マキペディア(発行人・牧野紀之)

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いじめで判決

2012年11月17日 | ア行
 心の病で不登校になったのは、集団いじめが原因だとして、石川県加賀市の女子児童と両親が、市と同級生9人の保護者に、総額約4800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が9日、金沢地裁小松支部であった。

 小野瀬昭裁判官は「児童のうち3人が違法ないじめを行い、市はいじめを防ぐ適切な措置を怠った」として、市と児童3人の保護者計6人に、約703万円の支払いを命じた。

 判決によると、女児は小学1年生から2年生だった2007年から08年、階段で押されて尻もちをつかされたり、「きもい、うざい、あっち行って」と言われるなど、同級生から日常的にいじめを受けていた。

 担任教師は08年5月7日に女児の母から、女児がいじめられていると申告を受けたが、いじめていた児童の保護者には連絡せず、その後もいじめは継続。6月2日に女児が学校を休み、初めて保護者に連絡した。その後、女児はいじめによって心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症した。

 小野瀬裁判官は担任教師が女児の母親からいじめを告げられた時点で、個々の児童に注意し、その動静にも注意を払ったうえで、家庭と協力していじめの真相を解明し、原因を取り除く努力をすべきだったと指摘。いじめが女児の心身に耐え難い精神的苦痛を与えたことを認め、適切な処置をとらなかった教師の不作為を遵法と結論づけた。

 市側は訴訟でいじめがあったと認めながら、「学校はいじめ防止のために適切な処置をとった。児童の症状は、いじめが直接の原因とは言えない」と反論。保護者側も「いじめの具体的事実が明らかでない」などと請求棄却を求めていた。

 加賀市教委は「判決文が届いておらず、コメントできない」としている。

 (朝日、2012年11月9日)

   感想

 裁判に訴えたのは好かったと思いますが、校長の責任の追及のない点が拙いと思います。「学校教育は校長を中心とする教師集団が行うものである」という事はいつになったら認められるのでしょうか。

      関連項目

斎藤孝のいじめ論