まやの午睡

日常の記録です。

フェミニズム雑誌が取り上げる長女の「母親」って…

2017-12-12 20:20:19 | 日記
家族の誰かがメールで長女のインタビュー記事を添付してきた。
リタイアした暇な人がいる。

かなり先鋭的なローカルのフェミニズム雑誌だ。
長女は女性研究者支援の財団から選ばれてヨーロッパ担当のアドバイザーになっているから白羽の矢が立ったのか、その地方の有名大学で講義、大学病院での診察、研究の三足のわらじをはいていることが目立ったのか、その道の画期的な研究で国際的な賞を取っていることが知られたのかは分からない。

で、長女の写真は「医者」とか「研究者」という感じではなく、フェミニズムの運動家という感じ。
「若くて美しくて」業績を上げている、と持ち上げられている。
ふうーんと読んでいたが、長女の「母親」のことが書かれているのに驚いた。

日本人で、日本の学歴はフランスで認められず、車の運転もできず、専業主婦として家事に専念してきた、そうだ。で、長女はそんな母親とは異なった道を歩んだ。母親も誇りに思ってくれていると思う、というのだ。

移民の子弟が「社会的」に「出世」した時の典型的なストーリーだ。

で、自分の二人の娘にも、野心をもってもらいたい、と言う。
女の子はタイツをはきかわいい靴を履いて走ると転ぶから動かなくなる、だから自分はすべてのワンピースやタイツを捨てて運動靴を履かすことにした、という。

自分は仕事がとても忙しいがそのことに満足している。うちに帰ると、子供たちもママが満足しているのを感じて満足する、という。

フェミニズムの雑誌だから、分かりますよ、
こういうシナリオ。

でも、これってあまりひどくないか ?

母親である私のことはまあいい。
別に日本の学歴を認められないということはなかったし、それをベースにしてフランスの博士課程も終えた。町中に住んでいるので車は普段必要としないし、週末やバカンスは夫が運転するので、確かにペーパードライバーではあるけれど免許証は今でも有効だし、運転したくないのは視力の問題もあった。
長女は病院の夜勤があったので免許をとったらすぐに小型の車を買ってやったのは事実だ。都心に住む長男も次女も免許があるがほとんど運転しない。
長女の性格と運転は相性がいい。
長女や次女は幼い時から、ジーンズにスニーカーがデフォルトだったし。
私自身も似たようなもの。

まあ、それはいいとして、この記事には見事なほど「男」の姿がない。

私だけが「専業主婦として家事に専念してきた」なら、夫の家族のためにしてきたすべての歴史はどうなる ? 今でもメール一本で、TGVに飛び乗って長女の子供たちの世話をしに行く夫は ? 
長女の息子は ?
そして何よりも、帰り時間が不規則で出張も多い長女と違って朝も夕方も、すべての食事も学校の支度も引き受けている婿クンは ?
私のために役所を一年休職して日本に住んだ夫や、長女の大学ポストのために転職した婿クンは ?

いやあ、この記事は絶対に婿クンの両親には見せられない。

まあ、長女もだから誰にも知らせていないのだろうけれど、今はインターネットで何でも検索できて、それをやる暇な人もいて、それを家族に拡散する人もいるとは思わなかったのかな。
まあ、このことで長女に何か言うつもりはない。

でも、明らかにアングロサクソン型のフェミニズム雑誌。

男抜きでも、外国人で家庭の主婦の母親を見て育っても、国際的に活躍しても、
自分は充実、活躍していて、子供たちも満足、って、そんな幻想をふりまいてもいいのかなあ。

何かかえっておかしい。

こういう路線のフェミニズムって考えなおすべきではないだろうか。

他にもいろいろ突っ込みどころが多すぎる記事だったが、一応ここに書いてしまったのですっきりした。