mimi-fuku通信

このブログを通して読み手の皆様のmimiにfukuが届けられることを願っています。

70億人突破!世界の人口と日本の人口(2011年10月31日)。

2011-10-31 21:47:00 | 資料・記録


 【世界の人口:2011年】

 国連では、
 2011年10月31日に世界の総人口が70億人を突破(推定)と発表。
 1950年には25億人、1987年に50億人、1998年には60億人。
 さらに、
 2050年には総人口93億人が予測されている。
 *人口推移グラフ http://www.unfpa.or.jp/p_graph/

 また国別人口推定値(WHO)では、
 日本の人口は約1億2700万人で第10位。
 世界の人口に占める割合は1・9%と予想される。
 2050年には現在よりも1800万人減少すると予測。

 <2011年:国別人口>
 01. 中国:13億5331万人
 02. インド:11億9800万人
 03. アメリカ:3億1465万人
 04. インドネシア:2億2996万人
 05. ブラジル:1億9373万人
 06. パキスタン:1億8080万人
 07. バングラデシュ:1億6221万人
 08. ナイジェリア:1億5472万人
 09. ロシア:1億4087万人
  10. 日本:1億2715万人

 *WHO国別人口ランキング
 http://memorva.jp/ranking/unfpa/who_2011_population.php


 【日本の人口:2010年】

 総務省では2011年の国勢調査の結果を発表
 2011年10月1日現在で、
 *外国人を含む総人口:1億2805万7352人。
 (2005年調査からの増加率は0・2%)
 総人口のうち外国人を除く、
 *日本人の人口:1億2535万8854人
   ★男性:6232万7737
   ☆女性:6572万9615人
 (2005調査から約37万1千人減少=初の人口減少)

 *外国人人口:164万8037人(5.9%増加)
   <国籍別>
   01.中国:27.9%(約45万9800人)
   02.
韓国・朝鮮:25.7%(約42万3500人)
   03.ブラジル:9.3%(約15万3200人)

 <参考:未調査推定>
 *国籍不詳人口:約105万人。
 (国籍不明者の中には日本人も含まれる。)

 *人口等基本集計結果(平成23年10月26日公表)
 → http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/kihon1/pdf/youyaku.pdf


 <考察事項:個人的見解>

 人口の増加を考える時に、
 私達は単純に誕生による人口増加を思い浮かべるが、
 そればかりでなく生涯寿命と文明・医療の発達。
 仮に寿命を統一した場合に人口を保つには、
 1年間に1人の死亡には1人の出生が必要となるが、
 寿命が60年間に平均20年延びたと仮定する場合に、
 ・1950年(昭和25年)の平均寿命を仮に55歳
 とし、
 ・2010年(平成23年の平均寿命が仮に75歳
 と想定した場合に
 3年に1人の人口が増えたと計算できるため、
 日本に於ける本当の人口減少は、
 生涯出生率が2人を切った1975年頃には始まっていると考えられる。
 *合計特殊出生率の定義は1人の女性が生涯に産む子供の数だが、
 一夫一妻の日本では男女2人に2人の子供が人口の維持と考えるべきだろう。
 *合計特殊出生率の推移 http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/1550.html

 人類の人口の増加は、
 単純に途上国での出生が増えているのではなく、
 医療・文明の進歩にともなうものと考えられる。
 *出産時の無事と乳・幼児期のリスクを伴わない成長。
 さらに不治の病の解消と疾患の予防(検査)や知識・情報。
 また、
 先進国に於ける出生率の低下と医療の発達は、
 深刻な少子高齢化を社会問題として抱え、
 それは同時に、
 今後は新興国(G20)の問題としても捉えられ、
 文明の進歩と医療の発達(=経済の成長)は
 仮に少子対策を早急に進めても、
 暫くは人口増加の傾向は変ることなく、
 それは、
 “豊かさが生み出す国際社会の問題”
 として浮上する事は明らかであり、
 “豊かさを手に入れた国家の生活の安定”
 は食料・資源の争奪戦に拍車をかけ、
 新たな国際紛争の火種となる危惧を否定できない。

 そのためにも食の安定と環境の保全。
 *人口問題⇔分配できる食料の限界点。
 *環境問題⇔豊かな社会を享受する人口の増加。

 私達人類が抱える最大の問題(ジレンマ=矛盾)とは、
 “人の数=共通認識としての豊かな生活の追求”
 となることは自明であろう。

 残念ながら私は解決策を知らない。

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【マイルス・デイビスとローリング・ストーンズ】:ブートレグと正規盤の話。

2011-10-29 01:15:00 | Pop&Jazz

 今夜もマイルスの話題から。
 先日はマイルス入門編として、
 過去の音源をまとめた輸入BOXを紹介した。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20111023
 
 今夜は11月に新譜として発売される、
 *マイルス・デイビスの2点のCD(国内盤)
 *ローリング・ストーンズのDVD&BD(CD付き国内盤)
 を紹介。
 今夜は先日とはまったく視点を変えた、
 音楽を取り巻く昨今の環境を文字にしたい。

 ライヴ・イン・ヨーロッパ1967
 ブートレグ・シリーズVol.1(DVD付)
 マイルス・デイビス
 SMJ

 コアなマイルス・ファンにとって気になるCDがコレ↑↑↑
 注目すべき言葉はブートレグ・シリーズVol.1
 CD3枚組+DVD1枚で定価は8400円(11月16日発売予定)。
 国内盤としては通常の価格設定であると思う。
 内容は黄金のクインテット時代の幻のライブ盤。
 と言っても、
 海賊盤(著作権を持たない違法商品)としては著名な音源+映像らしく、
 正規盤のタイトルに付いた副題がブートレグ(通称:ブート=海賊盤)。
 さらに注目すべきはVol.1の表記は今後Vol.2、Vol.3の発売を示唆。

 “公式海賊盤”としてリリースされていく可能性を含んだ副題は、
 今後のレコード業界の目玉企画になりそうな匂いがする。

 サム・ガールズ・ライヴ・イン・テキサス '78
 【初回限定盤DVD+CD/日本語字幕付】
 ローリング・ストーンズ
 ワードレコーズ

 と感じるのが次に紹介する、
 ローリング・ストーンズの幻のライブ映像第2弾
 第2弾と記する理由としての、
 第1弾:『レディス&ジェントルマン』は昨年の9月23日に、
 日本武道館で映像公開された1972年の幻のライブ映像。
 に続く、
 幻の映像:『サム・ガールズ・ライブ・イン・テキサス1978』もまた、
 ワーナー・マイカル系の映画館で11月5日~18日まで、
 全国で
公開(私の地元地域となる金沢も含む)される予定だ。
 
*上映館→ http://www.warnermycal.com/event/rolling-stones_2011/
 *情報→ http://www.barks.jp/news/?id=1000074167

 映画の公開中である11月14日にDVD&BD盤が同時発売。
 お薦めはCDが付属された初回限定盤(2種)は、
 *DVD+CD:5980円(初回限定盤)
 *BD +CD:6980円(初回限定盤)

 映画館で観るか?
 リビングで観るか?
 これまでは、
 ブートレグでしか知る事ができなかった『サム・ガールズ・コンサート』。
 ストーンズ・ファンにとってもワクワク・ドキドキの11月になりそうだ。

 <本題:公式海賊盤とレコード業界>

 さてここからが本題。
 個人的な話になるがブートレグ(著作権を無視した海賊盤)について、
 最初に知ったのがビートルズの日本武道館ライブ・アルバムの存在。
 中学時代の2年か3年の時に友人が持っていたレコードを聴いて、
 調べてみると公式版にはライブ音源はないはずなのに何故?と聞くと、
 金沢のレコード店で購入したとのこと(2000円だったと記憶している。)
 約30分前後の鑑賞は歓声が異様に大きく感じた。
 あとで別の友人に聞いた話では日本テレビで放送された音源がベースとの事。
 以後ビートルズ、ストーンズ、ツェッペリン、ヴァン・ヘイレン等に、
 多くのブート商品があることを知るも私個人がブート商品を買った記憶はない。

 ブートとは別に著作権を持たない映像や音源販売の方法として、
 パブリック・ドメイン(著作権の権利の消滅を理由に販売)がある。
 パブリック・ドメイン商品については、
 ディズニーのアニメやチャップリンの映画作品等を、
 一度は書店や量販店で見かけられたことがあると思うし、
 輸入CDを扱っているお店ではBOXの超廉価盤が存在し、
 EU発の何作かのクラシックBOXを購入した経験がある。

 また(現在の)法律には違反しないものの、
 you tubeに代表される動画投稿サイトや、
 現在では違法とされる、
 Winnyに代表されるファイル共有ソフトの存在など、
 正規盤を脅かす映像・音源の配信は後を絶たない。
 *ただし動画サイトを利用したPVも多く配信されている。

 さらに複数の友人の情報として、
 高速通信の発達でWAVE録音やCDラベルまでも共有できるソフトも存在し、
 2009年のジェフ・ベックの総べての国内コンサートのCD-Rはブートで販売され、
 2010年のボブ・ディランのライブハウスコンサートの音源が翌日にはWebでアップ。
 録音機器や撮影機器の小型化で可能になった違法録音や違法録画の拡大は、
 多くの海賊盤を生み出したり動画投稿サイトに投稿されたりと著作権の無法地帯。 

 しかし近年ではそうした違法行為(録音・録画)を取り締まる事が不可能な状態からか、
 マドンナ、U2、ガガ等のコンサートでは撮影の自由を了承している映像を見られ、
 ブートの価値(希少性)を取り除くための手法として有効なのかもしれない。
 *さらに動画サイトやブログで紹介される事は動員効果を考慮した戦略の可能性。

 話を戻そう。
 上記で紹介したマイルスの付属DVDはスウェーデンとドイツで放送された、
 テレビ映像が使用され今後もこうした映像が多く商品化される可能性もある。
 と言うのも、
 ストーンズでは日本テレビの初来日公演(長短2種)やNHKのブドゥー・ラウンジ公演、
 WOWOWでのさいたまスーパーアリーナ公演の映像は未だDVD化されておらず、
 過去にフジ・テレビではミック・ジャガーの東京ドーム杮落とし公演も収録されている。
 *初来日公演は地元のテレビ金沢と隣県の福井放送では違ったバージョンを放送。
 NHK-BS2で放送された95年のコンサートは別バージョンのLDが販売された。
 さいたまスーパーアリーナの映像は4枚組DVD『ザ・ビッゲスト・バン』で一部映像化。
 さらに、
 日本テレビが持つマイケル・ジャクソンやマドンナの日本公演(横浜球場)や、
 何よりもビートルズのオールカラー武道館ライブもBD.DVD化されていない。
 *ビートルズの武道館コンサートはLD&ビデオでは発売済み。
 リマスタリングされたBD&DVDの販売が待ち望まれる。
 
 今後は、
 you tube等の動画サイトで次々と流される世界各国のライブ映像の根幹が、
 各国の放送局(地方局含)が所有するならば動画サイトによって発掘された映像が、
 公式海賊盤として日の目を見る可能性はマニアにとって嬉しい誤算となるだろう。
 *高音質・高画質・適正価格:大型ビジョン対応は起死回生の切る札になるか?

 仮に10月1日未明にNHK総合で放送された幻の映像、
 『マイルス・デイビス:ライブ・イン・トーキョー1973』
 が市販されれば世界中のマイルス・ファンは歓喜するだろうし、
 11月2日に10枚組で販売される予定の、
 
『ザ・コンプリート・マイルス・デイヴィス・アット・モントルー』
 には初出映像として品質に大きな期待が集まる。

 と未来的な観測を文字にしつつ、
 今夜はここまで。 


 【ベスト・オブ・マイルス(ワーナー)】

 ヴェリー・ベスト・オブ・ワーナー・イヤーズ
 (スーパー・ベスト:2012)
 マイルス・デイビス
 ワーナーミュージック・ジャパン

 ワーナー・マイルス初の国内盤ベスト・アルバム。
 定価1500円(12月7日発売予定)は良心的。
 エレクトリック・マイルスの入門編としてお薦め。

 国内盤は地域のCD屋さんで予約購入しましょう(笑)。

 

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【音楽と音学】:JAZZの帝王/マイルス・デイビスを学ぶ(入門編)。

2011-10-23 23:53:00 | Pop&Jazz

 中日ドラゴンズがリーグ優勝を果した翌日に定例の出張で名古屋に行った。
 いつも通りに帰りの新幹線の時間までタワレコ近鉄店に立ち寄りCDを物色。
 お目当ては『クレンペラーのマーラー選集BOX』だったのだけど、
 Webで発表された予定価格よりも2割程度割高な価格設定に購入を見送り。
 替わりに購入したのが下記マイルス・デイビスのコロンビア選集だった。
 タワレコでの購入価格は6390円(22枚組)は1枚単価で約290円。
 シートなしの紙ジャケ仕様(LPオリジナルのミニ・レプリカ)は嬉しい誤算。
 今夜は少しだけマイルス・デイビスの話をしたいと思う。
 *下記参考価格は2011年10月23日現在の価格(Amazon)で大きく変動有。
 詳しい内容はAmazonは画像上をクリック、HMV(最下段)はURL上をクリック。
 また単品価格だけでなくポイントや纏め買い割引なども考慮する事が懸命です。

 Perfect Miles Davis Collection
 (20 Albums)
 EU輸入盤
 Sony Import

 【Perfect Miles Davis Collection (20Albums)】
 20タイトル:22枚組(参考価格:6198円)

 『Round About Midnight』(1957)
 『Miles Ahead』(1957)
 『1958 Miles』(1958)
 『Porgy And Bess』(1959)
 『Kind Of Blue』(1959)
 『Sketches Of Spain』(1960)
 『Someday My Prince Will Come』(1961)
 『Seven Steps To Heaven』(1963)
 『Miles In Berlin』(1965)
 『ESP』(1965)
 『Miles Smiles』(1967)
 『Nefertiti』(1968)
 『Filles de Kilimanjaro』(1969)
 『In a Silent Way』(1969)
 『Bitches Brew』(1970)
 『A Tribute To Jack Johnson』(1971)
 『On The Corner』(1972)
 『We Want Miles』(1982)
 『Star People』(1983)
 『Decoy』(1984)

 タワレコで購入した後に自宅に帰ってアマゾンの価格を確認。
 200円程度の価格差は範囲内で心穏やか。
 早速アルバムを聴いてみると思いのほかの音の良さに驚き。
 EU盤は約50ページの小冊子にフランス語と英語の解説付。
 更に調べると52タイトル70CDのオリジナル完全版も発売済み。
 23000円~24800円の現在価格は高価とみるか安価とみるか?
 ただし10年も前には予想もできなかった価格破壊は時代の象徴。
 “嬉しいような悔しいような”
 コアなマイルス・コレクターは心穏やかではないはず。
 私自身も上記20タイトルの内の5タイトル(国内盤)を所持し、
 4タイトルのコピーCD+4タイトルのカセット・テープは、
 購入する事に躊躇いがなかったわけではなかった。
 しかし先日NHK総合テレビで放送された、
 
『マイルス・デイビス:ライブ・イン・トーキョー1973』
 の当ブログ記事には多くの閲覧を頂き、
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20110930
 更新に際してマイルスについて復習したばかりの我身には、
 何かの強い縁も感じマイルスの再学習を試みようと思った。
 
 先ずは上記のアルバム(選集)から必聴の5枚。
 『Round About Midnight』(1957)
 1.ラウンド・アバウト・ミッドナイト
 『Kind Of Blue』(1959)
 2.カインド・オブ・ブルー
 『Sketches Of Spain』(1960)
 3.スケッチ・オブ・スペイン
 『Nefertiti』(1968)
 4.ネフェルティティ
 『Bitches Brew』(1970)
 5.ビッチェズ・ブリュー

 1957年(昭和32年)~1970年(昭和45年)までの13年間の音楽の変化が、
 もし1人の人間のイメージからの創造だとすれば驚異的才能に脱帽。
 *大衆がモダンジャズに求める最大の効果を発揮するカクテル・ジャズの決定盤=1。
 *新たなジャズの方向性として提示されたモードはマイルスの最高傑作の呼び声高い=2。
 *ギル・エバンスとの共作はクラシック・アレンジとブラス・アンサンブルとの協演=3。
 *黄金のクインテット(1965~68年)の最後の作品はモダン・ジャズ音形の到達点=4。
 *革命的なエレクトリック・マイルスの始発点(音の実験)であり音楽史上の金字塔=5。
 以上選集の中からの5枚のオリジナル・アルバムを最初に学ぶ事が、
 マイルスを知る一番の近道になることに私は疑いを持たない。
 ~ネフェルティティについては異論もあろうがアコースティック・マイルス最後の作品であり、
 楽曲提供にマイルスのクレジットはなく若いジャズメンにアルバムを委ねた事も重要要素。

 さらに、

 
『In a Silent Way』(1969)
 *イン・ア・サイレント・ウェイ
 に聴かれる癒し効果(その実は緊張感の連続)はジャズの新しい世界の幕明けであり、
 1970年代のクロス・オーバー・ミュージックに大きな影響を与えた最重要作品。
 ただし、
 個人的な好みを言えば単純で聴きやすい、
 『1958 Miles』(1958)
 『Someday My Prince Will Come』(1961)

 等の甘いカクテル・ミュージック(ラブ・バラード)がお気に入り(笑)。 

 All Miles: the Prestige Albums
 (14 Cd's)
 USA輸入盤
 Concord

 【All Miles: the Prestige Albums (14 Cd's)】
 14タイトル:14枚組(参考価格:4785円)

 『DIG』(1951)
 『AND HORNS』(1951)
 『COLLECTOR'S ITEMS』(1953)
 『BLUE HAZE』(1954)
 『WALKIN'』(1954)
 『BAG'S GROOVE』(1954)
 『MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS』(1954)
 『THE MUSINGS OF MILES』(1955)
 『MILES DAVIS AND MILT JACKSON QUINTET』(1955)
 『THE NEW MILES DAVIS QUINTET』(1955)
 『STEAMIN'』(1956)
 『WORKIN'』(1956)
 『RELAXIN'』(1956)
 『COOKIN'』(1956)

 マイルスの作品をコレクションする時に必要なレーベル(レコード会社)の探索。
 大きく4つに分けると、
 *Blue Noteブルーノート(日本ではEMIミュージックが版権)
 *Prestige:プレステッジ(日本ではビクターからユニバーサルに版権移動)
 *Columbia:コロンビア(日本ではCBSソニーが版権)
 *Warner:ワーナー(日本ではワーナーが版権)
 があり、
 その他にもCapitol:キャピトル、Savoy:サボイ等に音源が残るようだ。
 2つ目の紹介BOXとなる、
 【All Miles: the Prestige Albums (14 Cd's)】
 については実は先程注文したばかりで手元に現物は未だない。
 今日現在のアマゾン価格は4785円(1枚単価約342円)。
 ただし入荷に2~3週間かかるとの情報は、
 アマゾンからのメールによると11月11日~18日の出荷予定。
 プレステッジ時代の名盤として、
 『BAG'S GROOVE』(1954)
 『MILES DAVIS AND THE MODERN JAZZ GIANTS』(1954)
 『STEAMIN'』(1956)
 『WORKIN'』(1956)
 『RELAXIN'』(1956)
 『COOKIN'』(1956)
 が入門編として著名(56年の4枚はマラソン・セッションとして名高い)であり、
 プレステッジの録音には、、
 ソニー・ロリンズ、ミルト・ジャクソン、ケニー・クラーク、J.J・ジョンソン、
 ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、P.J・ジョーンズ
 更に、
 アート・ブレイキー、チャーリー・パーカー、セロニアス・モンク、ホレス・シルバー
 等のJAZZ史を飾るビッグ・ネームも目白押し。
 
1951年(昭和26年)~1956年(31年)までのプレステッジ録音は古いものの、
 音の変化(録音技術)を楽しむのもBOX買いの醍醐味かもしれない。

 先に紹介した、
 【Perfect Miles Davis Collection (20 Albums)】
 の音の良さには誰もが驚くだろうと思われるが、
 特に、
 『In a Silent Way』(1969年=昭和44年)
 の静寂は耳に優しく近年の工夫のないデジタルサウンドが安っぽく聴こえる。
 *特に日本で録音されるJ-Popの平坦な音響表現には落胆するばかりだ。
 JAZZファンにオーディオ・ファンが多い理由としての徹底的な趣味性。
 多くの場合、
 モダン・ジャズの名盤は3~5つの楽器音に集約されることで、
 音の聴き分けが比較的容易なため輪郭や分離に誤魔化しはきかない。
 鑑賞者が音を学ぶ事へのこだわりは、
 オーディオ機器の発展に大きく寄与したと思われ、
 精密な機器の開発は1980年前後にピークを迎え、
 高額な輸入スピーカーが飛ぶように売れ、
 FM雑誌やオーディオ専門誌が書店の書棚を埋めた。

 マイルスの廉価BOXセットの魅力は、
 そうした“音を学ぶ手段”としても最適であり、
 その点でも、
 1957年(昭和32年)~84年(昭和59年)をカバーする、
 【Perfect Miles Davis Collection (20Albums)】
 は理想的なサウンド・チェック・アルバムとしてお勧めできる。

 

 レコードコレクターズ増刊
 マイルス・ディヴィス・ディスク・ガイド
 監修:村井康司
 ミュージックマガジン:2000円

 レコードコレクターズ増刊
 『マイルス・ディヴィス・ディスク・ガイド』

 さて問題は輸入盤購入の場合には日本語の解説書がついてこない。
 そんな心配を吹き飛ばすように10月19日(僅か4日前)に発売された、
 『マイルス・デイビス・ディスク・ガイド』
 は国内で販売された正規マイルスの全アルバムを網羅。
 タイトル、アルバム・イメージ、収録曲、録音年月日、演奏メンバーの記載や、
 アルバムごとの楽曲解説は輸入盤購入者には強い味方。
 冊子のボリューム考えると2000円は高価に感じる人もおられようが、
 資料としての価値は入門者には最適。
 ビギナー・コースの私めも早速に近所の書店で購入し、
 現時間も書籍を確認しながらPCに向っている始末だ。


 マイルス・デイビス自叙伝〈1〉
 (宝島社文庫)
 マイルス デイビス
 クインシー トループ
 宝島社:840円

 『マイルス・デイビス自叙伝Ⅰ(宝島社文庫)』
 (著)クインシー トループ (訳)中山 康樹

 マイルス・デイビス自叙伝〈2〉
  (宝島社文庫)
 マイルス デイビス
 クインシー トループ
 宝島社:840円

 『マイルス・デイビス自叙伝Ⅱ(宝島社文庫)』
 (著)クインシー トループ (訳)中山 康樹

 最後の紹介はマイルスの自叙伝。
 手元にある自叙伝は、
 『完本:マイルス・デイビス自叙伝(JICC出版)』
 1991年新装版の単行本は1冊2800円。
 宝島文庫の自叙伝は同じ内容を2冊に分冊。
 内容が大人向けは否めないもののマイルス入門には必需品。
 ひとつだけ気に入った言葉を転載しよう。
 「ミュージシャンは自分が生きている時代を反映する楽器を使わなきゃダメだ。
 自分が求めているサウンドを実現してくれるテクノロジーを活用しなきゃならない。
 エレクトリックが音楽をダメにすると考える純粋主義者はゴマンといるが、
 (しかし)音楽をダメにするのは“どうしようもない音楽”そのものなんだ。
 正しく演奏できる立派なミュージシャンを選ぶ限り、
 エレクトリック自体に何の問題もない。
 そのことに気付いていない奴等がいまだに(ゴマンと)いる。」
 それは音楽だけに当て嵌まる金言ではない。
 テクノロジーの変化を受け入れない総ての人々に通じる言葉だろう。
 そうした“言葉の意味”については別の機会に譲ろう。

 *マイルスが語る“正しく演奏できるミュージシャンを選ぶ”は帝王の帝王たる所以であり、
 前記した“1人の人間のイメージからの創造だとすれば驚異的才能”の答えとしても注目。
 と同時に多くの若い才能を発掘・育成し世に送り出した功績は何物にも変え難い。


 <参考:コロンビア・イヤーズ>

 Complete ColumbiaAlbum Collection
 USA輸入盤
 Sony

 『The Complete Columbia Album Collection(70CD)』
 52タイトル:70CD+1DVD(コロンビアのオリジナル全作品収録)
 参考価格:24800円(EU盤もあり参考価格として23000円)

 怒涛の70CD+1DVDはコレクターズ・アイテムとして一生のお宝になりそう。
 ただしライブ・アルバムも多く高度な演奏表現は中級以上向きの作品群。
 でも小遣いに余裕があれば買って損なし(全集の発売は2010年)。
 没後20年の記念企画と思われ品切れ後は二度と手に入らないかも?
 私も含め思案の為所です(笑)。

 <参考:ワーナー・イヤーズ>

 the Warner Years 
 1986-1991 
 USA輸入盤
 Warner Bros UK

 『Miles Davis: The Warner Years 1986 -1991』
 7タイトル:5CD(ワーナーのオリジナル作品選集。
 ~2011年10月25日発売予定(参考価格:3567円)
 *タワレコ(曲目リスト)→ http://tower.jp/item/tracks/2956586

 『TUTU』(1986)
 『Music From Siesta』(1987)
 『Amandra』(1989)
 『Dingo』(1990)
 『Live Around The World』(1987~91)
 『Live at Montreux』(1991)
 『Doo-Bop』(1991)
 からの編集+
 『Rarities & Studio Guest Appearances』

 これまでベスト盤のなかったワーナー・マイルスのお薦め盤。
 *12月7日に国内盤ベスト(1500円:1CD)が発売予定。
 タイトルごとのCDではなく詰め込み編集は残念ながら、
 晩年のマイルスを廉価で聴きたい向きには迷う事なし。
 ただしブラック色が強くジャズの概念からは遠く離れるため、
 個人的には苦手なサウンドは否めない。 

 <参考:アット・モントレー>

 ザ・コンプリート・マイルス・デイヴィス
 アット・モントルー 1973-1991
 国内盤DVD(10枚組)
 WHDエンタテインメント

 『ザ・コンプリート・マイルス・デイヴィス・アット・モントルー』
 DVD10枚組(1973年~91年のモントレーでのライブ映像)
 ~2011年11月2日発売予定(参考価格:14665円)
 
 2002年に20枚組CDとして販売された作品の映像版。
 1973、84、85、86、88、89、90、91年のライブ映像+インタビュー映像。
 84年と85年が昼夜の演奏に分かれる10枚組はエレクトリック・マイルスの決定版。
 モントレーは言わずと知れたジャズ・フェスティバルの聖地。
 個人的には85年のLDを所蔵しているが73年新宿と比較し視覚効果も大きく変化。
 また独特なファション・センスは時代と音楽に合わせたマイルス・スタイル。
 と映像を観てもいないので想像の域は出ませんが…。
 国内盤10枚組(字幕付:984分+特典114分)で定価20000円は超破格。
 でも迷う心は不況風。
 …。
 今夜はここまで。


 <参考:HMV>

 【Perfect Miles Davis Collection (20Albums)】
 
*HMV.hp→ http://www.hmv.co.jp/product/detail/4174364

 【All Miles: the Prestige Albums (14 Cd's)】
 
*HMV.hp→ http://www.hmv.co.jp/product/detail/3983231

 『The Complete Columbia Album Collection(70CD)』
 
*HMV.hp→ http://www.hmv.co.jp/product/detail/3697934

 『Miles Davis: The Warner Years 1986 -1991』
 *HMV.hp→ http://www.hmv.co.jp/product/detail/4203075

 *EMI→ http://www.emimusic.jp/artist/m-davis/#

 
*資料
 http://www.amazon.com/Miles-Davis/e/B000APO6V4/works/ref=ep_artist_tab_w

 

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【気になる!】:タイの水害、リビア情勢、TPP等を絡めて語ろう。

2011-10-23 08:02:11 | mimifuku

 昨日(2011年10月22日)は後期高齢者3人を乗せて、
 福井県勝山市の恐竜博物館→白山スーパー林道→白川郷へとドライブ。
 気になる天気も一度も傘をさすこともなくスーパー林道では青空もチラリ。
 三方岩から白川郷方面へと下る時は見事な虹のアーチ。
 石川県側スーパー林道は青空も展望する白山山頂付近は黒い雲。
 更に岐阜県方面は強い風に雨上がりの路面は運の良さ。
 「平素の行いが総て出たね。」
 と車内で大笑い。
 
 気になる出来事は、
 恐竜博物館では70歳以上の高齢者は料金無料。
 評判の悪い?
 後期高齢者医療制度(負担金)と高齢者への配慮。
 後期高齢者医療制度と医療カードの特典。
 外出しない高齢者に、
 外に出てお金を使ってもらうカードとポイント。
 公共料金と後期高齢者の行動推進。
 何かのヒントに成りそうな気がした。

 お出かけでは、
 恐竜博物館敷地内の“うまいもの祭”や、
 スーパー林道:900~1100m周辺の紅葉の見頃や、
 白川村では街道フェスティバルが開かれており、
 道すがら郷土衣装を着た町娘の華やかさもあり、
 8時から5時までの楽しい時間を過ごした。

 2011年10月23日:朝の“気になる”は、
 タイ・バンコクへの浸水被害の拡大。
 日本で考える洪水被害と比較し感じる、
 排水能力と浸水被害の長期化。
 総雨量と排水能力のバランスがどうなっているのか?
 浸水被害が起きている工業団地は沼状の地形なのか?
 分からないことだらけだ。
 と同時に、
 日本国内なら激甚災害や災害保険の適用など、
 タイ現地では日系企業の被害総額の試算がどのような数字か?
 今後日本企業に対する日本国民の負担の有無。
 さらにタイの人的被害と日本からの資金援助(募金を含め)。
 報道を見る限り分からないことだらけだ。

 2011年10月23日の“気になる2”は、
 アラブの今後とカダフィ後のリビア。
 独裁者の最後は例の如く憐れだ。
 早い時期に国外逃亡(亡命)することは、
 独裁者にとって容認できない手段なのだろう。
 新しいコミニュケーション・ツールが生んだアラブ革命。
 リビアの選択は民主化かイスラム化か?
 個人崇拝を強制されたリビア国民の解放。
 それは民族対立の激化や、
 既存権力の弾圧・排除等の問題。
 
 イスラムの教義に基づいた男尊女卑。
 アラブの民主化運動と今後の展開。
 ロシアや中国の民主化推進運動(アラブの春)への懸念と、
 既に民主化が確立した国家での新しい格差(社会差別)問題。
 激動の社会は、
 世界恐慌後の歴史を繰り返そうとしているのか?
 気になる問題は尽きない。

 最後の“気になる”は、
 TPP問題の是非。
 当ブログ過去帳には、
 TPP(環太平洋経済連携協定)はどうだろう?
 自由貿易を声高に叫ぶ輸出産業グループ。
 関税撤廃で窮地におかれる日本の農業(漁業・林業)。
 食を守れの大義名分の尊重。
 海に囲まれた軍事弱国日本の食の生産。
 私はTPPの参加には慎重であるべきだと考える。
 今後日本との最大貿易国となるだろう中国の不参加。
 日本が率先して環太平洋の経済協定に参加するメリットは?
 一部輸出に岐路を見出し、
 日本の生命線である国内産業の崩壊。
 国内の規制緩和により地方経済に何が起きているのか?
 さらなる規制緩和は日本の労働力に何を引き起こすのか?
 デフレ経済を促進する安価な海外食物がさらなる重石にならないか?
 国内労働力が疲弊しているにもかかわらず、
 さらに他国の安価な労働力に依存する方策。
 何かが間違っているように感じる。

 TPPに参加しないことで経済圏からの孤立?
 しかし、
 大国中国が参加しないと決めているTPPに、
 事を性急にする必要はないのではないか?
 日本が守るべき“食の自給率”の安定。
 言っている事とやっている事に大きな違いはないのか?
 米豪の食量輸出の思惑に乗っかるだけで悲惨な結果にならないか?
 日本経済の停滞打破の方策としてTPPに参加する前に、
 過大評価されている日本の円の是正。
 過大評価された通貨レートによって、
 高価な労働力を余儀なくされる日本の不利。
 何かが間違っているように感じる。

 先進国が共通に抱える高価な労働力と、
 先進国の国民が求める安価な流通商品。
 しかし、
 各国共通に(有事を想定し)守るべきものはあるはず。
 2010-11-13 14:00:00
 
 と文字にしている、
 1年前(11月13日)の考えに変わりはない。
 日本の官僚機構(行政機関の中枢)が推進し続ける、
 “価格を安くする事が国民の生活安定に寄与”
 するとの思考は税収の大幅な悪化を生み、
 膨大な借金を後世に背負わせた。
 
 公務員目線での生活安定の推進は、
 労働条件格差や地域間格差を生んだ。
 それでも懲りない、
 “価格を安くする事が国民の生活安定に寄与”
 と同時に、
 “国際競争力を高める手段としての合理化推進”
 との理念に取り憑かれている、
 過去に縛られた愚かな頭脳の中枢機構(=思考の固定化)。
 しかし、
 民間人の代弁者であるべき政治は何もできない。

 目先の欲と国家の未来。
 世界の不穏な動きと流動化する国際情勢。
 *更に人間の増加と人間が生み出す自然環境の変化。

 守るべきは、
 自給自足の維持(国民の食の安全&職の安定)と、
 国民のアイディンティ(主体性:自発的行動)の持続。
 *有事における安定した食の配給能力と国家のモチベーション。

 行政が推進した理想と現実(=東日本大震災の現実)。
 想定外は二度とあってはならない。

 【追記:タイの洪水被害について】

 日曜日の朝をのんびりと朝食をすませ朝刊に目を通す。
 タイの洪水被害についての共同通信の記事。
 *プピポン・ダムでの1~9月の総雨量が1100㍉。
 *陸地を覆う水(20日)の総量:1500億立方メートル(徳山ダム22個分)。
 *工業団地:アユタヤと首都:バンコクの海抜は平均約2m(勾配が極めて少ない)。
 被害原因。
 *年を通しての長期的な大雨。
 *森林伐採と乱開発。
 *農地を犠牲にした開発事業。
 興味深い箴言(事業家:タン・パサコナティー氏)。
 「我々は自然を傷つけ欲しい物を手に入れてきた。
 自然が我々から取り返すときがきたということだろう。」
 2011-10-23
 10:00追記

 PCを開く前に新聞には目を通そう(苦笑)。


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何かが。

2011-10-20 23:40:11 | mimifuku

 先程まで居酒屋で楽しい時間を過ごし、
 この時間は、
 あるオークションの入札結果を待っている。
 
 テレビの映像は、
 いきものがかりの2010年のライブ映像。
 昨晩はゴスペラーズ、ケツメイシを観て、
 今夜はいきものがかり、RIP SLYMEと続く。
 *HDには昼間録画した今年のサマソニ。
 オーチャード・ホール、横浜アリーナ、日本武道館。
 何れも満員の客席は不景気風等“何処吹く風”を感じる。

 映像を見聴きしながらネット・サーフィンしていると、
 カダフィ大佐の死亡 or 拘束のニュースが流れる。
 アラブにおける時代が動いた瞬間なのかもしれない。
 
 ギリシャでは48時間デモによる混乱に収拾がつかず、
 タイでは長期間の洪水被害に終息の目処がつかず。

 動いている世界を横目に見ながら、
 欲しい物品のオークションの結果を待つ。

 何かが狂いはじめているのだろう。
 と言うよりも、
 狂い始めて幾年月が過ぎても、
 見て見ぬふりを続ける事が賢い選択のようだ。

 この時間オークションの入札が変った。
 今回は見送ろう。
 追いかけるつもりはない。

 何故か安心した。
 人から見れば“どうでもよい”話だが…。
 

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【上原ひろみ×辻井伸行】:ピアニスト!演奏表現&感動の所在。

2011-10-17 00:00:00 | Pop&Jazz

 懇意にさせていただいている方から頂戴した、
 100g3150円なりの深蒸し茶を飲みながら。

 この1ヶ月間はピアニストの映像を見る機会が多い。
 東京JAZZ2011の映像に映し出されたお気に入りのピアニスト。
 上原ひろみさんは当ブログでも登場回数が多いアーティスト。
 ただし、
 タイトルに“上原ひろみ”の名前を記入するのは初めてで、
 それほどに、
 今年放送された東京JAZZ2011の映像は彼女の多面性や
 進化し続ける彼女の成長の証(あかし)に感動を覚えた。

 以前に現役ピアニスト(クラシック界)の頂点に位置する一人である、
 マルタ・アルゲリッチの演奏(1987年:人見記念講堂会館)について、
 何よりも驚いたのはアルゲリッチが演奏したラベルのピアノ協奏曲(3楽章)。
 断片だけの放送だが“打楽器のようにピアノを叩く”との表現がぴったりの、
 “鍵盤を叩いたり、撫でたり、指を立てたり、寝かしたり”の目まぐるしい指の動き。
 まさに、
 女豹が獲物(音符)を取り逃がさないように追い立てるような技術と表現は圧巻。
 と文字にしている。

 東京JAZZ2011では、
 上原さんの“2つのステージ”が紹介された。
 ひとつはトリオ演奏で、
 『Voice』
 『Piano Sonata No.8(Pathetique)』

 ひとつはタップとのコラボで、
 『Jupiter』

 詳しく文字にすると、
 ひとつは、
 アンソニー・ジャクソン(b)サイモン・フィリップス(ds)との共演で、
 『ボイス』(2011年発表のアルバム・タイトル曲)
 『べトーヴェン:ピアノソナタ第8番“悲愴”より第2楽章』
 ひとつは、
 タップ・ダンサーの熊谷和徳さんとの共演で、
 『ホルスト:組曲・惑星より木星(ジュピター)』
 だった。
 *ホルストのジュピターは平原綾香さんの歌唱でも有名。

 個人的に特筆すべきは耳に親しい、
 『Piano Sonata No.8(Pathetique)』

 『Jupiter』
 の2曲の演奏表現の対比(クール×ホット)は素晴らしく、
 クラシック・アレンジと言った方向性にも期待が持てる。

 『Piano Sonata No.8(Pathetique)』
 の演奏はクール(知的)な雰囲気もメロディ・ラインはソフト。
 また、
 『Jupiter』
 の演奏は東京JAZZ2008のハイライトとなった、
 『Rhapsody In Blue(ラプソディ・イン・ブルー)』
 にも負けず劣らずのホット(熱狂的)な演奏に驚愕。
 熊谷さんとのコラボは肉体と肉体の衝突であると同時に、
 歓喜と高揚のグルーヴ感に鑑賞者は興奮せずにいられない。
 *熊谷さんのピアノ演奏と会話するかのようなタップ表現も素晴らしく、
 ボロボロのタップ・ブーツに仕込まれた大ホールにおけるマイクにも興味。


 アルゲリッチに感じた指先の技巧を思い出しながら、
 画面に大きく映し出される上原さんの指先に注目すると、
 手首・肘・肩にも音に合わせるかのように適時に力が分散され、
 音の刻みや残響音の有無等細かい技術(技巧)には再度驚嘆。
 フリー・ジャズでないピアニスト表現に於ける力強い圧倒感は、
 古今の映像を見渡す限り上原さん以外には殆ど記憶がなく、
 共演者が語る世界の10指に入るピアニストとの評価も、
 社交辞令や大袈裟な感想ではないと感じる。

 多人数デジタルな方向性(フュージョン系)よりも、
 今回放送されたアナログな方向性(ソロ&トリオ)が、
 強弱や振幅を自由自在に操る技術表現に秀でた、
 “上原ひろみさんの今”には相応しいと感じた。

 来年はN響との共演で基本伴奏の上を自由自在に飛び回る上原さんの、
 チャイコフスキーのピアノ・コンチェルト第1番を聴いて見たいと思うのは、
 私の幼稚な妄想だろうか?
 *東京JAZZでは過去にもN響&マーカス・ミラー等との共演が実現。

 *****

 約20日前の9月25日(日)。
 辻井伸行さんとNHK交響楽団とのチャイコの1番が放送された。
 放送内容を当ブログで紹介したものの、
 個人的な番組の感想は文字にしなかった。
 それは、
 鑑賞に没頭する前に辻井さんの指先に目が行ってしまったからだ。
 と言うよりも(私が)欲しい音が聴こえてこない理由を指先に探した。

 私にとってのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番は、
 アルゲリッチ、リヒテル、ホロビッツに代表される、
 “強靭で荒々しくも確かな技巧に裏打ちされた高揚感”
 が耳に“こびり付いて”しまっている。
 それは、
 現代の名手:ランランの技巧表現すらも私にとって全く物足りず、
 多くのクラシック・ファンの耳とは凡そ執拗に厳しく貪欲なものだ。

 探している演奏(求めている演奏)は、
 同じアプローチなら過去の名演奏を超える演奏表現か、
 過去には聴いた事のない新たなアプローチへの挑戦。

 辻井さんの演奏を聴きながら“平凡”と感じるのは、
 BS朝日で放送された『展覧会の絵』も同様だった。

 私は2009年6月8日の更新(クライバーン受賞報道の日)で
 
テレビ・ニュースでチラッと(辻井さんの)音を聴いた限りは、
 明晰とは言えないまでもコンテストの表現としては立派な演奏だと感じる。
 ただし感動を与える奏者となるには音を聴いて音楽を作るのではなく、
 音と会話しながら自分の音楽を創ることが肝要であり現在はその域ではない。
 厳しい言い方になるが芸術表現に身体のハンディは言い訳にならない。
 と文字にしている
 *本文→ http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20090608

 辻井さんの演奏表現に私が物足りなさを感じる理由。
 それは“目が見えないこと”に理由があるのかも知れない。
 と感じるのは身体のハンディではなく機会のハンディであり、、
 辻井さんの音を紡ぎだす指先のタッチに変化が乏しいことだ。

 音を耳で聴いて音を再現する能力は人並み外れた高い能力。
 その再現する音(色・響)を自分以外の名ピアニストから盗もうとする時に、
 音を明確に刻む時の指先のタッチや音の増減・振幅に必要なペダル表現を、
 目で盗む事ができない事実は大きいと感じるのは私の勘違いだろうか?
 *特に粒立ちと表現される音と音との明快な分離技術は目で盗むことが近道。

 *****

 今月(10月)初頭からWOWOWに加入し、
 ジャズ史に残る名ピアニストである、
 エロル・ガーナーミシェル・ペトルチアーニの映像を目にした。
 スイングを得意とするガーナーの演奏は、
 指先の第一関節や第二関節までをも巧みに使い分け、
 ペトルチアーニの演奏は小さな身体のハンディに負けまいと、
 独創的なスタイル(音楽の表現)を追求・確立していた。
 

 特に、
 ペトルチアーニは成人しても1メートル程の身長までしか成長することできず、
 身体の障害を跳ね除けて音楽に没頭する様は多くの聴衆の感動を呼び、
 それ以上にクラシックに裏打ちされた繊細な演奏表現は高く評価されている。
 *蛇足ながらエロル・ガーナーは音楽教育を受ける環境になく音符(楽譜)は読めず、
 独学で採譜(辻井さん同様に耳で音を記憶)し名ピアニストの評価を得たと伝わる。

 WOWOWでは、
 10月18日にはキース・ジャレットの1980年代のソロ演奏も放送され、
 普段は目にする事のない貴重な映像の数々に大きく期待が膨らむ。
 *再び蛇足ながら2011年のNHK音楽祭はピアニスト特集(クラシック)で、
 NHK-BS放送
のプレミアム・シアターでは多数紹介される。

 

 ジャズとクラシックでは要求される演奏技術も演奏表現もまるで違う。
 楽曲に求める音色や響きもジャズとクラシックでは違って当然だろう。
 
 それでも、
 ピアノの詩人:ショパンの夜想曲などは当時のサロン・ミュージックである事実や、
 日本人がジャズに求めるピアノ表現はナイト(カクテル)・ミュージックである事実。
 *大衆がピアニストに求めるロマンチシズムと癒し効果。
 
 個人的な見解を言葉に変えれば、
 上原さんが目指していると思われる垣根を越えた革新的な芸術表現と、
 辻井さんに感じる多彩なレパートリーに反した保守的な演奏表現。
 *ミス・タッチに寛容なジャズ・ファン⇔ミス・タッチに厳格なクラシック・ファン。
 
 2人に共通するカリスマ的な(現在の)立位置。
 若い才能が益々の変化を求める事への希望。
 私の感動の所在は“既存の価値観の開放”に目が行く。
 *上原さん自身が語るリスクを怖れず変化(成長)を欲求。

 これ以上の言葉は必要としないだろう。
 決して両者の優劣を文字にしているつもりはない。
 後は読み手の方々の感じ方次第だし、
 演奏表現に個人差があるように、
 芸術表現の評価に個人差があって当然。

 ただし、
 評価する以上は改良点(改善すべき項目)のヒントを必ず明記すべきで、
 そうしなければ単なる批判(解決策を持たない低俗な論点)に過ぎない。
 読者には評価と批判とは別の視点が存在する事実を認識・理解して欲しい。

 私は、
 芸術の評価にハンディを持ち込む同情心を持ち得ない。
 *ハンディを克服する生き様への感動の所在は別物。
 そうしなければ、
 若く“より良い才能”の成長の芽を摘む事になるだろう。
 ただし前記したように、
 批判の変わりに改善のヒントを言葉にしたい。
 
 
“批判が正義の日本的価値観⇔既存の価値観の開放”
 
 今夜は、
 有能で未来ある若き2人のピアニストの、
 芸術(演奏)表現に思いを巡らせながら、
 そんなことを文字にした。


 *****

 <上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト>
 feat.アンソニー・ジャクソン&サイモン・フィリップス
 
 【VOICE:日本ツアー2011】
 2011年11月21日(月) 福岡国際会議場
 2011年11月22日(火) 浜松アクト 大ホール
 2011年11月24日(木) ZEPPZEPP仙台
 2011年11月25日(金) 大阪 NHKホール
 2011年11月26日(土) 大阪 堺市民会館
 2011年11月27日(日) 新潟市民芸術文化会館・劇場
 2011年11月29日(火) ZEPP札幌
 2011年12月 1日(木) 愛知芸術劇場 大ホール
 2011年12月 2日(金) 広島アステールプラザ 大ホール
 2011年12月 3日(土) 東京国際フォーラム ホールA
 2011年12月 4日(日) 東京国際フォーラム ホールA


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『東京JAZZ2011×ザルツブルク音楽祭1991』:番組Memo&More

2011-10-15 17:33:00 | 番組メモ

 2011年10月15日はながら、ながらの一日。
 只今東京JAZZを録画しながら鑑賞。
 曲目リストのメモが欲しいとNHK・HP訪問は何時もの行動。
 *番組の告知はマイルスの記事で紹介済みですが気付かれましたか?

 今年の放送は例年とは違った構成で曲の順序と出演者がバラバラ。
 ミシェル・ルグランのヒットパレードが聴きたかったと思いつつ、
 清水ミチコさんのようにパターンを変えての“シュルプール”に苦笑い。
 今年は“昔の名前ででています”のビッグ・ネームも多く、
 皆さん“お元気”なんだと(笑)。
 注目は、
 リー・リトナー、マイク・スターンと共演した
布袋寅泰さん。
 *昨年はB'zの松本孝弘さんがラリー・カールトンと共演。
 リシャール・ガリアーノ寺井尚子さんのピアソラ。
 ブルースの大御所:クラプトンとの共演でも御馴染の、
 マーカス・ミラーは相変わらず上手だし、
 上原ひろみさんのトリオ演奏は思いのほかクール。
 不謹慎な発言を申せばJAZZって“ながら”に合うんだよね。

 午前中は手を動かしながらの“江”を6週分まとめて視聴。
 ホントにHD(ハード・ディスク)様々です。

 今週の音楽関係で最も大きなニュースは…。
 私にとっては、
 柳ジョージさんの死亡ニュース。
 享年63歳。
 スポニチのニュース記事によると、
 10日午前4時56分に末期の腎不全のため死去。
 11、12日に既に親族のみで通夜、告別式を済ませた。
 との事実は寂しい限り。

 ベスト・テン世代にとっては『微笑みの法則』は、
 誰もが口ずさめるはず。
 個人的には、
 『同じ時代に』や『酔って候』はカラオケの定番?
 それにショーケン(萩原健一)との絡みは、
 男臭さに憧れる輩には貴重な存在だった。
 やはり寂しさは隠せない。
 *そう言えばBS日テレで「傷だらけの天使」の再放送が始まった。
  番組HP http://www.bs4.jp/drama/kizuten/

 今夜(深夜)の番組紹介は、
 ショルティ&ウィーン・フィルの歌劇『魔笛』。
 “オペラ・ファン必見のプログラム”
です。

 と言っても、
 近々は加入したばかりのWOWOWにどっぷり。
 毎夜々々のコンサート三昧は楽しい限り。
 どんどんPCの前から遠ざかる自分に・・・。

 本当の今夜のお楽しみはU2&WHO。
 それに“志の輔落語”は長編『牡丹灯篭』。
 でも今夜も友人と会う予定もあるし。

 WOWOW加入は、
 録画映像が増えるばかりの悩みの種(笑)。

 今夕の更新は、
 あくまでも個人的なメモ。
 ↓ ↓ ↓

 ではまた。
 see you~.



 ~以下NHKホームページより記事転載。

 『東京JAZZ2011』
 今年10回目を迎えた東京JAZZ2011。
 ここでしか見られない一夜限りのセッション。
 あの有名バンドの日本初公演。
 楽屋裏の表情やインタビューなど、
 見どころ満載です。

 【曲目リスト】

 「Battle without Honor orHumanity」
 「Summer Rain」
 「Sixteen Men Swinging」 
 「Libertango」
 「Blast!」  
 「Sunshine」
 「Hard Core Peace」
 「Spain」      
 「シェルブールの雨傘」    
 「Shiny Stockings」
 「Opale Concert」
 「Voice」
 「Piano Sonata No.8,Pathetique」
 「Conglis Strut」
 「Talkin’ Loud」
 「Don’t You Worry’Bout A Thing」
 「Always There」
 「Everyday」
 「Fragile」
 「木星」
 「Agua de Beber」
 「Mas Que Nada」
 「Sapo Cai」
 「Tristeza」
 「TKNYO2」
 「Pick Somebody Up」
 「And Then Again」
 「Freeway Jam」
 「Big Neighborhood」
 「Run For Cover」
 「Straight To The Heart」
 「Brazilian Love Affair」
 「My Favorite Things」

 【出演者】

 リー・リトナー
 マイク・スターン
 布袋寅泰
 デヴィッド・サンボーン
 マーカス・ミラー
 ジョージ・デューク
 上原ひろみ
 寺井尚子&リシャール・ガリアーノ
 ケニー・バロン
 セルジオ・メンデス
 ラウル・ミドン
 インコグニート
 ミシェル・ルグラン
 カウント・ベイシー・オーケストラ
 ジャズ・フォー・ジャパン
 日野皓正
 熊谷和徳
 菊地成孔
 クオシモード
 ほか

 ~東京国際フォーラムで収録~ 


 『プレミアムシアター』

 ◇ゲルギエフ&ウィーン・フィル・コンサート
 「シェーンブルン夏の夜のコンサート2011」

 【曲 目】

 交響詩「レ・プレリュード」
 バイオリン協奏曲 第1番ニ長調から
 鶴のいる風景(作品44-2)
 組曲「展覧会の絵」
 ワルツ「ウィーンかたぎ」
 ポルカ「ドナウの川辺で」

 【出演】
 
 バイオリン:ベンヤミン・シュミット
 管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 バレエ:ウィーン国立歌劇場バレエ団
    :ウィーン国立歌劇場バレエ学校の子供達
 指 揮 :ワレリー・ゲルギエフ

 ~収録・2011年6月2日:シェーンブルン宮殿の庭園~

 ◇NHKハイビジョン・アーカイブス
 ザルツブルク音楽祭1991から
 歌劇「魔笛」(モーツァルト)

 ~第1幕
 1:04:00~2:23:30

 ~第2幕~
 2:24:30~4:04:30

 【出 演】

 (ザラストロ)ルネ・パーペ
 (タミーノ)デオン・ファン・デア・ヴァルト
 (弁者)フランツ・グルントヘーバー
 (僧)ヘルベルト・リッパート
 (夜の女王)ルチアーナ・セーラ
 (パミーナ)ルース・ツィーサク
 (第1の待女)インガ・ニールセン
 (第2の待女)イリス・ヴェルミオン
 (第3の待女)ヤード・ファン・ネス
 (パパゲーナ)エディット・シュミット・リーンバッハー
 (パパゲーノ)アントン・シャーリンガー
 (モノスタトス)ハインツ・ツェドニク
 (第1の武士)ウォルフガング・シュミット
 (第2の武士)ハンス・フランツェン
 (3人の少年)テルツ少年合唱団員
 (合 唱)ウィーン国立歌劇場合唱
 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 (指 揮)ゲオルク・ショルティ

 ~収録・1991年8月8日:ザルツブルグ祝祭大劇場~

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Newsweek日本版:『完全保存版・ジョブズ、天才の軌跡』雑誌紹介。

2011-10-13 23:30:00 | 文芸・思想・書物

 10月12,13日と出張だった。
 御徒町の書店で偶然見かけたニューズ・ウィーク。
 先般亡くなったスティーブ・ジョブズ氏の特集。
 今夜も少しだけジョブズ氏を回想したい。

2011.10.19号(10/12発売)
『完全保存版:ジョブズ・天才の軌跡』
2011年10月19日号(10/12発売)

 雑誌のページ数は80ページ。
 その内19p~67pまでがジョブズ氏&アップル関連の特集で、
 正味45ページの記事はNewsweek(ニューズウィーク)ならではの切り口。
 私が頭に描くジョブズ像通りの誇張なくありのままの等身大が語られている。

 私はジョブズ氏を、
 “100年(世紀)に1人のカリスマ経営者”
 と文字にしている。
 *本文
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20111006
 
 実際にジョブズ氏よりも優れた経営者は古今多く存在するだろう。
 しかし、
 ジョブズ氏ほどに“カリスマ的な存在”に神格化された経営者は類を見ない。
 *日本で言えば松下幸之助氏が伝説の経営者として現代にも語り継がれる。

 その理由として考えられる両氏の共通点は、
 ”経営哲学の表立った自己主張(伝達)”

 ジョブズ氏のプレゼンテーションは、
 まるでエンターテインメントのような注目を集めた。
 ジョブズ氏の巧みな言葉の表現は“人々をその気”にさせた。
 ジョブズ氏のストーリーは紆余曲折と成功と落伍が交互に訪れた。
 そんな物語に興味がある方にとって450円で手に入る最良の良書。
 それがニューズ・ウィーク(2011年10月19日号)最新号なのだろう。

 昨晩宿泊先のホテルの一室で深夜一気に読み通した。
 1時間30分程もかかっただろうか?
 雑誌を読み終えた感想は(Newsweek誌の)明快な構成。
 多くもなく少なくもない適度な情報量は読み手を安心させる。
 もし同じ情報量をWebに求めれば10時間以上もかかるだろう。
 それでも同じ内容量を自己に記憶(吸収)させることは困難。
 ペーパーとWebの大きな差は手に入れた情報の安定的保存。

 Newsweek誌の豊富な写真はアップルの進化を伝え、
 壮若のジョブズ氏の軌跡や、お洒落(ファション)の変化。
 ジョブズ氏の過去のゴシップからジョブズ氏への他者からの評価。
 そして浮かび上がるジョブズ氏が求める美意識(シンプル・デザイン)は、
 音楽と禅に深い共鳴を覚えたジョブズ氏が目指す方向性。
 *ジョブズ氏の禅は永平寺で修業を積んだ乙川弘文氏との深い関係。

 読み進みながら、
 ふとジョブズ氏の美意識の中にある日本文化に根付くシンプル性。
 禅の美術を学ぶ時に誰もが気付くであろう簡潔な美意識。
 禅と茶道に共通する美意識(精神文化も含め)については、
 鈴木大拙氏の名著:『禅と日本文化』に詳しい。
 *余談ながら10月18日:金沢市に鈴木大拙館がオープン。
 
 日本的な美意識として有名な、
 *桂離宮(江戸期の王朝文化)⇔日光東照宮(武家の権威象徴)。
 *茶室:待庵(千利休)⇔黄金の茶室(豊臣秀吉)
 *松林図屏風(長谷川等伯)⇔唐獅子図屏風(狩野永徳 )
 の対比は広く知られる。

 また読み進みながら、
 *ウッド・ストックとカウンター・カルチャー
 *ボブ・ディランが結んだジョブズとウォズニアックとの絆。
 *ビートルズのヒストリーと若きジョブズのインド放浪。
 そんな事が頭の中を駆け巡った。

 ジョブズ氏がiPodに賭けた夢と理想。
 ジョブズ氏が得意とするプレゼンとディランやレノンの卓越したメッセージ。
 ジョブズ氏が愛したカルチャー(音楽とデザイン)の具現化としての商品開発。

 やはり“アップル”の意味はビートルズ?
 もしかして“マッキントッシュ”の意味は高級アンプへの憧憬?
 そして、
 もしかして
i”の意味は愛?

 読み進みながらの色々な想像は楽しい。
 様々な事象を結びつけていく想像の楽しさ。
 今夜はそんな戯言を少しだけ。

 一番興味深かった記事は?
 奥様(ローレン・パウエル)との出会いとその日の決断(p30)。
 “今日が人生最後の日だとしたら、
 俺は彼女より仕事仲間を選ぶだろうか?”
 1年後2人は結婚した。

 また、
 ジョブズ氏の実妹は米国では著名な小説家:モナ・シンプソン(p26)。
 *兄妹の存在を知ったのはジョブズ氏が30歳を超えてからとされ、
 生活環境ではなく血筋が持つ神秘性を感じる事例として興味深い。

 もし書店で見つけることがあれば…。
 今週の私のお薦めです。

 *****

 以下新刊。
 スティーブ・ジョブズ I
 ウォルター・アイザックソン(著)
 講談社

 

 スティーブ・ジョブズ II
 ウォルター・アイザックソン(著)
 講談社

 

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今日もお休み。

2011-10-10 21:45:00 | mimifuku

 中途半端を文字にするなら。
 一層(いっそ)の事お休みする方が懸命。
 暫くお休みします。
 

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スティーブ・ジョブズ氏の死去&小沢一郎氏の初公判(2011年10月6日)

2011-10-06 23:00:00 | 政治・社会・時事

 今夜の更新記事は今週に入急遽り加入した、
 WOWOWをテーマにするはずだった。
 
 夜7時のNHKニュース。
 私にとっての今日(6日)最大のニュースは、
 スティーブ・ジョブズ氏の死去(現地時間5日)。
 2004年に膵臓癌(がん)を患い徹底した治療と管理により、
 延ばされた寿命(与えられた時間)は約7年。

 生き急ぐかのようなその7年間にジョブズ氏が成し遂げた偉業は、
 7年前の社会では想像もできない急速な進化を世界にもたらした。

 スティーブ・ジョブズ
 紛れもない時代の偉人であり世界史に刻まれるビック・ネームとなる。

 2008年の7月。
 mimi-fuku通信ではスティーブ・ジョブズ氏について触れている。

 *新型携帯電話「iPhone」を創った男/ スティーブ・ジョブズ。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20080712

 過去記事によると、
 『新型携帯電話:iPhone(アイフォーン)3G』
 
が2008年7月にソフトバンクより発売。
 と記されている。

 2011年10月6日:今朝の朝刊には、
 『改良型携帯電話:iPhone 4S』
 
がKDDI(au)でも販売。
 との文字に企業間競争の激化を予感。

 アップルの新SEO:ティム・クック氏の地味なプレゼンにも注目は、
 ジョブズ氏が亡くなる僅か前日のニュースだった。

 iPod,iPhone,iPad。
 iPodのカラー液晶画面登場以来凡その未来想定は予測できたものの、
 通信の発達もまた想像を超える速さで進みジョブズ氏の思考を刺激した。

 アップル社の総帥:スティーブ・ジョブズ(1955年~2011年)についての、
 2008年の過去記事を読み返してみると、

 ジョブズは一度アップル社を退社している。
 退社といえば聞こえは良いが“その実”業績不振による解任。
 アップル社の会長職(名誉職)を与えられたものの、
 ジョブズは新しい会社NeXTを立ち上げるために、
 自身が所有していたアップル株を売却。
 売却益をNeXT社に投資しハード&ソフトの両立を試みたが断念。
 その後NeXT社をソフトウェア会社として成長させた。
 1996年~97年にかけてアップル社がNeXTの買収契約に合意しアップルに復帰。
 そしてジョブズ率いる2000年頃からのアップル社の快進撃はご承知の通りである。

 iTunesとiPodによる成功は企画力と開発力の圧倒的な独創性を見せつけ、
 新しいアメリカン・ドリームの象徴とされている。
 そうしたジョブズの経歴は彼の持つカリスマ性を高め、
 ビル・ゲイツとは対照的な経営者としての側面も強調されることが多い。

 数年前に雑誌:AERAで読んだインタビュー記事が強く印象に残っている。
 完璧主義者で自信家の彼が自らの過去を振り返り、
 「私は良いものさえ作れば市場は反応すると信じてきた。
 そのために価格を無視してでも自分が欲しものを作ろうと考えた。
 しかしそれは私の思い過ごしだったようだ。
 市場にとってまず大事なことは価格なのだ。
 購入できる価格を設定し上で商品作りを考えるべきことに気付いたことは、
 私にとっての大きな変化だった。
 そして市場の求めているものは完璧なものではなく、
 ヴァリュー・フォー・マネー(Value for Money)
 ~価格に見合った質の高いサービスの提供~
 の徹底なのだ。
 最高の音質を求めればコストはかかる。
 しかしその価格が商品を購買する購買層(ターゲット)に対して、
 高嶺の花となってはその商品は自己満足に過ぎない。
 大切なことは購入できる価格のライバル製品の中で、
 対象商品が如何に傑出しているかが、
 ヴァリュー・フォー・マネーの定義であり、
 市場において満足度を共有できる商品こそが、
 大衆の指示を得ることができる。」
 そんな感じの
コメントだったと記憶している。

 基本コンセプトの徹底。

 繰り返すが、
 「私は良い商品さえ作れば市場(マーケット)は反応すると信じてきた。
 そのために価格を無視(高額)してでも自分が欲し商品を作ろうと考えた。
 しかしそれは私の思い過ごしだったようだ。
 市場にとって先ず大切なことは(購入可能な=大衆)価格なのだ。
 購入できる価格を設定した上で、
 商品作りを考えるべきことに気付いたことは、
 私にとっての大きな変化(収穫)だった。
 そして市場が求める商品は完璧なものではなく、
 “ヴァリュー・フォー・マネー(Value for Money)”
  ~価格に見合った質の高いサービスの提供~
 の徹底なのだ。
 最高の音質(携帯音楽プレーヤー)を求めればコストはかかる。
 しかしその価格が商品を購買する購買層(ターゲット)に対して、
 高嶺の花となってはその商品は(製作者の)自己満足に過ぎない。
 大切なことは購入可能な価格のライバル製品(他社の商品)の中で、
 対象商品(自社の商品)が如何に傑出しているかが、
 ヴァリュー・フォー・マネー(=コスト・パフォーマンス)の定義であり、
 市場において“満足度を共有”できる商品こそが、
 大衆の指示を得ることができる。」
 は、
 21世紀初頭の急速な変化が起きた国際マーケットの指標となる言葉であった。
 ~ただし経営コンセプトは時代の変化に対応して異なり続ける傾向から絶対はなく、
 今後も価格設定ありきのビジネス・モデルが継続しえるかは流動的と考えたい。

 我国でも、
 急速に価格破壊が進んだ1998年前後の新しい生産拠点(国際化)と市場の開拓。
 “購入できる価格”内での安定した品質と市場への刺激策(=満足度の共有)。
 ジョブズ氏が180度転換した市場命題は、
 “マイクロソフトの後塵を拝したアップルの逆襲”
 でありその基本概念は奇想天外な構想を生んだ。

 無料で提供された、
 iTunses(ソフト&有料ストア)なくしてアップルの発展はあり得なかった。
 生産するだけのビジネスモデルにこだわる多くの企業(生産拠点と価格)に対し、
 ジョブズ氏は“だけを廃する”ことで商品の存在価値(=多様性の創造)を高め、
 変化する通信技術を逸早く未来想定した上での商品開発と商品(夢)の提供。

 “人よりも一歩も二歩も先を見据えた経営哲学&自らの死との対話”

 膵臓癌(すいぞうがん)。
 多くの場合は発見された時点で手遅れと言われる最も深刻な臓器の腫瘍。
 ・・・。
 ジョブズ氏は生き急ぐ必要があった。
 と同時に、
 ジョブズ氏の強い個性は絶えず対立を生みだし、
 対立もまたジョブズ氏に多くの経験を植えつけている。

 過去の経験を活かし最大限に生き抜いたジョブズ氏の生涯。
 と、
 思いつく言葉を(私が)文字にするのは容易い。 
 しかし、
 ジョブズ氏が歩んだ道のりと経験。
 決して誰にも真似のできない未知の領域への挑戦に、
 神(悪魔)の申し子と讃える人も多い。

 パフォーマーとしての注目される事の多いジョブズ氏。
 しかし先進性(開発者)と経営能力(適材適所の人材登用)。
 さらに人材(エンジニア)との軋轢(無理な要求の指示・命令)と、
 その気にさせる“人を動かす力”は耳にする限り類を知らない。

 私はその部分(開発能力&経営能力)に感銘を受けるし、
 頭に描く想像(=自身の夢)を実現化する巨大な行動力は、
 人々の暮らしや社会環境を大きく変えた。

 それは政治力や国家行政ではなく、
 それは卓越した個人の創造性と、
 実現可能に貢献した企業の能力。

 ジョブズ氏の死は業界の勢力図を大きく変えるだろう。
 しかしジョブズ氏に代わる人材は当分あらわれそうにない。
 “100年(世紀)に1人のカリスマ経営者”

 世界は惜しい人材を失った。

 <関連リンク>
 *スティーブ・ジョブズ氏のスタンフォード大学での卒業式スピーチ
  https://sites.google.com/site/himazu/steve-jobs-speech

 リンク先に記入される2005年6月12日のジョブズ氏の有名なスピーチは、
 膵臓癌による生と死の境界を生きている経験(&不安)を前提に語られており、
 読み進んで行けば私が文字にした拙文の意味が分かりやすいと感じます。
 長文ではありますが是非お読みください。

 *****

 2011年10月6日。
 この日のトップ・ニュースは、
 小沢一郎民主党代議士の初公判。
 小沢氏の言い分も理解できる。
 *総選挙を狙ったかのような検察の暴挙(権力の執行)。
 *近年できた法律による民間人の手による起訴。
 この部分について小沢氏に同情する余地もある。
 しかし私の過去ブログ、

 *法律は許されても“それはモラルの問題”。
  http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20100827

 *平成23年:東北地方太平洋沖地震(東日本巨大地震)に思う事 14。
 http://blog.goo.ne.jp/mimifuku_act08/d/20110414

 の記事で述べたような理由から私は小沢氏を信用する事はできない。
 自分達(政治家)が作った法律によって起訴された事実を否定する事。
 三権分立を論じる前に法に基いた手続きに悪態をつく態度は自己否定。
 本当に報道(夕方の記者会見)を見るに及んで“恥を知らない人”だと感じた。

 問われるべきは法律ではなく政治家としての姿勢(=在り方)の問題であり、
 小沢一郎氏の政治姿勢が自己への執着と感じさせることに残念でならない。

 蛇足ではあるが有罪判決を受けた、
 小沢氏の元秘書:石川知裕衆院議員は、
 早急に議員(国会・衆議院)を辞職すべきだ。

 逮捕・起訴は司法の決定機関である裁判所の判断ではない。
 私はその点について、
 議員の立場や行政職員(公務員)の立場は守られるべきだと思う。
 しかし一審とは言え、
 有罪判決が出た今もなお何故彼は、
 議員の席に身を置き血税を得るのか?

 私の常識では議員を辞職し、
 地元の有権者に身を委ねる事が真っ当ではないか?
 それが守られないことは三権分立の軽視(=司法)に当たる。
 と同時に、
 それを見過ごす事は、
 国会(議員総べて)の良識が問われる。


 ~以下Web記事転載(ジョブズ氏関連)。

 米電子機器大手アップルは5日(2011年10月)共同創業者の、
 スティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(SEO)が同日死去したと発表。
 享年56歳だった。

 *携帯音楽プレーヤー:iPod(アイポッド)。
 *多機能携帯電話:iPhone(アイフォーン)。
 *多機能端末:iPad(アイパッド)」など、
 革新的な大ヒット商品を世に送り出し経営不振だったアップルを、
 世界最大のIT企業に導いたカリスマ経営者だった。

 *****

 20世紀から21世紀にかけ、
 人類の日常生活に革命を起こしたカリスマ経営者がこの世を去った。
 波乱万丈の人生だった。
 米サンフランシスコに生まれ直に養子に出された。
 大学中退後の1976年。
 自宅のガレージで友人のスティーブ・ウォズニアックとアップル・コンピュータを創設。
 マウスを使った家庭用パソコン:『マッキントッシュ』がヒットし、
 一躍若手起業家の仲間入りを果たすも経営対立から、
 1985年に会社を追われた。

 ジョブズ氏自身が「ひどく苦い薬だった」と振り返る経験を経て、
 映画会社『ピクサー・アニメーション・スタジオ』を設立した。
 CGを使った『トイ・ストーリー(95年)』がヒット。
 1997年。
 12年ぶりに古巣アップルのトップに復帰した。

 復帰後は、
 デザインと機能性にこだわった一連の商品を発売。
 iPodは音楽業界の形態に革命を起こした。
 iPhoneも世界的な社会現象となり、
 iPadと合わせ、
 “10年間で3度の革命を起こした”
 と、ITアナリストに評された。

 2004年にすい臓がんを治療。
 2009年に肝臓移植のため半年間休職した。
 2011年1月に再び体調を崩し休職。
 2008年にCEOを辞任していた。

 最近では今年3月に療養中ながら新製品発表会に登場。
 「技術が教養や人間性と結び付いてこそ、
 “人の心を動かす”ことができる。」
 と持論をアピールしていた。

 テクノロジーの世界のカリスマだったがジョブズ氏は、
 豊かな言葉を持つ人物としても知られた。
 2005年にスタンフォード大の卒業式でのスピーチは、
 名演説として今も語り草になっている。

 「17歳の時から33年間、毎朝鏡を見て(私は)自問自答している。
 “今日が人生最後の日だとしたら私は今日する予定のことをしたいと思うだろうか”
 そして答えがノーであることが何日も続けば何かを変えるべきなんだ。」

 強いメッセージを送った後に、
 「ハングリーであれ、愚かであれ」
 と締めくくった言葉は多くの著書などで引用されている。
 (2011年10月7日付/スポーツ報知・記事転載)

 *****

 5日に死去した米アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が手掛けた製品は、
 PCの『マッキントッシュ』から多機能携帯端末『iPad』に至るまで、
 ミニマリスト的デザインとシンプルな操作性が特徴だった。
 ジョブズ氏のこうした革新的なデザインには、
 禅の影響があるのではないかと指摘する声もある。
 ジョブズ氏は若いころインドに旅して仏教に触れ、
 1970年代にカリフォルニア州の禅センターに通って、
 日本出身の禅僧:故・乙川弘文氏と交流を深めたといわれる。

 乙川氏はジョブズ氏の結婚式を司り、
 1986年にジョブズ氏がアップルのCEOを解任されて設立した、
 ネクストの宗教指導者にも任命されるなど2人の交流は長年にわたって続いた。

 ジョブズ氏がスタンフォード大学で2005年に行った有名な講演をはじめ、
 同氏の発言の中には禅の自力本願の思想が反映されている。
 講演でジョブズ氏はこう語った。
 「過去33年間、私は毎朝鏡の中の自分に向かって、
 “もし今日が自分の人生最後の日だったら、
 今日やろうとしていることをやりたいと思うか?”
 と問い掛ける。
 そして答えが“NO”の日が続いたら何かを変えなければいけないと思う。
 自分はいつか死ぬと思い続けることは私が知る限り、
 何かを失うかもしれないという思考の罠に陥るのを防ぐ最善の方法だ」。

 ジョブズ氏と乙川氏との交流はフォーブズから近く出版される、
 劇画小説「The Zen of Steve Jobs」に描かれる。
 (2011年10月6日付/CNN Japan 記事転載)

 *****

 自ら立ち上げた会社であるアップルコンピューターから、
 1985年に追い出されたスティーブ・ジョブズ氏は、
 12年後の1997年に再びアップルに復帰した。

 そして新しい広告キャンペーンを開始した。
 キャンペーンのタイトルは、
 “違う考え方を持ちなさい(Think Different)”
 アルバート・アインシュタインやボブ・ディラン、
 マーティン・ルーサー・キングやジョン・レノン、
 トマス・エジソンやモハメド・アリ、
 マハトマ・ガンディーやパブロ・ピカソ。
 彼等の顔が次々に登場しナレーションが流れる。

 「ここに正気でない人たちがいます。
 社会不適者に不平ばかり言う者。
 (所謂)問題児たちです。
 世間を違う目で見ている人たちなんです。
 人々が彼らに対し正気ではないと囁く時、
 我々は彼らの中の天才性を見ます。
 正気でない人だけが、
 自ら世間を変えることができると信じ、
 それによって世間が変わります。」

 ジョブズ氏の人生がまさにそうであった。
 人々は彼を正気ではないと思い問題児とみなした。
 しかしジョブズ氏とアップルは世の中を違う目で見た。
 人々がジョブズ氏とアップルは正気ではないと後ろ指を差した時、
 彼らは天才的な製品を作り世間を変えた。
 スティーブ・ジョブズ氏の56年間の人生。
 世の中が変わった。

 ●アップルの始まり
 ジョブズ氏は1955年に未婚の母親から生まれ、
 その直後に里親に送られた。
 しかし不幸ではなかった。
 誰かがジョブズ氏にポールとクララ・ジョブズ氏夫婦について触れながら、
 「里親」と表現すればジョブズ氏は直ちに「両親」と言葉を訂正した。
 よい家庭だった。
 そしてよい環境だった。
 その場所は、
 ほかならぬシリコンバレーだったからだ。

 ジョブズ氏の自宅から遠くないところには、
 米航空宇宙局(NASA)のエームス研究所があった。
 ジョブズ氏は幼い頃、
 そこで同じ年頃の少年らは目にできなかったコンピューターに接した。
 オレゴン州のリード大学に通ったが1学期後に中退しシリコンバレーに戻り、
 コンピューターに関心のあったエンジニアたちと付き合った。
 この集いであった人の1人がジョブズ氏より5歳年上の、
 スティーブ・ウォズニアック氏だった。
 ウォズニアック氏はアップルコンピューターの初ヒット作、
 『アップルII』を作った人だ。

 1976年。
 ジョブズ氏はウォズニアック氏の新婚宅や自宅の車庫を事務所代わりにし、
 アップルコンピューターを立ち上げた。
 資本金はポケットマネーをはたいて工面したわずか1000ドル。
 ジョブズ氏には確信があった。
 ウォズニアック氏が作るコンピューターはまもなく各家に1台ずつ、
 冷蔵庫や洗濯機と同じように売られるだろうし、
 その時になれば世の中は変わるだろうという確信だった。

 誰一人としてジュブズ氏の考えに同調しなかった。
 否、正気ではないとさえ言われた。
 当時の基準から見ればコンピューターとは、
 研究所や企業で使われる高価な代物で、
 一般家庭における代物ではなかったからだ。
 しかし、
 1977年。
 ジョブズ氏とウォズニアック氏が作った『アップルII』は、
 飛ぶように売れ個人向けコンピューター(パソコン=PC)時代を切り開いた。

 ●失敗の連続
 1984年。
 ジョブズ氏が作ったマッキントッシュは失敗の始まりだった。
 ジョブズ氏とアップルの従業員らが、
 ゼロックスのパロアルトリサーチセンター(PARC)が開発した、
 マウスやグラフィックユーザーインターフェイス(GUI)を、
 PCに適用したのは革新的な出来事だった。
 それまでのコンピューターはキーボードで画面に命令語を打ち込む方式で作動させた。
 がマッキントッシュは絵をマウスでクリックすれば作動する未来のコンピューターだった。
 問題はこの技術を取り入れたマッキントッシュの価格が高すぎることだった。
 マッキントッシュは昨今のコンピューターの形を初めて提案したが、
 時代を余りにも先取りしていた。
 消費者は高価なマッキントッシュに顔を背け、
 ジョブズ氏はアップルから追い出された。

 しかし彼のやり方は確かに正しかった。
 当時アップルのマッキントッシュ・コンピューター向けソフトウェアを製作・販売した、
 小さなソフトウェアメーカー:マイクロソフト(MS)のビル・ゲイツ氏は、
 この過程で学んだマッキントッシュ・ソフトウェア技術を利用し、
 その後に『ウインドウズ』運営体制(OS)を作り出す。

 アップルから追い出されたジョブズ氏は、
 アップルを見返したいとの思いから、
 ネクスト(NeXT)というコンピューター会社を作った。
 素敵なデザインに優れた性能。
 先をリードするソフトウェアを使った、
 完璧なコンピュータを作るのが目標だった。
 しかし、
 今度もジョブズ氏は市場を読み間違えた。
 ネクストはマッキントッシュよりもさらに高価で、
 ターゲットにしている消費者は大学生だった。
 売れるはずはなかった。

 この時ジョブズ氏は、
 映画:【スター・ウォーズ】の監督として有名なジョージ・ルーカスから、
 コンピューター・グラフィック会社を一つ買収する。
 ルーカスが妻との離婚訴訟に敗れ慰謝料の支払いに追われ、
 大急ぎで売りつけた会社だった。
 同社はその後に『ピクサー』と名前を変えた。
 自社映画:【トイ・ストーリー】が初めて商業的成功を収めた1995年まで、
 実に9年間もピクサーは骨折り損の草臥れ儲けのように膨大な損害を受けた。

 当時ジョブズ氏と共にピクサーを立ち上げたエド・キャットムル氏は、
 ジョブズ氏の死亡のニュースを耳にし、
 「スティーブはコンピューターでアニメを作るという、
 正気でない考えを心底から信じ我々にチャンスを与えた」
 と振り返る。

 ●ジョブズの復活
 1997年。
 ジョブズ氏はアップルに戻ってくる。
 アップルは不渡り寸前(倒産寸前)まで追い込まれた状態だった。
 復帰したジョブズ氏が手がけたことは何一つ前向きな反応を得ることができなかった。
 復帰直後ジョブズ氏が手がけた最大の仕事はライバル会社だったMSとの提携だった。
 ジュブズ氏は(ライバルの)ビル・ゲイツ氏を訪ね、
 MSに自由にアップルの特許を使わせる代わりに投資を頼み込んだ。
 1997年。
 ジョブズ氏のキー・ノートでMS(マイクロ・ソフト)との提携事実が発表され、
 ジョブズ氏の後ろの巨大な画面にゲイツ氏が登場すると、
 アップルのファンらは野次を飛ばした。
 しかしこの時からジョブズ氏は正しかった。
 アップルはこの協力のおかげで急場をしのぐことができ、
 立ち直りの足がかりを作った。

 2001年に発表した、
 携帯向け音楽プレーヤー:『アイポッド』も最初から失敗が囁かれた。
 携帯向け音楽プレーヤー市場は数十年間ソニーの独壇場だったし、
 携帯向け音楽プレーヤー、メーカー各社は軒並み該当分野だけに集中する、
 専門メーカーだった。

 (失敗が囁かれた理由は)コンピューターを作り続けたアップルが、
 果たして携帯向け音楽プレーヤーを売ることができるだろうか?
 という懸念だった。

 その結果は皆ご存知の通り。
 アイポッドは世界で最も多く売れた、
 携帯向け音楽プレーヤーとなった。

 2007年に披露した、
 多機能携帯電話:『アイフォーン』も失敗の予想が先に出た。
 携帯電話メーカーは消費者ではなく通信社を相手に物を売るビジネスだった。
 通信会社とのネットワークも営業ノウハウも無かったアップルには、
 製品を売る手が無いということだった。
 しかしアイフォーンは世界で最も多く売れるスマートフォンとなった。
 アイフォーンに熱狂する消費者らは、
 通信会社に圧力をかけアイフォーンを販売させ、
 アイフォーンを販売できない通信会社は競争で遅れを取った。
 ジョブズ氏は市場の力学関係を変えてしまった。

 2010年。
 多機能端末:『アイパッド』が出たときも皆が口をそろえて、
 「サイズだけ大きくなったアイフォーン」
 だと酷評を飛ばした。
 しかしそのおかげで皆が存在すらしなかった、
 “タブレットPC市場”というこれまでにない新しい市場が誕生し、
 “アイパッドの人気”のためパソコン市場が揺らいだ。

 ジョブズ氏はアップルを自分の最も好きなバンドである、
 ビートルズにたびたび例えた。
 「ビートルズは4人がお互いに弱みを補い合うバンドですね。
 お互いにバランスが取れています。
 そしてこの4人の合計は4より一際大きいのです。
 企業の偉大なところは、
 これは1人で出来ることではないということです。
 アップルはチームプレーですね」。

 (2011年10月7日付/東亜日報・記事転載)

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