すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

過去記事にスポットライトを当てる個性派ニュースサイトの威力

2007-12-26 10:04:39 | メディア論
 このところ、ソーシャルブックマーク(SBM)とニュースサイト(NS)をテーマに記事を書き、読んだ方といろんなコミュニケーションができた。いただいた感想にインスパイアされ、新しく浮かんだアイデアも多い。

 たとえば自分の目で記事を読み「おもしろい」と感じることは、いわば「一次評価」である。一方、SBMは、そんな各人の一次評価を持ち寄り、みんなで「二次評価」体験を共有する場といえる。

■ニュースサイトは速報性にこだわる必要があるか?

 またSBMはどちらかといえば新しい記事を追うメディアだ。その意味では速報性が武器である。ところが一方のニュースサイトは、案外、古い記事でもいいものを紹介していたりする。

 私も以前、何度か『駄文にゅうす』さんで過去記事を取り上げていただき、うれしく思ったことがある。

 とすればSBMと差別化する意味で、ニュースサイトは「それが新しい記事かどうか?」にあまり固執せずセレクトする戦略もアリかもしれない。多少以前の記事で、なおかつ当時、SBMではあまり評価されなかったものでも、管理人さんの目で見て「いい」と思った記事を紹介するとか。

 たとえば『まなめはうす』さんには、「★一年前のニュース」という過去記事を掘り起こすコーナーがある。また『駄文にゅうす』さんも同様に、そういう地道な作業をしているところが個性的だと思う。

■あなたはSBMとニュースサイトをどう使っているか?

 さて前々回のエントリ『あなたは「他人の目」でブログを読んでいないか?』では、情報収集の手段がSBMとニュースサイトだけになってしまうことの問題点を考えた。

 繰り返しになるが、論点は以下の2つだ。

1. SBMとNSに頼りきりだと、記事を発掘する目が他人まかせになりすぎないか?

2. SBMとNSに頼りきりだと、自分の感性で自分だけが「おもしろい」と感じる記事を見逃すんじゃないか?


 で、その記事には、興味深いブックマーク・コメントがたくさん寄せられた。まさに集合知を見る思いである。

 そこでソーシャルブックマーク(SBM)とニュースサイトの使い方について、コメントをもとに、おもしろくて役立つトピックス一覧を作ってみた。

 以下、いただいたブクマ・コメントを引用した上で、それに対する私の感想を書きながらトピックスを並べる(2007年12月25日現在)。●印の項目はすべてはてなブックマークのコメント・ページからの引用だ。また読みやすくするため、タグその他は削除した。

■SBMは記事を「二次評価」する機会を効率よく作る

takoponsさん 『自分で「これは良く書けたかなー」と思う記事を上げても反応(☆, B, ※等)がなくてしょんぼり(´・ω・`)していたら、数日後にニュースサイトで紹介されてシャキーン(`・ω・´)ってなることがたまーにあります』

 冒頭で書いた通り、確かに私にも経験がある。してみるとSBMはどちらかといえば速報性即時性に重きを置いたメディアであり、かたやニュースサイトは過去記事の掘り起こしにも役立つ、ということかも? もちろんSBMでも古い記事にスポットが当たるケースもあるから、いちがいにはいえないと思うが。

pre21さん 『これも2次発掘しました。2次発掘ばんざい!』

「これ」というのは私の前々回のエントリのこと。つまり「あなた(松岡)のこの記事も2次発掘で見つけたんですよ」てな意味だ。「他人の目に頼るだけでなく、自分の目で記事を読むこと」を呼びかける当の(松岡の)記事が、まさに他人の目で発掘されている皮肉──。シニカルで味のあるコメントだ。

cloverleaf24さん 『1次発掘した良質記事でもブクマじゃなかなか広がらない。ブログで掘り下げないと何も起こらないことを最近痛感していますよ、私』

 いくら自分が「おもしろい」と思いブックマークしても、ブクマ数が「1 user」から増えないことはある。とすれば特に自分のアンテナを刺激した好記事は、自分のブログで詳しく取り上げる方がいいのかもしれない。ブログ記事で掘り下げて分析・解説すれば、紹介した記事にも新しい価値が生まれそうだ。

dodododさん 『「他人の目」で再評価される』

 短いが、印象的なコメントだ。自分の目で見て「おもしろい」と感じることは、いわば一次評価である。とすればその記事をブックマークすることで、第三者が「おもしろい」と感じるのは二次評価(再評価)に当たるんじゃないか? SBMがもつお気に入り記事の共有機能は、確かにそんな構造を発生させる。

■SBMはあえて「他人の目で見たクリップ集」として使う

julajpさん 『RSSリーダーを自分なりにカテゴライズ、レべリングなどとことん細分化チューニングして追い詰めていけばいいのだろうけど、結局ぱっと見られるSBMなどが手っ取り早くて便利なんですよね』

 手っ取り早くて便利。SBMはこのひと言につきる。実際、私も「今日の新聞」を読む感覚で、手軽にSBMを利用している。やっぱりこれはやめられない。

hatayasanさん 『深く印象に残ったブログはすぐにRSSリーダーに登録するようになりつつある。SBMに比べると「打率」は低いかもしれないけれど』

 私も以前はそうだったんですよねえ。「いい」と思ったら、すぐRSSリーダに登録してた。ところが時間に追われ、そのうちにSBM一辺倒になっちゃって……。

straymindさん 『SBMは敢えて世間の目で利用しているなぁ/個人的に興味のある分野はキーワード使って収集してる/要は使い分けなんだろうな』

 SBMは他人の目で集めた記事専用のクリップ集として使う、って利用法。なるほどこういう使い分けもアリだ。

F-SQUAREさん 『自分で「面白い」と思う1次情報を見つけるのと、それが「面白い」と2次情報として共有できるかどうかは別の話なんだけどね』

 記事Aを「おもしろい」と自分ひとりで感じることと、記事Aの「おもしろさ」を不特定多数に公開し、共有することはまったく別の作業だ、って話。確かにその通りだ。この視点は私の元エントリにはなかったものである。

 ただ私の元記事は、「自分がおもしろいと感じること」にテーマを絞った文章だ。一方、F-SQUAREさんが指摘された「人とおもしろさを共有する」話は、それとはまた別の切り口の記事になるのだと思う。

■「おもしろブクマ・コメント集」は集合知の新しい集約法では?

 今回の記事を書いて思ったのだが、自分の記事についたコメントのうち、おもしろいと思ったブックマーク・コメントを集めてブログで定期的に紹介する、って企画はどうだろう?

 まず記事の冒頭で、自分の元記事を読んでない人にも意味がわかるよう、自分の元のエントリの要旨を説明する。で、その記事についたコメントを掲載し、「このコメントはココがこうおもしろかった」、「こんなふうに意表を突かれた」、「この視点は自分にはなかったものだ」てな感じで紹介するのだ。

 もちろんSBMを利用していれば、ブックマーク・コメントは日常的に読める。だけど自分の記事についたコメントだけに限定し、かつおもしろかったコメントのみをダイジェストにした上で自分の感想も載せれば、これもひとつのコンテンツとして成立するんじゃないだろうか?

 定期的にやれば自分のブログのネタにもなる。なによりおもしろいコメント、およびそのコメントがもつ視点・論点を共有するって、集合知を集約する方法としては新しい切り口なんじゃないかな?

【関連エントリ】

『きっかけは「他人の目」でも、「自分の目」で見て判断する』

『あなたの「好き」を見つけてくれる個人ニュースサイトを探せ』

『「仲のよさ」じゃなく「記事の内容」で繋がるSBMのコミュニケーション』

『自分に気づくためにブログを書く』

『ソーシャルブックマークは「自分の領域」なのか?』
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