マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

大(だい)

2007年01月27日 | タ行
 1、この漢字の読みは「だい」「たい」「おお」の3つでしょう。「だい」と「たい」は濁るか澄むかの違いです。「だい」「たい」と「おお」の違いは音読みと訓読みの違いです。

 それはいいとして問題は、どういう場合にどの読み方をするかという原則がないらしいということであり、しかも原則がないのならその「原則がない」ということが漢和辞典に明記されていないということであり、更に日本語生活の中で実際に混乱している場合について漢和辞典の編集者が指針を与えていないということです。

 2、大原則(だいげんそく)は「漢語の前に付く時はダイ(タイ)で、和語の前に付く時はオオと読む」であるらしいが、例外が沢山あるようです。

 3、例外はどうして出来たかというと、和語を漢字で表したために後の人々が音読みするようになったという道筋があるらしい。

 「おおね」を「大根」と表記し、それを「だいこん」と読むようになったとか、「ひのこと」を「火事」と表記したために後の人が「かじ」と読むようになったとかです。

 4、日常的に混乱しているのは例えば「大地震」です。

 これはNHKでは「おおじしん」と読むように統一しているらしいが、「だいじしん」でも間違いとは言えないらしい。「大時代」も「おおじだい」が普通ですが、「だいじだい」と読む人もいます。「大舞台」も「おおぶたい」ではないかと思いますが「だいぶたい」と読む人も少なくありません。

 5、私の言いたい事は、辞書を編集する人は日本語生活にもっと敏感になってほしいということです。混乱しているといった問題に対して指針を与えてほしいということです。この場合の指針とは必ずしも一義的な答えでなくても「2つの読みがありどちらでもよい」という説明も含んでいます。

 6、この項については文化庁の『言葉に関する問答集』と大野晋・丸谷才一・大岡信・井上ひさし著『日本語相談』(朝日新聞社)を参照しました。「無」の項を参照のこと。
コメント
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