7月22日は長女の誕生日だ。
18日の夜からリヨンの友人宅に遊びに行っていた長女一家は21日の深夜に帰ってきた。婿クンは5週間の長いバカンスに突入している。5月には2週間日本に行っていたし、11月にはインド洋に1週間行くし、8週間も休めるなんていい身分だ。
長女は自分の誕生日である22日だけ最後の出勤をした。しかも、夜にはオーストラリアからのVIPとの正式ディナーがあるそうで深夜にしか戻らない。次の日の早朝にはみなでサルデーニュ島に向かう。
で、婿クンがひとりで孫クンと妹ちゃんの世話をしていたので、私と夫が昼に寄ってみた。近くのおいしい日本レストランで、長女抜きで長女の誕生祝いをする。日本でおいしいすしを食べた孫クンは、今やパリ中にある中国人経営の日本レストランでのすし飯や海苔は嫌いで、日本人経営のレストランでなら喜んで食べるのだ。
手には小さなマニキュアのビンを二つしっかり持っている。
自分のお小遣いでパパといっしょに買ったママンへの誕生日プレゼントだそうだ。近所のドラッグストアみたいなところで選んだらしい。
でも、最初は「皮膚がんの治る薬を買いたい」といって熱心に探していたそうだ。
この暑い季節、ママンといると紫外線カットのクリームやサングラスでいつもガードされているのでそのためなのかなと思ったら、
「皮膚がんの治る薬をプレゼントしたらママンがお仕事しなくてすむから」
だそうだった。
長女の仕事は癌研で週1日は診療、4日はラボでメラノーマに効く新しい抗ガン剤の開発研究である。
最先端のことをやっているのでテレビやラジオでも時々インタビューされる。医学博士号に続く二つ目の博士論文PhDを仕上げたらロスアンジェルスの研究所に招かれている。家族ももちろんいっしょだ。
だからその話も孫クンにはしているのだろう。
でも彼にとっては、ママンは仕事で忙しい、「皮膚がんを治すお薬」をプレゼントしてあげればきっともう忙しくなくなる、という発想につながったのだ。
いや、そんな薬が売ってたら、ママンは失業しますから…
でもそんな薬がなかったので、大好きなママンのためにきらきらネイルの小瓶を2つ、となったらしい。
長女はマニキュアをしていないからね。
患者に触れたり実験をしたりするのにネイルアートの指先はまずいでしょ。
でも、翌日からの5週間のバカンス、きっと、息子がはじめて買ってくれたプレゼントのマニキュアをつけて出かけるんだろうね。
レストランから戻ってみんなでお祝いのカードを作った。
メインのハートと「MAMAN, JE T'AIME」の言葉は孫クン。
寄せ書きするつもりだった私と夫と婿クンは、その周りを飾るための星しか描かせてもらえない。
でも、孫クンはちょっと考えてから、カードの裏に日付とBON ANNIVERSAIRE(お誕生日おめでとう)の言葉を書くことを私に委託してきた。
「なんといってもミアがママンを生んだんだからね」
という理由で。
かわいいね、君。
18日の夜からリヨンの友人宅に遊びに行っていた長女一家は21日の深夜に帰ってきた。婿クンは5週間の長いバカンスに突入している。5月には2週間日本に行っていたし、11月にはインド洋に1週間行くし、8週間も休めるなんていい身分だ。
長女は自分の誕生日である22日だけ最後の出勤をした。しかも、夜にはオーストラリアからのVIPとの正式ディナーがあるそうで深夜にしか戻らない。次の日の早朝にはみなでサルデーニュ島に向かう。
で、婿クンがひとりで孫クンと妹ちゃんの世話をしていたので、私と夫が昼に寄ってみた。近くのおいしい日本レストランで、長女抜きで長女の誕生祝いをする。日本でおいしいすしを食べた孫クンは、今やパリ中にある中国人経営の日本レストランでのすし飯や海苔は嫌いで、日本人経営のレストランでなら喜んで食べるのだ。
手には小さなマニキュアのビンを二つしっかり持っている。
自分のお小遣いでパパといっしょに買ったママンへの誕生日プレゼントだそうだ。近所のドラッグストアみたいなところで選んだらしい。
でも、最初は「皮膚がんの治る薬を買いたい」といって熱心に探していたそうだ。
この暑い季節、ママンといると紫外線カットのクリームやサングラスでいつもガードされているのでそのためなのかなと思ったら、
「皮膚がんの治る薬をプレゼントしたらママンがお仕事しなくてすむから」
だそうだった。
長女の仕事は癌研で週1日は診療、4日はラボでメラノーマに効く新しい抗ガン剤の開発研究である。
最先端のことをやっているのでテレビやラジオでも時々インタビューされる。医学博士号に続く二つ目の博士論文PhDを仕上げたらロスアンジェルスの研究所に招かれている。家族ももちろんいっしょだ。
だからその話も孫クンにはしているのだろう。
でも彼にとっては、ママンは仕事で忙しい、「皮膚がんを治すお薬」をプレゼントしてあげればきっともう忙しくなくなる、という発想につながったのだ。
いや、そんな薬が売ってたら、ママンは失業しますから…
でもそんな薬がなかったので、大好きなママンのためにきらきらネイルの小瓶を2つ、となったらしい。
長女はマニキュアをしていないからね。
患者に触れたり実験をしたりするのにネイルアートの指先はまずいでしょ。
でも、翌日からの5週間のバカンス、きっと、息子がはじめて買ってくれたプレゼントのマニキュアをつけて出かけるんだろうね。
レストランから戻ってみんなでお祝いのカードを作った。
メインのハートと「MAMAN, JE T'AIME」の言葉は孫クン。
寄せ書きするつもりだった私と夫と婿クンは、その周りを飾るための星しか描かせてもらえない。
でも、孫クンはちょっと考えてから、カードの裏に日付とBON ANNIVERSAIRE(お誕生日おめでとう)の言葉を書くことを私に委託してきた。
「なんといってもミアがママンを生んだんだからね」
という理由で。
かわいいね、君。