マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

知事選2009(04、私の評価、その2、情報公開)

2009年06月27日 | タ行
 まず、なぜこれを最初に取り上げるかと言いますと、これが一切の政策決定(ないし判断)の大前提だからです。県の実情が全県民に正確に知らされているということは民主主義の大前提です。それなのに、これまではほとんど本当の事が知らされてきませんでした。その最たる証拠が、県庁の裏金であり、教育委員会の裏金であり、県警の裏金でしょう。

 ついでに確認しておきますが、この裏金問題を一貫して追及してきた人はオンブズマンネットワーク代表の服部寛一郎さんです。それなのに、同氏を監査委員にすると言っている候補者が一人もいません。海野さんは「やる気のある職員を抜擢する」と言っていますが、「実績のある民間人に権限を与えて監督してもらう」となぜ言わないのでしょうか。

 情報公開については、平野さんは何も言っておらず、坂本さんは「知事キャラバンを実施して、県民の声を直接対話で聞く」がそれに当たるのかもしれませんが、事実上何もないと思います。

 さて、海野さんと川勝さんです。まず、2人の主たる主張をマニフェストから箇条書きにします。

海野さん
① 1万人県政モニター、「徹底した情報公開」で風通しのよい県政運営
② 「官僚依存を脱却し、情報提供を徹底し、様々な立場から自由に議論してもらい」
③ 全国情報公開度ランキングで全国3位(2008年は39位)を目指す。
④ タウンミーティングの開催
⑤ 学力テストの結果の公開など、学校経営の情報公開を推進。

川勝さん
① 透明性の高い「見える県政」
② 情報公開度を4年以内に全国1位
③ 交際費と出張旅費のホームページへの公開
④ マニフェスト評価の公開

 数値の上がっているのは公開度ランキングですが、これは全国オンブズマン連絡会が毎年発表しているものを考えているのでしょう。しかし、あれは、主として、情報公開条例を試すテストの結果です。実際、たいていは「番外」(失格)だった石川時代にも10位になったことが1度あります。

 なぜ他者の評価しか出せないのでしょうか。自分で研究していないからでしょう。「県民なら誰でも」とは言わないまでも、「政治を志して議員を22年間もやった」り、「学問の府」に在籍してこの2年間は学長までやったりした人が、県政のカウンターホームページを作っていないとは何事ですか。

 「学問とは、個別的事実ではなく、全体的真実を追求するものである」ということを知らないのでしょうか。「役所の広報の根本的特徴は、全体的真実を隠すように個別的事実を細切れにして出すことだ」と、教えなかったのでしょうか。

 川勝さんは、学長(行政職)時代にも週に1コマの授業「都市文明論」を持ったそうです(こういう学長はかなりいます)が、何のためにそういうことをしたのでしょうか。他の教師に授業の模範を示すためなら、少しは分かりますが、そうではないようです。現に、自分の授業がどういうものか、ホームページに発表しませんでした。

 そんな時間があるなら、学長通信を出して全教職員及び学生の議論を組織するべきだったでしょう。かつて北星学園大学の土橋学長は学長通信を出していました。「1位を目指す」ならまず、「現在の1位」に追いつき追い越すでなければならないでしょうに。

 川勝さんはまた、学生に「自分の大学や県のカウンターホームページを作れ」と指導しなかったようです。現に、静岡文芸大のホームページにはそういうものが載っていません。東大のホームページには「東大生の作った東大ホームページ」がありますが、あれは批判精神ゼロの「御用ホームページ」です。東大の教育のお粗末さを証明しています。

 断っておきますが、私の夏休みの宿題の1つ(ほかにも沢山ある)は「出身高校のホームページを批評して、それを相手にメールで送れ」です。冬休みには自分の属する自治体のホームページについてそれをさせます。

 そもそも文芸大の公式ホームページはとても模範的と言えません。一番重要な「教員の研究業績」の説明がおざなりです。どういう授業をしているかは、私の見た限りでは、載っていないと思います。社会的活動もほとんど載っていないと思います。こんな過去を持つ川勝さんが、立候補した途端に「透明性の高い『見える県政』」などと言っても誰が信用しますか。

 文芸大は、かつての県立大学は発表していた「学長の給与」を「個人情報」という理由で公開していません(私の質問に対する回答)。やれやれ。情報公開が聞いてあきれます。「怒るのを通り越して笑っちゃうよ」で済む問題ではありません。

 海野さんは、そのマニフェストの最初に「たくさんの方からのご意見、現場で見つけたヒント、皆さんと一緒になって作り上げたマニフェストです」と書いています。実際はどうでしょうか。

 02月末の立候補表明の後、ブログに何の挨拶もありませでした。これは拙いのではと、メールを送りました。すぐに立候補表明の挨拶をブログに載せました。しかし、そのすぐ後、ホームページ(ブログを含む)を閉鎖して、「リニューアル中ですから、しばらくお待ちください」という断りが出ました。それが1ヵ月以上続いたのではなかろうか。これは、「その間、『皆様のご意見』は出せなかった」ということです。

 2年前の浜松市長選の時、立候補表明をした鈴木康友さんも「マニフェストを出します」とブログに書きました。私は、「最初から決定版を出さないで、まず草案を出し、それを持って市内を回って市民の意見を聞き、その上で決定版を出したらどうか」と提案しました。賛成者も出ました。そうしてくれました。

 今度もそう提案するするつもりでした。しかし、ブログを「一時閉鎖」にされたために出来ませんでした。これが海野さんの「皆さんと一緒になって作り上げたマニフェスト」の真実です。康友さんも市長になったらすっかり「職員丸投げ市長」になり、いまや99%「第2の北脇」です。海野さんが知事になったらどうなるのでしょうか。

 今や世は「情報公開の時代」の観を呈しています。猫も杓子も「情報公開」であり、他者を批判する時は「説明責任を果たしていない」です。しかし、どうもその「情報公開」や「説明責任」で考えている内容が人によってものすごく違うのではないか、と思うようになりました。

 そこで、議論を建設的に進めるために、発言者は自説を具体的に言うことと、模範的な情報公開の例を集めていくことを提案します。まず隗より始めよ。

 私見によれば、(役所などの)情報公開とは広報のことです。ですから、県庁のそれを問題にするならば、現在行われている広報活動、つまり広報誌、ホームページ、メルマガ、TV、ラジオなどをどう評価するか、に基づいて、自分が知事になったらどうするか、と言うべきだと思います。

 模範的な情報公開としては、鹿児島県阿久根市の全職員給与の公開をあげます。県ならば、教職員についてもこれが出来るはずです。静岡県の全職員と全教職員(と、全特殊法人)についてこれを発表したら、全県民に大衝撃が走るでしょう。

 しかし、こういう事の分かっている候補者はいないようです。

 結論・情報公開についての4氏の評価

 平野さん、ゼロ点。坂本さん、10点。川勝さんと海野さん、共に30点。
 及第点の60点に達する人はいません。

コメント
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