マキペディア(発行人・牧野紀之)

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静岡県知事選(2013年)立候補者の出すべき公約

2013年06月11日 | サ行
 今回の知事選は前回(2009年)と比べて盛り上がりに欠けると言われています。私もそう思います。川勝さんにもう一期やらせても好いのではないか、という考えの人が多いようです。現に、情勢調査では「川勝優勢」と伝えられています。対立候補として立った広瀬さんの政策が代わり映えのしない物であることも一因でしょう。

 しかし、これからの4年間の静岡県のあり方を左右する選挙ではあります。私は、「ひょっとすると、また仮立候補しなければならない事態になるかもしれない」と思って、「公約」を準備してきました。そういう事態にはなりませんでしたが、後から、「お前はあの時言わなかったではないか」と言われるのは辛いですので、未完成ですが、それを発表します。

 そして、この観点から、両者を評価して、私が誰にどういう理由で投票するかを述べます。

 第1のスローガンは「公正で楽しい静岡県を」です。
 第2のスローガンは「教育立県・静岡」です。
  教育の全てを根本から再検討し、県民全体の底上げを図って県民生活を再構築する。

 第1次的・根本的な公約は、「県政を隅から隅まで自分で調査研究し、県政の全体的真実を分かりやすくまとめたホームページを作ります。そして、月に2回の知事通信を発行して、県民全体での議論を主導します」です。

 囲碁や将棋をした人なら分かるように、盤面全体を見渡して、一番重要な所から手を付けて行くのが唯一の正しい態度ですが、これまでの県政にはこの「盤面全体を見渡す」という大前提が欠けていました。

 実際の行政は、各部署が自分の部署を守ることを目的にした「政策」を提案し、それらをトップが少し調整して、県全体の政策(予算)とする形で作られてきました。こういう職員主導の県政を「トップの主導する県民全体のための県政」に変えることです。もちろん職員を軽視するのではありません。職員を県民の一部として考えるということです。

 世の中は「官」と「民」から成り立っていますが、両者は並立する2つの部分ではありません。「官」が大きな枠組みを作り運営し、「民」はその枠組みの中で創意工夫して活動するのです。県のトップは、現在の枠組みが適当か、それは正しく運用されているかを常に反省し、必要な改革をしながら行政を行うべきです。このような当然の事がこれまでなされてこなかったのです。

 県民全体の議論の場として、「知事通信」を月に最低でも2回発行します。私は学校教師として「教科通信」を発行して、学生に喜ばれてきました。

 これが全ての大前提です。以下の2次的公約は政策の方向ないし希望であって、現段階では「必ず実行する」と約束できるものではありません。県政の真実が明らかになった段階で修正される可能性がありますが、出来るだけその方向で努力する、という意味です。

 ☆ 2次的公約

 01、行政改革

 ①4割ルール(公的な委員会などでは委員の4割は異性が占めなければならないというルール)で男女共同参画を実現したい。
 ②副知事を4名にして男女半々にし、かつ政治主導を実現したい。
 ③県民の皆さんに「議員に通信簿を付ける会」「特別公務員に通信簿を付ける会」「学校(校長)に通信簿を付ける会」を作って下さるように要請します。場合によっては、住民サポーターの中からそういう部門を作る事も検討します。

 他者に監視されないと人は堕落します。私企業は顧客に監視されています。公務員も顧客(県民)に監視されなければなりません。

 02、鎮守の森に囲まれた安全・安心の静岡県を
  ①300億円をドブに捨てる「クロマツ防潮堤」反対
  ②「内陸フロンティア構想」反対。本当の防潮堤を作れば沿岸部もフロンティアです。
  ③9月1日の防災訓練の規模を費用ベースで10分の1にします。10分の9は無償の耐震補強工事と森の防潮堤建設に当てます。

 03、県民の健康度を高めて健康保険財政を健全化します。
  ①今のままでは保険財政はパンクするでしょう。
  ②県内の人工杉林を、可能な限り、潜在自然植生に替えます。これで花粉症を減らす事が出来るでしょうし、仕事を増やせるでしょう。

 04、仕事も生活も楽しむ静岡県を
  悪い結果を直すのではなく、原因を減らすという原則を確立する。健康で楽しい生活の大前提は、安定した秩序或仕事です。そして、楽しい家庭です。
  違法な企業を監視し、指導して、仕事と家庭の両立を実現します。

 05、原発のない豊かな静岡県を
  原発こそが「貧しい生活」の原因なのです。脱原発で豊かな生活を実現しましょう。

 06、いじめのない、虐待のない、家庭内暴力のない静岡県を
 暴力の根絶は道徳教育ではできません。道徳は私人間の関係を律するものです。暴力は公人の問題です。公民教育の必要性はそこから出てきます。
 教育改革は公民教育の充実を中心にして行います。仕事作りは社会的起業を中心にして行います。脱原発はそのための研究と準備をしつつ進めます。
 公民教育学科と社会的起業学科と脱原発学科から成る学校ないし研修所を作ります。

 07、ご飯とみそ汁とお茶の美味しい静岡県を
 グルメとか言って美味しい料理ばかりに関心が集まっていますが、日本食の基本はご飯とみそ汁とお茶です。しかるに、多くの食堂で、いや、家庭でも、この3つが疎かにされています。地域の商工会に「おもてなし向上委員会」を作ってもらって、指導してもらいます。

 08、世界に開かれた静岡県を
 ①福岡県のアジアン・ビートのように、在県の外国人の協力を得て、対外的なサイトを作ります。外国との交流を活発化させたい。
 ②日本語の本当の辞書をネット上に作りたい。

 更に詳しい提案

1、行政規律

・学問的に正しい本当の情報公開が一切の前提。知事が県政を隅から隅まで自分で調べ、学問的に正しくかつ分かりやすいホームページを作る。
・県政の8割は幹部で決まる。丸投げと丸受けを禁止する職務規律を定める。
・国の出先機関の在り方についても検討し、先方と話し合う。例えば、簡易裁判所の調停の在り方とか、県警の監査役の独立性とか。

2、独立シンクタンク

 県民に呼びかけて基金を作り、「独立シンクタンク」を作ってもらう。こういうものがないと、官僚主導から政治主導への転換は出来ず、政治の質の安定的向上が望めない。研究員数人から始めて、徐々に適性規模にして行く。
 研究員は1人1人が独立して活動する。
 シンクタンク全体の運営を調整する幹部は順番で皆が務める。
 研究員は特定の政治団体の成員であってはならない(過去の在籍は不問)。
 在籍のまま選挙に無所属で立候補する義務を負う。落選したら復帰できる。
 客員公務員(そういうものを作る)に成れる。辞めたら復帰できる。
 公民教育担当の教員に成れる。辞めたら復帰できる。
 公的活動は全て発表する義務を負う。ブログで報告し、意見や質問には回答する義務を負う。

3、生活基盤の構築

・防災。コンクリートの防波堤ではなく、緑の防波堤を築く。
 可能な限り、宮脇方式で、県全体を「潜在自然植生」に基づいた森の都にして行く。
・耐震補強工事が必要だが出来ない家庭を応援する。
・貧困問題の解決を目指す。
 犯罪も虐待もその原因の半分は貧困にある。
・非正規労働者問題を研究し、「同一価値労働、同一賃金」の原則で対策を立てる。
・ベーシックインカム(基本収入)とベーシックワーク(基本労働)を目指す。
・県民の健康度を上げて、健康保険財政を健全化したい。
・LRTを推進したい。まず静岡市でその動きを応援する。
・地域自治会の民主主義を保障する条例を作りたい

4、教育

・小中学校では犬山市や秋田県の「学び合い」の教育を学び受け継ぐ。
・小学校5年以上大学2年までは公民教育の充実を図る(ネット商店街の運営では優秀でも自校のお粗末ホームページに無批判な生徒では困る)。
・小学校教育。英語は反対。国語教育(漢文の素読など)を強化する。ソロバンと暗算の授業を導入する。椅子座禅の導入。箸と鉛筆の正しい持ち方を練習する。

・中学高校の外国語では英語以外の選択肢を作る、漢文とエスペラントが好い。
・部活を地域に移して行く。核になるスポーツクラブと文化団体を作る。

・県立大学と静岡文芸大は、調査研究の後に、その在り方をゼロベースで再検討する。その他の県立短大等も同じ。

・給食及び学生食堂の現状を精査し、日本人本来の食事を目指す。高校での給食も検討する。給食は生徒が作るようにすることを検討する。

・学校ホームページを監視し評価する会を県民に作ってもらう。

5、産業と商業の振興

・漁業はノルウェー方式を学んで、林業はドイツ方式を学んで盛りたてたい。農業は、日本中の様々なあり方(成功例、失敗例を含めて)を一覧できるブログ(サイト)を作りつつ、考えてゆく。
・女性の働きやすい環境を整備したい。女性勤労者率の高い国は生産性も高く豊かである。
・ご飯とみそ汁とお茶の美味しい静岡県を
 改革とは毎日の生活をきちんとする事です。
 
6、過疎地対策
 過疎地対策で成功した所はほとんど「優秀なマネジャー」が鍵である。従って、マネジャーをどうするかが問題。社会的起業家を養成して解決を目指す。

 以上。未完成ですが、その他の点は、前回(2009年)の知事選での評論及び2011年の浜松市長選での「仮立候補」の公約と同じです。

  私の投票行動

 川勝さんも広瀬さんも行政を研究していないと思います。川勝さんはこれまでの4年間の行動で、才能のないことが分かりました。特に悪い点は、教育改革の意志と能力のない事です。教育長に安部徹を再度起用したのは最低です。また教育行政の改革とやらの委員会を作るのも問題(自分でやるべし)ですが、その委員長に元静岡大学の学長を据えるとは話になりません。

 広瀬さんは、現在は全然分かっていないようですが、知事になって、現実に直面した場合、ひょっとすると、これまでの民間での経験を生かしてやってくれるかもしれない。川勝さんは可能性ゼロですが、広瀬さんはゼロとは言えないかもしれない。ということで、私は広瀬さんに入れます。

関連項目

牧野 紀之

静岡県知事選(2009年)の争点