すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【J1リーグ】神戸がJ1優勝。大迫勇也よ、よくやった

2023-11-25 16:39:28 | Jリーグ
神戸の「大きなサッカー」がJ1を制した

 J1リーグ第33節のヴィッセル神戸対名古屋グランパス戦。2-1で神戸が勝利を収め、見事、彼らがJ1リーグ優勝を決めた。

 神戸といえば、FWの大迫勇也めがけて入れるダイレクトなロングパスや、SBからの対角のロングボールなど、縦に速くムダのない「大きなサッカー」で勝ち進んだ。ダイレクト・スタイルだ。

 彼らは、イニエスタを招聘して一時掲げた「バルサ化」とは正反対のサッカーで優勝した。そう。かつてはスペイン的な、意味もなくパスを繋ぎ倒す「遅いサッカー」が世界で主流だった。だがいまや世界を見れば、神戸のようなダイレクトで縦に速いチームが勝っている。

 つまり時代はひと回りしてダイレクトなサッカーへと回帰し、進化しているわけだ。今季の神戸はその最先端を行き、そして優勝した。

大迫勇也よ、得点王を獲り「2冠」をめざせ

 この試合、2アシストした大迫は本当にすばらしい選手だ。彼のポストプレイは誰にもマネができない。不世出のFWである。

 このあと大迫勇也がめざすべきは、得点王だ。目下、彼は22得点で得点ランキングの1位にいる。ぜひとも得点王を獲り、得点王とJ1リーグ優勝の2冠で「完全優勝」をめざしてほしい。

 森保監督に見せつけてやるのだ。

 そして森保監督は七重の膝を八重に折り、大迫勇也を日本代表に呼ぶべきだ。

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【J1 戦術分析】なぜヴィッセル神戸は強いのか?

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【J1 2023 第29節】大迫勇也にこそ「得点王」と「J1優勝」がふさわしい 〜横浜FM 0-2 ヴィッセル神戸

2023-10-01 06:02:48 | Jリーグ
神戸はパーフェクト、完勝だった

 J1リーグ第29節が9月29日に行われ、ホームの横浜F・マリノスとヴィッセル神戸が対戦した。試合はFW大迫勇也のPKの1ゴールと、MF武藤嘉紀の滞空時間が長いヘッドによる1ゴールで、2-0と神戸が完勝した。横綱相撲だった。

 久しぶりに観たJ1は、前線の大迫が相変わらず高度で精巧なポストプレイを繰り返していた。また彼のチームは対角の長いボールを操る、これまた変わらぬ「大きなサッカー」をしていた。一方の横浜FMは、あの嫌らしいくらいの決定力がすっかりなくなってしまった印象だ。まったく試合になってなかった。

 神戸のフィニッシュのひとつは速いアーリークロスだ。ほかにも浮き球のサイドチェンジやSBからの対角のロングボールなど、彼らにはやはりワイドなサッカーが似合っている。また前半43分に右CKから、武藤が決めた対空時間の長いヘディングシュートも見事だった。大迫といいコンビだ。

 神戸はやっぱり大迫を目がけて、ダイナミックに縦へ速くビルドアップするロングボールを出す攻めが利いている。久しぶりに彼らを見たが変わらない。いや変化がないところが「いい」のである。それだけ絶対的な得意形を持っているということだ。

 あんな芸術的なポストプレイをずっと見られるなんて、神戸の市民は本当に幸せだ。それが変わらないことは、「いいこと」に決まっている。あれを変える必要なんてまったくない。

 この試合を観て改めて思いを強くしたが、今季は、あのアーティスト・大迫勇也と献身的に戦い続けるその仲間たちにこそ、J1リーグ優勝がふさわしい。大迫は得点王も取り、2冠で完全優勝してほしい。いやそうすべきだ。彼にこそそれがふさわしい。

 ついでに言えば、そんな大迫が日本代表に選ばれないなんてありえないことだ。ならばせめて彼のすばらしいプレイにその栄誉を称え、それを表彰する意味でJ1リーグ優勝と得点王を勝ち取ってほしい。

 彼にこそ、それがふさわしい。

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【J1 2023 第28節】首位・神戸への挑戦権を得るのは? 〜鹿島 1-2 横浜FM

2023-09-25 07:31:21 | Jリーグ
横浜FMが首位と勝ち点1差に迫る

 スペイン帰りの柴崎岳が、スタメンで出るというので久しぶりにJ1を観た。鹿島アントラーズのホームがすごい雰囲気だ。首位戦線が混迷し、なんでも1位のヴィッセル神戸から5位の浦和レッズまで優勝の可能性があるなどと言われている。これは観なきゃ。

 そんなわけで9月24日の第28節、4位の鹿島と2位の横浜F・マリノスが対戦した。鹿島は前半15分に鈴木優磨のヘッドで先制点をあげるが、続く34分には横浜FMのFWアンデルソン・ロペスが同点にする。

 さて次の1点をどちらが取るか? の争いになった。それは横浜FMだった。後半5分にまたしてもロペスが2点目を取り、彼らが逆転勝ちした。

 これで2位の横浜FMが勝ち点3を得て、首位・神戸への挑戦権を得た。神戸の勝ち点55に対し、横浜FMは54。わずか「1」の違いだ。9月29日の第29節で、ホームの横浜FMと神戸が直接対決する。必見だ。

ロペスが2ゴールを上げ逆転だ

 試合開始から鹿島が前の3〜4枚でプレスをかけ、いかに横浜FMにビルドアップさせないか? の戦いを仕掛けている。で、横浜FMは立ち上がりからギクシャクした。かくて前半15分に狙い通り、鹿島が鈴木優磨のヘッドで先制点を取る。

 その流れの中で22分に横浜FMが敵のプレス網を初めて突破し、フィニッシュ寸前まで行く。やっぱりアンデルソン・ロペスだった。次いで30分頃から徐々に横浜FMが敵を押し込み始めた。34分にヤン・マテウスが右サイドからクロスを入れる。これをロペスが左足で押し込んだ。同点だ。

 後半に入ると早々の5分にパスを受けた横浜FMのFWヤン・マテウスが、ボックス内右でシュートを放った。GK早川友基が弾いたところ、その真ん前にいたロペスが右足で詰めた。本日2ゴール目だ。横浜FMがついに逆転した。

 これで完全に横浜FMが息を吹き返した。おかげで鹿島はブロック守備を続けるハメになる。そのブロックの外周でパスを回されている。岩政監督は流れを変えようと後半12分に仲間と垣田を下げ、MFアルトゥール・カイキとMF土居聖真を投入した。

 だが流れはまったく変わらない。逆にだんだん形勢が不利になって行く。同16分、ヤン・マテウスがボックス右から浮き球のパスをゴール前へ入れる。これにナム・テヒが頭で合わせる。だがGK早川が足1本でわずかに防いだ。

鈴木優磨のラストチャンスは潰える

 そして18分。こぼれ球に反応した鈴木優磨がきれいなシュートを放つが、惜しくもゴール右に逸れる。ボールに対する出足と反応がハッキリ横浜FMの方がいい。鹿島は細かい競り合いで負けている。

 29分。横浜FMの低い位置の右サイドから、ライン裏のスペースにダイアゴナルなロングボールが出る。アンデルソン・ロペスが走り、ゴールラインのギリギリでボールを残した。

 そしてロペスがマイナスのパスを出す。場所はゴールの真ん前。これを宮市がワンタッチで打ったが右に外した。日本人だなぁ、というワンシーンだった。

 48分、最後の攻撃だ。鹿島の土居が右サイドの敵陣中央から、相手GKと最終ラインの間を狙ったクロスを入れる。ファーへ流れた鈴木がこれに左足で合わせるが、左のポストを叩いた。万事休す、だ。

 かくて横浜FMは首位・神戸と勝ち点1差に詰め寄った。

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【J1 鹿島 王の帰還】なぜ柴崎はスペインで通用しなかったのか?

2023-09-06 09:10:45 | Jリーグ
ひとつは守備を求められたから?

 9月4日、スペイン帰りのあの柴崎岳がついに鹿島アントラーズに合流した。2016年以来、7年ぶりの「帰巣」だ。

 日本人で唯一、レアルマドリーから2点を取った男が帰ってきた。

 なぜ天才・柴崎はスペインで芽が出なかったのか? それはヘタフェ時代に柴崎の頭上をボールが飛び交っていた光景を思い出せばだいたい察しが付く。

 想像だが、ひとつにはまず取ってくれるクラブが最初は下位チームになるから、というのがあるだろう。

 さすがに日本からスペインに行き、いきなりレアルマドリーやバルセロナがオファーをくれるわけがない。まずは「下位より始めよ」ということになる。

ファーストペンギンの苦悩

 特に柴崎の時代は、まだ日本人選手が世界に今ほど実力をアピールできてなかった時代だ。その意味で柴崎は「ファーストペンギン」だった。海外移籍で先頭を切ったのだ。

 だが彼を取ってくれるようなスペインの中小クラブは、マドリーやバルサに対抗するため必然的に守備戦術重視になる。まずは守備に手をかけてこだわる。そういうチームに柴崎はまず入ることになる。

 すると当然、攻撃が最大の持ち味である彼の良さが生きない。

 一方、守備を求めるチームからすれば、「こいつは使えないぞ」となってしまう。

 で、移籍するのだが、結局は次も同様に下位チームだ。またも守備練習が始まり、「こいつは使えない(以下略)」のような構図になる。

 この図式に柴崎は相当、悩んだのではないか?

 そして彼はこの円環構造にハマり込んで抜け出せず、とうとう本領発揮とは行かなかったのではないか? というのがひとつある。

静かにプレイで示すタイプだ

 そのほかの要素はサッカー以外のところだ。考えられるのは環境への適応である。

 柴崎はキャラクター的に、静かにプレイで示すタイプだ。

 スペイン人みたいに賑やかで陽気で大らか、オープンなタイプじゃない。どちらかといえば内にこもるタイプだろう。

 ゆえにスペイン人から見れば、「こいつはいったい何を考えているのかわからない」となったのではないか? そうとでも考えない限り、あの柴崎の「実力が通じなかった」とは思えない。

 それだけコミュニケーションや生活、付き合い、人間交流は大きい問題なのだろう。そう考えるとサッカーの移籍とは本当にむずかしい。

 だが人間にはそれぞれ、自分が「生まれてきた意味」がある。それが柴崎の場合は「スペインでプレイすること」じゃなかった。

 ならば柴崎はスッキリ頭を切り替え、鹿島アントラーズを優勝させることに全精力を注いでほしい。それが自分の「生まれてきた意味だ」と発想を転換してほしい。生まれ変わるのだ。

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【移籍】中島翔哉はレッズで再び輝けるか?

2023-07-10 10:21:28 | Jリーグ
「三銃士」デビューが鮮烈だった

 浦和レッズが、元日本代表MF中島翔哉(28)の獲得に動いているらしい。

 中島と言えば、2018年9月に旗揚げした初期・森保ジャパンで堂安律、南野拓実との2列目の組み合わせが「三銃士」と呼ばれ、連戦連勝、勝ちまくった。2018年の5試合で日本代表は計15ゴールと爆発した。

 特に2018年10月16日に行われたキリンチャレンジカップの強豪ウルグアイ戦では、中島は2ゴールして4-3で日本が勝ち、「日本の新しい夜明けだ」と絶賛されたのが記憶に新しい。

トラブル続きの海外移籍

 だがその後、海外移籍した中島はアル・ドゥハイルSC、FCポルト、アル・アインFC、ポルティモネンセSC、アンタルヤスポルと渡り歩いたが、ケガや監督との衝突などでまったく芽が出なかった。

 特にポルトでは監督とぶつかり散々なことになった。

「サッカーは楽しむためにやっているんだ」という中島独特の「意固地」な価値観も、チームや監督とのコミュニケーションに障害を招いた一因かもしれない。

 トータルで言えば、中島は初期森保ジャパンでの活躍は目覚ましかったが、以後の海外移籍ではむしろ逆に「トラブルメイカー」のイメージが着いてしまった。

 そんな中島は浦和レッズで再び輝けるのか?

 それは知性派のマチェイ・スコルジャ監督による「舵取り」いかんだろう。中島のメンタリティを理解し、潜在能力を引き出すようなリードの仕方をすれば道は開ける。スコルジャ監督なら、うまくやってくれそうな期待感がある。

 中島はまだ28歳だ。老け込むには早すぎる。スコルジャ監督を信じて、持てる能力をめいっぱい花咲かせてほしい。

 がんばれ中島!

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【J1 第20節】首位攻防戦に2つのスーパープレイ 〜名古屋 2-2 横浜FM

2023-07-09 10:11:43 | Jリーグ
GK一森のすばらしいパントキック

 J1リーグで第20節が行われ、名古屋グランパスと横浜F・マリノスが対戦した。試合は白熱し、2-2の引き分けに終わった。この試合では2つのスーパープレイが生まれている。

 立ち上がりから名古屋の気合いが異様にすごく、球際の競り合いが激しい。これくらい強度の高い試合を見せてくれるとお客さんも満足だろう。

 先制点はその名古屋。前半8分だった。ユンカーのシュートのこぼれ球を永井謙佑がシュート。守備者に当たってゴールのファーに吸い込まれた。名古屋が先制だ。

 続く28分にはすごいプレーが出る。マテウスのシュートをセーブした横浜FMのGK一森純が、機を逃さず敵最終ラインの背後へ素早く球出しをする。放たれた精度の高いパントキックのワンバウンド目をエウベルが受け、ゴールまで完全独走。GKランゲラックと1対1の状況になり、エウベルはGKをかわして右足でゴールへ流し込んだ。

 GK一森のすばらしいパントキックだった。まるで最後方に位置するゲームメイカーのようだった。

藤田譲瑠チマが1人で起点とフィニッシュ

 そして35分にもスーパープレイが生まれる。横浜FMの藤田譲瑠チマが左前にパスを出し、受けた西村拓真が横パスを出す。すると守備者を背負ったアンデルソン・ロペスはこれをスルー。そこにタイミングよく走り込んだ藤田譲瑠チマが右足でグラウンダーのシュートを放つと、ゴール右にきれいに決まった。勝ち越し弾だ。

 起点になるパスを出し、最後は自分でシュートを決める。独演会のような藤田譲瑠チマのファインプレーだった。

 最後のゴールは後半2分だ。ボックス手前の左から森下龍矢が前方へパスを出す。受けたマテウスは縦に持ち出し、中央へ折り返す。そこに走り込んだユンカーが左足で見事にゴールして見せた。2-2。同点だ。

 2つのスーパープレイを魅せた首位攻防戦はどちらも譲らず、見所いっぱいの引き分けで終わった。かくて横浜FMは勝ち点43で単独首位を守った。

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【J1 第20節】新潟、今季初の2連勝ならず 〜新潟 0-1 神戸

2023-07-08 05:09:49 | Jリーグ
ハイプレスとショートパスの神戸

 J1リーグで第20節が行われ、アルビレックス新潟とヴィッセル神戸が対戦した。最終ラインからグラウンダーのボールでビルドアップする新潟に対し、研究してきた神戸のハイプレスが炸裂した。狙い通りFW大迫勇也のゴールにより1-0で神戸が勝った。

 13位の新潟は前節ホームでサンフレッチェ広島に2-0で勝利、6試合ぶりの白星を稼いだ。その勢いのまま今シーズン初の連勝を目指し、3位の神戸をホームに迎えた。

 試合が始まってなんと驚いたことに、あのロングボール一辺倒だった神戸が、ショートパスを繋いでビルドアップしようとしている。神戸の試合はしばらく観てなかったが、いつの間に芸風を変えたのだろうか? 各チームによるロングボール対策が進んでこうなったのか?
 
 それでもなぜかボールを握っているのは神戸の方だ。ショートパスの繋ぎ合いなら新潟のほうに分があるはずだが、新潟はなんだか神戸相手にリスペクトがすぎビビりながらやってる感じだ。思い切りが悪い。

 大迫目がけてロングボールをブンブン放り込まれたらやりにくいが、「ショートパスを繋いでくる神戸」なんて怖くないはずなのに新潟は力が出せてない。

 新潟のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが小島亨介。最終ラインは右から藤原奏哉、トーマス・デン、渡邊泰基、新井直人。セントラルMFは高宇洋と星雄次。2列目は右から松田詠太郎、三戸舜介、小見洋太。ワントップは谷口海斗だ。

神戸がハイプレスから大迫の先制点を呼ぶ

 ポジションを見て感じることは、三戸が慣れないトップ下に配置され消えてしまっている点だ。三戸は本来サイドの切れ味鋭い選手であり、トップ下でボールをもち全体を差配するタイプではない。持ち味が殺されてしまっている感じだ。いつもの思い切りの良さがない。

 松橋力蔵監督としては「伊藤涼太郎なきあとのエースは三戸だ」という見立てなのかもしれないが、ポジション的には三戸は真ん中では埋もれてしまって合わない感じだ。

 一方、神戸は守備が堅いだけに、ボールを失うと帰陣が速い。新潟ボールに移った瞬間、神戸による素早いネガティブ・トランジションが発動される。彼らはあっというまにディフェンディングサードまでリトリートする。

 新潟とするとやりにくい相手だ。

 今日のゲームはボール非保持のチームの方が、いったん必ずディフェンディングサードまで下がるシーンが目立つ。

 そんな前半15分だった。新潟のGK小島が出した短い縦パスに対し、神戸の武藤嘉紀と齊藤未月が連動してハイプレスをかけ、ボールをかっさらう。最後は武藤がボックス内の大迫にパスを出し、大迫がいとも簡単にシュートを決めた。大迫は今季13ゴール目だ。1-0で神戸がリードした。

「バックパス症候群」に陥る新潟

 1点を追いかける新潟の攻撃である。ボールを保持する新潟は、ちょっとプレスをかけられるとすぐバックパスしてやり直す。縦パスのコースを作る動きがなく(あるいは神戸に縦を封じられ)、仕方なくバックパスしている。典型的な「バックパス症候群」だ。

 おまけに神戸の守備のやり方との関係で、今日の新潟はボールスピードが遅く、生きたパスが少ない。位置取りをするのが遅く(またはスペースを潰され)、新潟はどうもポジショニングが悪い。

 いつもの縦横無尽に強くて速いグラウンダーのショートパスを繋ぐ新潟ではない。また神戸がスペースを埋めている関係で、新潟はいつものように2タッチ以内でボールを繋げない。

 完全に神戸の作戦勝ちだった。

 そんなこんなで各所で小競り合いが続き、時間が経っていく。新潟は後半頭から星に代えてMF秋山裕紀を投入、同30分にはFWグスタボ・ネスカウとFW太田修介を入れる。徐々に縦パスが通るようになったが、時すでに遅し。ゴールが遠い。

 今季ここまでリーグ最少14失点と、堅守を誇る神戸から新潟は得点が取れなかった。初の2連勝ならず。3試合ぶりの黒星だ。

 かくてスコアは1-0のままタイムアップ。神戸の思うがままだった。新潟は注文通りにやられた試合だ。彼らはなかなか13位から上がれない。

 かたや神戸は暫定2位に浮上した。勝ち点は40だ。勝ち点2差で首位・横浜FMを虎視淡々と追う。

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【J1 神戸】FW大迫勇也を封じるには?

2023-07-07 11:12:13 | Jリーグ
ロングボールを潰せ
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新潟・渡辺 CBで3戦連続完封だ 今日ホームで神戸戦(スポニチアネックス)

 現在3位の神戸には得点ランキング2位で12ゴールを挙げている元日本代表FW大迫や、8得点で6位のFW武藤らタレント揃い。

(中略)

 大迫については「シュート力もあるがポストプレーで受けるタイミングが上手。全てにおいてレベルが高いので自由にさせないようにしたい」(渡辺)と大迫封じに意欲を見せる。
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 本日7日、アルビレックス新潟は、ヴィッセル神戸と対戦する。

 上記のように新潟のCB渡辺泰基は「大迫を自由にさせないようにしたい」というが、神戸をまったく研究してないことが丸わかりだ。

 大迫は敵DFがマークについてもムダだ。まるでフリーでいるかのように平然とアクロバチックなポストプレーをしてくる。

 大迫封じをするには、神戸の最終ラインが彼めがけて放り込んでくるロングボールを、大迫に出させないようにするしかない。ロングボールが大迫に届いたらジ・エンドだ。

 それを防ぐにはボールを保持する敵の最終ラインに強くプレスをかけ、ロングボールを蹴らせないようにすること。ミスキックか、バックパスさせればOKだ。そうすれば神戸はビルドアップできなくなる。

 神戸のビルドアップは、ロングボールを前線に放り込むやり方一辺倒だ。 第一にそれを防ぐ必要がある。詳しくは以下の記事を参照してほしい。

【J1神戸 攻略法】こうすれば神戸に勝てる

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【J1 第19節】新潟、三戸が1G1Aで「エース宣言」 〜新潟 2-0 広島

2023-07-04 06:17:09 | Jリーグ
立ち上がりは広島のプレスが効いていた

 立ち上がりから、新潟は広島に押し込まれる苦しい展開だった。新潟は彼らの弱点を突く、広島のプレッシング・フットボールにやられていた。

 すると前半10分に、右SHダニーロ・ゴメスがピッチに倒れ込んでしまう。彼は担架で運ばれ、代わって松田詠太郎が投入された。

 14分には、広島が左コーナーキックを得る。キッカーが右足でクロスを上げると、ニアでクリアされる。だが、すぐこぼれ球を拾い、再びクロスを上げる。これに佐々木翔が頭で合わせるが、ヘディングシュートは枠を外れた。

 新潟のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKが小島亨介。最終ラインは右から藤原奏哉、トーマス・デン、渡邊泰基、新井直人。セントラルMFは星雄次と島田譲。2列目は右からダニーロ・ゴメス、三戸舜介、小見洋太。ワントップは鈴木孝司だ。一方、広島のフォーメーションは4-1-4-1だ。

三戸が爆発、完璧なワンタッチの抜け出し

 続く16分には、新潟の三戸がフリーでボールを受け、ボックス手前の中央から右足を振った。だが、このシュートは敵にブロックされる。

 徐々に新潟が勢いを得て、押し返してきた。一方の広島は非常に安定感のあるどっしりしたサッカー。五分五分だ。

 25分、途中出場の松田詠太郎が、右サイドからからダイアゴナルなパスを出した。そこへ三戸が縦に走り込んでパスを呼び、完璧なワンタッチで抜け出しボックス内の右から見事なシュートを決めた。

 28分、三戸がボールに絡み、縦パスのクサビと落としのコンビネーションが2度続き、三戸がラストパスを出して新井が右足で最後を締めた。2-0だ。

 試合はこのスコアのまま終了した。

 特に三戸が起点になった2ゴール目の連携は鮮やかだった。強くて速いグラウンダーのボールを2タッチ以内で繋ぐ新潟スタイルの面目躍如だ。

 また途中出場で1アシストした松田詠太郎も、すばらしいパスを出していた。彼はスタメンのメドが立ったのではないか? エースの伊藤涼太郎が抜けたいま、選手層が厚くなるのは朗報だ。

 この大きな1勝でチームは13位へと順位を上げた。今季、新潟は13位から、なかなか上に上がれない。下位グループを脱するため、次節・神戸戦で連勝したいところだ。

 神戸攻略のカギは、前線ですべてのプレーの起点になるFW大迫勇也を消すことだ。神戸攻略のキモはこの記事にまとめてある。ご参考まで。

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【J1 第18節】緊迫したムードのなか両者無得点引き分け ~柏 0-0 新潟

2023-06-25 07:58:50 | Jリーグ
伊藤涼太郎が巣立った新潟の現在地は?

 アルビレックス新潟はエースの伊藤涼太郎がシントトロイデンへの移籍で抜け、いったいどうなるんだろうと思って観た。

 だが、むしろ全員が以前よりイキイキしてプレイしているのが印象的だった。熱気がひしひしと伝わってきた。

 みんなボールを蹴る一挙手一投足に意志とエネルギーがこもり、「やってやるぞ」という雰囲気が手に取るようにわかる。力強い。

 フォーメーションは以前の4-2-3-1から、4-4-2に変えた。

 スタメンは三戸舜介が鈴木孝司と2トップを組み、右SHにダニーロ・ゴメス、左SHに小見洋太を置いた。また2CMFは高宇洋と星雄次。最終ラインは右から藤原奏哉、トーマス・デン、渡邊泰基、新井直人だ。

ひとまわり大きくなった三戸舜介

 特に2トップの一角として起用された三戸舜介は、いつものようにキレキレで俊敏だった。ボールスピードとプレイスピードがすばらしく速い。

 彼はメンタル面でもひとまわり大きくなった感じがした。エースの伊藤がいなくなり、「オレがやらなきゃ」という自覚が強く芽生えたのだろう。それがプレイに表れていた。

 いつもより一歩足を出す。いつもより気合いを入れてダッシュするーー。そんな三戸には輝くような未来が見えた。

 彼はパリ五輪をめざすU-22日本代表に選ばれている。6月4日から始まった欧州遠征に帯同し、10日にはU-22イングランド代表と、14日にはU-22オランダ代表と対戦した。

 イングランド戦では右サイドのライン際でボールを受け、リズミカルにパス交換しながら左サイドまで移動。エリア内に侵入し、彼がシュートを放ったあとのこぼれ球に味方が反応して詰めた。

 またオランダ戦でもスタメン出場し、積極的にシュートやセンタリングを放っている。

 どう見ても将来のA代表候補だろう。

新潟はいつものパスサッカーだった

 ゲームの前半は、6-4から7-3で新潟がよかった。いつもの強くて速いグラウンダーのボールを2タッチ以内でつなぐサッカーが冴え渡った。

 かたや柏レイソルはパスワークが鈍く、なかなかうまく行かない。シュートにも結実しない。ないないづくしだった。

 これが後半になると逆転し、柏優勢になった。

 一方の新潟はスムーズにパスは繋いでも、それがフィニッシュにつながらない。まるで「パスを回すゲーム」をやっているかのような状態だった。

 後半の柏も同じ。

 かくて試合は両者無得点の引き分けに終わってしまった。

 新潟は展開はいいのだから、あきらかにフィニッシュを強化する必要がある。場合によっては選手の補強も必要なのではないか?

新潟CBトーマス・デンに注目した

 選手別では、新潟はCBトーマス・デンの力強いインサイドキックと展開力が光った。

 ほかの日本人選手と同じようにインサイドで蹴っているのに、彼だけは「グン!」とパスが力強く伸び、ボールが生きている。腰の使い方や筋力が違うのだろう。

 一方、柏はスタメンのなかで、マテウス・サヴィオだけが「別の世界」でプレイしているような感じだった。彼だけがシャープで鋭くチャンスを作り出していた。

 ただ途中出場した仙頭啓矢もいいプレイをした。彼はサガン鳥栖時代から目についていた選手で、なぜスタメンで使われないのかよくわからない。不思議だ。

 いかにも「下位同士の戦い」という感じのこのゲーム。どちらも決定力がなく、両者無得点で引き分けというのも頷ける内容だった。

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【国立決戦】神戸はバルセロナとどう戦うか?

2023-06-06 06:23:37 | Jリーグ
神戸のサッカーはどこまで通用するか?

 本日6日、国立競技場でヴィッセル神戸とバルセロナとの親善試合が行われる。

 この試合の見どころはたくさんある。

 まず神戸はこの試合の主旨に合わせ、イニエスタを生かすバルセロナ式のボールをつなぐサッカーをするのかどうか? それともふだん通り、J1リーグで展開しているロングボール主体の縦に速い攻めをするのか?

 個人的には、(イニエスタには悪いが)後者のプレースタイルでやってほしい。で、神戸がJ1で勝ちまくっている戦い方は、果たしてバルセロナにどこまで通用するのか? が観たい。

 具体的には、神戸のビルドアップの主軸を担うロングボールにバルセロナはどう対処し、防ぐのか? 

 また前線でロングボールを受けるFW大迫勇也は、バルセロナ相手にどこまでやれるか? 彼のロングボール処理は支障なくできるか? 大迫の超絶的なポストプレイはバルセロナに通用するのか?

 はたまたFW武藤嘉紀や汰木康也のチャンスメイクは、バルセロナを崩すことができるか?

 それとも以上のようなことはすべてどうでもいい、単なる「お祭り」なのか?

 興味は尽きない。

 なおバルセロナのメンバーはエースでポーランド代表FWのロベルト・レヴァンドフスキや、守護神のドイツ代表GKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲン、スペイン代表MFガビら主軸が揃った。ペドリやロナルド・アラウホらは外れている。

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新潟MF伊藤涼太郎、シント=トロイデン移籍へ

2023-06-04 11:28:33 | Jリーグ
11日のホーム京都戦がラストゲームか

 スポニチアネックスによると、アルビレックス新潟のエースMF伊藤涼太郎が、ベルギー1部シント=トロイデンへ完全移籍することが決まった。

 以前、神戸の指揮官だったドイツ人のフィンク新監督も、伊藤の才能を高く評価しているという。

 11日のホーム京都戦がラストゲームになる見通しだ。

 シント=トロイデンは日本企業のDMMグループが経営権を持っており、過去に欧州5大リーグデビューした日本代表のMF遠藤航やDF冨安健洋を育てている。

 ただ伸び悩む日本人選手の「吹き溜まり」というイメージもあり、微妙なところだ。

 また難しいのは「25歳」という伊藤の年齢である。シント=トロイデンを経由して5大リーグへ行くには年を取りすぎている。

 例えばシント=トロイデンから1~2年後に早くも5大リーグへ移籍、などというコースでなければステップアップも考えにくい。

 いずれにしろ今回の移籍は論議を呼びそうだ。

(追記)アルビレックス新潟は5日、伊藤がシント=トロイデンに完全移籍することを正式発表した

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【J1 第16節】新潟の伊藤涼太郎が鮮やかなスルーパスを魅せる 〜湘南 2-2 新潟

2023-06-04 10:21:09 | Jリーグ
新潟、伊藤2アシスト、谷口2ゴールも引き分け

 J1リーグは6月3日、第16節を行い、湘南ベルマーレとアルビレックス新潟が対戦した。試合は両チームが前半に1点ずつを取り合い、後半にも1点づつ入り2-2で引き分けに終わった。

 この日は両チームとも激しい攻防戦を繰り広げた。片方が1点取ってリードすれば、片方が追いつく。そんなシーソーゲームだった。試合は次第に熱を帯び、新潟のエース、伊藤涼太郎はガツガツ削られ何度も倒されたが、ファウルは取られない。

 その伊藤が見せたのは前半30分だった。1-0でリードされている局面だ。敵陣でMF小見洋太からパスを受けた伊藤はボールを保持し、瞬時に敵味方の配置を読み取る。そしてライン裏のスペースに鮮やかなスルーパスを出す。絶妙なコースだった。

 これに呼応してFW谷口海斗が、瞬時に前のスペースに走り込む。谷口はボールを迎える形で反転しながらゴール右に決め、チームは同点に追いついた。

 伊藤はこの日のゲームで、今季7ゴール4アシストとした。

 新潟のフォーメーションは4-2-3-1だ。スタメンはGKが小島亨介。最終ラインは右から新井直人、田上大地、千葉和彦、渡邊泰基。CMFは秋山裕紀と高宇洋。2列目は右から三戸舜介、伊藤涼太郎、小見洋太。ワントップは谷口海斗だ。

新潟が伊藤の2アシスト目で逆転する

 先制点は湘南だった。DF杉岡大暉がボックス左角からクロスを入れる。だがボールは新潟のCB千葉が大きく広げた手に当たり、湘南がPKを得る。

 前半2分、キッカーの町野が助走して右足を振ると、ボールはゴール左スミに収まった。1-0だ。

 新潟は両SBを高く上げ、2CBが開いてビルドアップしている。彼らは湘南の激しい守備に合い、立ち上がりから今ひとつリズムに乗れない。チーム全体がギクシャクしている。

 だが前半30分に伊藤のスルーパスから谷口がゴールを決めて同点に追いつく。新潟、ここは畳みかけて攻めたいところだ。

 そんな後半17分。新潟は左CKを獲得する。キッカーの伊藤が右足でクロスを入れると、ボールはニアの密集地帯を越えて中央付近へ飛ぶ。そこで谷口が右足インサイドでワンタッチし、ゴール左に決めた。1-2。逆転だ。

 伊藤はこれで本日、2アシスト目である。

湘南、小野瀬のゴールで同点に追いつく

 同20分。リードしている新潟は残り時間を考えてか、三戸に代えてダニーロ・ゴメスを投入した。

 同31分。湘南は途中出場の阿部浩之による美しいコントロールショットが新潟ゴールの右上スミを襲うが、GK小島がすばらしいセーブをする。1点ものだ。

 そして運命の後半38分だった。湘南の阿部がスルーパスを出し、PA内にいたMF小野瀬康介がニア上へ豪快に叩き込んだ。いったんオフサイドでノーゴールの判定が下るが、VARチェックで得点になる。2-2。同点だ。

 このあと後半45分には新潟・伊藤のカーブをかけた美しい軌道のシュートが湘南ゴールの右上スミを狙うが、惜しくも外れる。そしてゲームセット。

 これで両チームとも連敗を止め、痛み分けで引き分けとなった。

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【レフェリング問題】鹿島・鈴木優磨の「示威行為」はアウトか?

2023-06-03 09:31:47 | Jリーグ
鈴木のファウルが発端だった

 日本サッカー協会の審判委員会は2日、Jリーグ等での判定をケースごとに解説するレフェリーブリーフィングを実施した(リンク先に記事あり)。その席で問題になったのは、鹿島アントラーズのFW鈴木優磨のプレイだった。

 時は5月14日に行われたJ1リーグ第13節、対名古屋戦だ。鹿島の前半12分でのプレイだった。

 右CKの場面でキッカーのMF樋口雄太が蹴ったボールを、鈴木が頭で叩いてゴールに収めた。だがVARで得点は取り消しになる。事前のポジション争いで鈴木がマーカーの稲垣祥をブロックしたファウルが認められたのだ。

 収まらないのは鈴木のハラの虫だ。

 続く同29分。なんと鹿島がさっきとまったく同じ形で、MF樋口が蹴る右CKからの鈴木のヘディングシュートを見事に決めて見せた。

ゴールを決めて審判に「どうだ?」の顔

 劇的なゴールに感情を抑え切れない鈴木は、「どうだ? 見たか?」とばかりに主審にアピールした。チームメイトたちはゴールを祝いながらも、あわてて鈴木を主審から引き離した。

 この審判に対する鈴木の行為が、レフェリーブリーフィングで俎上に上がったのだ。

 ブリーフィングに列席したJFA審判委員会委員長の扇谷健司氏は、「この件は大きなことです。ああいうことがピッチ上で行われるのはよくない」

「JFAは暴力、暴言の根絶を掲げている。ああいったことを相手選手やサポーターにやれば大乱闘になる。これは大問題だと思っています。我々としてはピッチ上でしっかり対応しなければいけないと思っています」

 こう見解を述べたのだ。

コメント欄も「賛成」の嵐だが……

 そしてこのコメントを伝える上記の記事のコメント欄には、いっせいに鈴木を批判する意見が大挙書き込まれている。

 だが、本当にそうだろうか?

 私は鹿島サポじゃないし鈴木ファンでもない中立の立場だが、あのとき鈴木は「どうだ? オレはゴールを決めたぞ!」という顔をして審判を見ただけに思えた。

 恐らくはゴールを決めたことによるひたむきな感情の爆発であり、「示威行為」と呼ばれるたぐいのものだとは感じなかった。いやひょっとしたらユーモアの発露なのかな? とも思った。

 だから私はチームメイトがあわてて鈴木を審判から引き離すのを見て、「まるでプロレスみたいだな」と逆に笑ってしまったのだ。

 あのとき鈴木は審判に対し、荒々しく腕を振り上げるわけでもなかった。顔を歪めたわけでもない。ただ単に審判のほうを見て「どうだ?」という表情を見せただけだ。

 あれが「ファウル」になるのだろうか?

日本の審判はユーモアのセンスをもて

 私は、ひょっとしたら鈴木が「レフェリーにクレームをつけるプロレスのワンシーン」をイメージし、あの「どうだ?」の表情をしたのかと思った。

 だからむしろ「ユーモアのセンスのあるおもしろい奴だな」と感じた。本当にそうであるかはわからないが、少なくとも私はそう感じた。

 一般に日本人は生真面目で、ユーモアのセンスのある人が少ない。特にサッカーの審判はそうだ。

 例えばヨーロッパの審判はジャッジをめぐって試合中に笑顔を見せたり、おどけた仕草をしたりする。彼らはユーモアがわかる試合の「演出者」だ。おもしろい試合を「演出」してくれる。

 だが一方、日本の審判ときたらまるで逆だ。彼らは「竹刀を持って生徒を威嚇する体育の先生」である。選手を威嚇することで威厳を保ち、試合を維持しようとする。ユーモアのかけらもない。海外の審判とはぜんぜんちがう。

 まあ鈴木の一件は別にして、日本の審判はもっとユーモアのセンスをもってほしいなと個人的には思う。

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【J1神戸 攻略法】こうすれば神戸に勝てる

2023-05-30 06:00:11 | Jリーグ
大迫へのボールを遮断せよ

 今シーズン、大躍進してJ1リーグで首位を走るヴィッセル神戸。彼らから首位を奪還するのは、難攻不落の城を落とすような難しさがある。

 だが神戸には「勝っている理由」が明確にあり、そこを潰せば攻略できるはずだ。

 神戸が勝っている最大の理由。それは最前線で獅子奮迅の活躍をするFW大迫勇也の存在にある。特に最終ラインから彼に届くロングボールは、神戸のビルドアップの大部分を司っている。

 他方、得点ランキングトップの大迫は、チームの得点源でもある。自分でゴールを決めることもできる。また彼がやっているポストプレイは、チームの組み立ての枢要にもなっている。

 一事が万事、大迫なのだ。

 もちろん他の選手の貢献度も高いのは確かだ。だがチームのキモは大迫が握っている。ならば神戸に勝つには大迫を「消せばいい」。

大迫はマンマークでは止められない

 しかし「大迫を消す」といっても、だれでも思いつく大迫へのマンマークなどでは彼は絶対に潰せない。

 強靭な大迫はマーカーを背負っている状態でも、まるでフリーでいるかのようにたやすくポストプレイができる。そんな光景は何度も見かける。

 つまり彼にマークをつけてもムダなのだ。

 しかも短いグラウンダーのボールをもらえばポストプレイは比較的カンタンだが、大迫は最終ラインから届くロングボールを、なんと最前線でワンタッチするだけでスルーパスを出している。

 これがいかに難しいかは、ちょっとサッカー経験のある人ならだれでもわかるだろう。

ハイプレスで「パスの出し手」を潰せ

 ならばやるべきは、大迫へのボールの供給源をなくすことだ。特に神戸のビルドアップの大部分を占める大迫へのロングボールを断つのが先決である。

 だが神戸の常套手段であるロングボールやハイクロスのような浮き球は、いったん出されると途中でパスカットできない。なぜならボールは「空中」にあるからだ。

 そして長いボールを出されてしまえば、その先には超絶的なポストプレイを繰り返す大迫がいる。大迫にボールが渡った時点で1点ものだ。

 とすればロングボールが出る前に、ボールの出し手を潰す一手だ。

 つまりボールを保持する神戸の最終ラインに、時間的猶予を与えず激しくハイプレスをかける。

 こうしてロングボールを蹴る前にプレスで潰す。理想はプレッシングでボールを奪うことだ。またはボールホルダーの体勢を少しでも崩してパスのコースを狂わせる。あるいはバックパスさせる。これで前線の大迫にボールを触らせないのがポイントだ。

 またサイドから大迫に渡るハイクロスも同様だ。クロスの出し手に厳しいプレスをかけ、ボールを刈り取る。またはパス出しを止める。こうしてボールを大迫に渡さない。

まとめ

 神戸のビルドアップは、ほとんどがロングボールを使ったダイレクトなやり方だ。そのロングボールを遮断するということは、神戸のビルドアップを完全に断つことを意味する。つまり彼らの攻め手はなくなる。

 これができれば、神戸を封じることはほぼ実現したも同然だ。

 参考になるのは、J1リーグ・第14節の柏vs神戸戦だ。この試合で柏レイソルのFW細谷真大が、ボールを保持した神戸の左SB本多勇喜にプレスをかけたシーンである。

 プレスを受けた本多はあわててバックパスし、GKが飛び出していた無人の自ゴールにオウンゴールしている。

 こうしたプレッシングが神戸には有効なのだ。

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