョーンズと出会う(インタビュー)。
クィンシー・ジョーンズと組んだアルバム『オフ・ザ・ウォール』から、
♪「今夜はドント・ストップ」と
♪「ロック・ウィズ・ユー」を紹介。
~この2曲は全米NO1となりアイドルからアーティストへの脱皮と表現(MC)。
マイケル・ジャクソン(インタビュー)
1982年:モンスター・アルバム『スリラー』を発表。
♪「ビリー・ジーン」
~曲中PV(プロモーション・ビデオ)からモータウン25周年コンサートへ移行。
初めてと言われる伝説のムーン・ウォークを披露。
♪「今夜はビート・イット」
~PVの紹介(MC:ロックとソウルの融合と表現)。
♪「スリラー」:ジョン・ランディス監督
~クィンシー・ジョーンズのインタビューの後13分強のノーカット・バージョン。
♪「セイ・セイ・セイ」
~ポール・マッカートニーとのデュエットでコミカルな映像。
♪「ジャム」(1992年)
~映画『ジャム』から、マイケルジョーダンとの共演。
♪「スクリーム」(1995年)
~実妹のジャネットとの共演。
1987年:大ヒット・アルバム『BAD』を発表。
♪「バッド」:マーティン・スコセッシ監督
~16分強のノーカット完全版。
MC(司会進行)の松本和也アナが「この作品はもはや映画です」と紹介。
♪「スムーズ・クリミナル」
~映画「ムーンウォーク」からゼロ・グラヴィティを紹介。
♪「ウィ・アー・ザ・ワールド」(1985年)
~写真の紹介のみで映像はなし{USAフォー・アフリカ:著作権の問題}。
♪「ヒール・ザ・ワールド」(1992年)
~1993年の伝説のスーパーボウルからの映像。
1991年:大ヒット・アルバム『デンジェラス』を発表
♪「ブラック・オア・ホワイト」
~ショート・バージョンの歌詞部分をほぼノーカットで紹介。
モーフィング技術で世界をあっと言わせた。
♪「ジャム」
~DVD『ライブ・イン・ブカレスト』からの映像。
*2009年3月:復活コンサートをロンドンで宣言。
ファイナル・コンサートであることを告げる。
*追悼式が行われたステイプルズ・センターでのリハーサル映像。
*追悼式の模様:パリスちゃんの挨拶。
*エンディング:メモリー映像
<mimifukuの推測:「BAD」映像が伝える差別と心の闇。>
約1時間の番組の中で「スリラー」&「バッド」:2曲の放送時間が30分。
残りの30分がマイケルの生い立ちからのヒストリーを凝縮して放送。
特殊な放送形態ではあったが個人的には好感を持った。
作品としての重要性を重視した2作品はショート・フィルム(短編映画)、
史上の傑作として永遠に語り継がれるだろう。
特に「バッド」の16分余りにも及ぶノーカット放送は番組の質を高めた。
このフィルムの見方は人それぞれと感じるが白人社会の優越性を捉えている。
白人が多く通うカレッジが季節休暇に入る所からフィルムはまわされる。
服装から冬休みと思われるが学生達の帰省で混雑する列車内。
白人の多くは途中下車。
マイケルは終着駅まで乗車。
下車した街はドラム缶で暖をとるスラム街。
マイケルを待つ友人はバッド(ワル)。
白人と黒人の人種差別社会。
スラム街に暮らす<バッドにならなきゃやってられない>差別対象の人種。
しかしマイケルは、<いつまでもバッドじゃいけない>とモラルを訴える。
映像を見る限りそうした内容になっている。
映像の中で日の丸のバンダナをつけた日本人と想定される男性。
バンダナの中には漢字の文字が浮かぶ(幸を中心に栄、禾、通、貝等が読める)。
マイケルの皮の衣装はマーロン・ブランドの映画『暴力者(ワイルドワン)』
を意識(白人不良の象徴的なスタイル)しているのだろうか?
また一時期のNBAの選手が肩~上腕(二の腕)に掛け、
漢字のタトゥーが流行したが「バッド」の影響はあったのだろうか?
16分強のフィルムは色々なことを想像させる。
フィルム・ラストのアカペラによる集団合唱の迫力あるシーンは鳥肌モノ。
アレサのコンサートなどに見られるゴスペルのグルーブ感覚を連想させる。
ご覧になられてない方はぜひ再放送をチェックして欲しい。
余談になるが映画『ムーンウォーカー』では子供達の「バッド」のパロディが挿入。
思わず笑顔になれます(笑)。
また放送の中で個人的に一番の収穫はポール・マッカートニーとのデュエット。
♪「セイ・セイ・セイ」はMTV全盛期の当時テレビ朝日系で放送されていた、
<ベストヒットUSA>で見たと記憶しているが久しぶりに視聴。
当時は気付かなかったが映像を観てハリウッド・ミュージカルの影響を感じた。
マイケルにとってのアイドルは普通の少年と同じ。
フレッド・アステア(ダンス)がいて、ビートルズ(音楽)がいて、
ブルース・リー(カンフー・アクション)がいた。
おそらく、
チャップリンやディズニーの存在もマイケルの憧れだったと推測されるし、
スーパーマンもピーターパンもマイケルにとって掛替えのない存在だった。
映像「バッド」を見ながらマイケルの心の中に潜む、
黒人社会への反発を感じた人も多いのではないだろうか?
黒人文化に流れる集りの体質。
有名になるにつれマイケルの心に宿る白人と黒人との、
埋められない体質の違いに辟易したのではないだろうか?
16分強のショートフィルムの映像は、
黒人社会(スパニッシュ・アジアも含め)への変化を求めている。
平等な待遇を与えられない人種間の差別を、
優越の目からではなく劣等の目からの映像描写。
「自分は変わるのだ。」と言う宣言。
1987年「バッド」の映像は黒人との決別を宣言しているようにも取れる。
~その後のマイケルが自らの肉体に及ぼした大きな変化との関連性。
しかし「バッド」の歌詞にはそうしたメッセージ性の影は薄い。
バッドの解釈がCDに備え付けられた対訳には[最高(サイコー)]と訳されている。
バッドをワル=不良と訳すと楽曲が自己否定の歌詞になると恐れたのだろう。
映像表現と歌詞の意味を比較して線で結ぼうとするなら、
法律に適わない悪(ワル=差別を受ける側)よりも、
合法的な悪(ワル=支配階級)の悪を目指せ。
つまり<白人社会と同化せよ>と解釈すべきなのだろうか?
少なくとも1987年当時のマイケルは白人的なセレブリティの位置を手にしている。
仮にマイケルが黒人的手法(集りの体質)に疑問を感じたとすれば何時だろうか?
1984年のジャクソンズのビクトリー・ツァーはドン・キングのプロモートにより実現。
このコンサートからチケットの価格は急上昇。
黒人社会のアイドルだったマイケルのコンサートの来場者数の割合が、
スリラー発表以後のジャクソンズ:ヴィクトリー・ツァーから逆転。
マイケル・ジャクソンは黒人層にとって手の届かない存在になっていったと聞く。
またスリラーの大成功以後にジャクソン家では金銭に纏わるトラブル続き。
大スターとなったマイケルをジャクソンズに留めたい家族と、
ソロで自らの活動の可能性を試したいマイケル。
命令するだけでマイケルを<金のなる木>としか考えない父親との確執。
ヴィクトリー・ツァーを最後にマイケルはジャクソンズを離れた。
もうひとつ着目したいのがアルバム『BAD』の挿入曲♪「ダーティ・ダイアナ」。
マイケルが結婚したいとまで慕ったダイアナ・ロスを歌った楽曲だと言われる。
歌詞の内容は誹謗中傷と言っても過言ではない辛辣な言葉の連射。
<寂しい時はボクを利用して僕の知らないところで別の男に媚を売る>
リアルな恋愛描写を歌詞の至る所で暴露しスキャンダラスな内容になっている。
しかし「ダーティ・ダイアナ」の歌詞が真実のマイケルの叫びだとすれば、
この時点でマイケルは大きな失恋をしたことが容易に想像できる。
信頼する人(最愛の人)の喪失とマイケルが陥ったその後の孤独。
1993年:マイケルの口から尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)の罹患を発表。
肌が斑点状に白くなる病気でその真意はマイケルの言葉を信じたいと考える。
しかし鼻の整形や度重なる整形手術の真実は黒人持つ特徴を削除している。
その行為がマイケルが黒人であることへの何らかの心的否定の表現とする、
多くの見方に悪意があるとは感じられない。
日本で生まれ日本で育った多くの日本人にとって理解しがたい、
一見して肌の色で判断される人種差別に曝された、
黒人達の心の闇を緩和させた最功労者のマイケル。
しかし、
セレブリティになってさえ認められることのない黒人の立場と真実。
<ダーティにならなきゃ黒人は大金を手にすることはできない。>
1980~1990年代の黒人ギャングの抗争に心を痛めたマイケル。
~♪「今夜はビート・イット」の主題は、♪「バッド」同様にギャングだった。
ショート・フィルム「バッド」は様々な想像と推測を見る側に与える。
それがマイケル主導の映像なのか、
スコセッシ監督主導の映像なのかは分からない。
しかし、
『BAD』はマイケルにとって大きな転機を宣言した重要なアルバム。
マイケルのゴシップを詮索するよりも詩や映像に託されたマイケルの心情を
真摯に研究することがマイケルが望んだ社会を知る近道となるだろう。
マイケル・ジャクソンが残した大きな遺産は22世紀へと続く。
それは、ベートーヴェンやモーツァルトと同じように。
それは、キング牧師やオバマ大統領と同じように。
<ブログ内関連記事>
*マイケル・ジャクソン追悼特集:NHK総合 & BS番組情報。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/c21e962830172fe5ac149d8562cd85e7
*マイケル・ジャクソン:ワールド・プレミアム・ライブ/ 番組情報。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/e/1e13cb93319b67988e7880596d820d14
*マイケル・ジャクソン:THIS IS IT/映画鑑賞と感想。
http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20091121
~下記、NHKホーム・ページより記事転載。
2009年6月26日に亡くなった、
“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソン。
ジャクソン5時代から亡くなるまでの彼の素晴らしい、
パフォーマンスをたっぷりとお届けする。
また「スリラー」や「BAD」といった大作プロモーションビデオを、
ノーカットで放送。
マイケルの偉大なる音楽の軌跡をたどる。
<曲目リスト>
「帰ってほしいの」ジャクソン5
「ABC」ジャクソン5
「ベンのテーマ」マイケル・ジャクソン
「今夜はドント・ストップ」マイケル・ジャクソン
「ロック・ウィズ・ユー」マイケル・ジャクソン
「ビリー・ジーン」マイケル・ジャクソン
「今夜はビート・イット」マイケル・ジャクソン
「スリラー」マイケル・ジャクソン
「セイ・セイ・セイ」ポール・マッカートニー&マイケル・ジャクソン
「ジャム」マイケル・ジャクソン
「スクリーム」マイケル・ジャクソン
「BAD」マイケル・ジャクソン
「スムーズ・クリミナル」マイケル・ジャクソン
「ウィ・アー・ザ・ワールド」USAフォー・アフリカ
「ブラック・オア・ホワイト」マイケル・ジャクソン
とても読み応えのある文章で感動しました。
今日のBS2は、マイケル追悼夜話~NHK渾身のマイケル特集再放送。
楽しみです。
マイケルのステージは25分位でしたが、
役者が違うと感じました。
このコンサートの1ヵ月後に新譜「インヴィジブル」の発売。
マイケル自身長い休暇からの復活を、
宣言したいと考えていたはずです。
しかし、
このコンサートの翌日に9.11テロ。
アメリカ国内の目はマイケルどころでありませんでした。
運がありませんでした。
その後被災者支援のシングル発売をめぐるゴタゴタ(テロ2年後10月の発表)。
その翌月に逮捕。
運命の悪戯を感じます。
今夜は何れも再放送ながら見応え十分の番組。
マイケルの偉業に哀悼と感謝を捧げます。
6月26日に亡くなったマイケルジャクソンさんの、
大規模なアンコール放送が予定されています。
下記に番組スケジュールを記載しますので、
当日のテレビ番組表でご確認ください。
*マイケル・ジャクソン:デビュー30周年コンサート
放送局:NHKーBShi(ハイビジョン)
^2009年12月30日(水)午後10時~午後11時25(60分)
*マイケル・ジャクソン:BS熱中夜話・追悼スペシャル
放送局:NHKーBS2
~2009年12月31日(木)午後3時~午後4時30分(90分)
*追悼:マイケル・ジャクソン“キングオブポップ”
放送局:WOW WOW
^2009年12月31日(木)午後3時35分~4時25分(50分)
*追悼:マイケル・ジャクソン “映画:ムーン・ウォーカー
放送局:WOW WOW
^2009年12月31日(木)午後4時25分~6時(95分)
*追悼:マイケル・ジャクソン/ヒストリー・ツァー in ミュンヘン
放送局:WOW WOW
^2009年12月31日(木)午後6時~8時5分(95分)
*ベスト・ヒットUSA年越しSP:マイケル&ビートルズ特集(仮題)
放送局:BS朝日
^2009年12月31日(木)午後11時~翌午前2時(180分)
また今年リマスター盤を発売し再び大ブームを巻き起こした、
ビートルズのアンコール特番も年末に併せるように放送。
*よみがえるビートルズ:完全版
放送局:NHK-BS2
~2009年12月30日(水)午後1時~午後2時10分(70分)
*映画『HELP!四人はアイドル』
放送局:NHK-BS2
~2009年12月30日(水)午後2時10分~午後3時45分(70分)
*映画『ビートルズ:ファースト・ライブ・イン・アメリカ』
放送局:NHK-BS2
~2009年12月30日(水)午後3時45分~午後5時(70分)
2009年最後の2日間。
見逃した方はぜひチェックしてください。
~でも家(うち)はWOW WOW映らないけどね。