日本からの帰国便の中で見た映画のひとつに『The Second Best Exotic Marigold Hotel』(ジョン・マッデン監督、ジュディ・デンチ、マギー・スミス)という英米コメディがある。
老後をインドのホテルで送るイギリス人の中高年男女の人間模様だが、そのホテルの若き支配人のインド人男性が、婚約者に何かするように言われた時に、Tes ordres sont mes désirs ! と叫ぶ。
もとは英語のセリフなのだけれど私はついフランス語吹き替えにして聞いていたので、フランス語で言われたわけだからオリジナルがどういう英語だったか分からないし、日本語だとどう訳されていたかも分らない。
直訳すると
「君の命令は僕の欲望だ」
ということで、なんだかSMクラブでマゾヒストの男が鞭を手にした「女王様」に言うセリフみたいだけれど、映画の中ではもちろん婚約者の男が生き生きと嬉しそうに口にしている。
「君の命ずるところは僕の欲するところのものだよ」すなわち
「君の命令を遂行するのが僕の喜び」というわけだ。
日本語なら「お望みどおりに」くらいだったかもしれない。
私はこのフランス語の表現がいたく気に入った。
で、うちに帰ってから、夫に何かを頼んだ時に、「うん、いいよ」みたいな返事をされたので、
「あのね、そういう時は«Tes ordres sont mes désirs !»と答えるんだよ」
と言った。
夫は一瞬意味が分からなかったが、それを自分で繰り返して言ってみて、笑った。
彼もその表現が気に入ったみたいで、その後でカナダにいる義弟から電話があって話していた時に、「今度から奥さんに何かするように言われたらこう答えるんだよ」、と教えて、うけていた。
次の日の夕方、いつも通り「腹がすいた、餌をくれ」とニャーニャーとうるさくないて夫にまつわりついてきたうちの猫に対しても
«Tes ordres sont mes désirs»
と答えて猫缶を取りに走っていたのには笑えた。
この表現は、実際のところ、言われた方より言う方に満足感を与えるのだ。
それにはベースにギヴ・アンド・テイク、見返りを求めない関係が成立していないとだめだ。うちでは猫が一番偉いのは自明だけれど、ね。
老後をインドのホテルで送るイギリス人の中高年男女の人間模様だが、そのホテルの若き支配人のインド人男性が、婚約者に何かするように言われた時に、Tes ordres sont mes désirs ! と叫ぶ。
もとは英語のセリフなのだけれど私はついフランス語吹き替えにして聞いていたので、フランス語で言われたわけだからオリジナルがどういう英語だったか分からないし、日本語だとどう訳されていたかも分らない。
直訳すると
「君の命令は僕の欲望だ」
ということで、なんだかSMクラブでマゾヒストの男が鞭を手にした「女王様」に言うセリフみたいだけれど、映画の中ではもちろん婚約者の男が生き生きと嬉しそうに口にしている。
「君の命ずるところは僕の欲するところのものだよ」すなわち
「君の命令を遂行するのが僕の喜び」というわけだ。
日本語なら「お望みどおりに」くらいだったかもしれない。
私はこのフランス語の表現がいたく気に入った。
で、うちに帰ってから、夫に何かを頼んだ時に、「うん、いいよ」みたいな返事をされたので、
「あのね、そういう時は«Tes ordres sont mes désirs !»と答えるんだよ」
と言った。
夫は一瞬意味が分からなかったが、それを自分で繰り返して言ってみて、笑った。
彼もその表現が気に入ったみたいで、その後でカナダにいる義弟から電話があって話していた時に、「今度から奥さんに何かするように言われたらこう答えるんだよ」、と教えて、うけていた。
次の日の夕方、いつも通り「腹がすいた、餌をくれ」とニャーニャーとうるさくないて夫にまつわりついてきたうちの猫に対しても
«Tes ordres sont mes désirs»
と答えて猫缶を取りに走っていたのには笑えた。
この表現は、実際のところ、言われた方より言う方に満足感を与えるのだ。
それにはベースにギヴ・アンド・テイク、見返りを求めない関係が成立していないとだめだ。うちでは猫が一番偉いのは自明だけれど、ね。