すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【フェアプレーP問題】まったく馬鹿げた議論だ

2018-06-30 07:59:21 | サッカー日本代表
文句があるならレギュレーションを変えろ

 ロシアW杯において、日本代表がフェアプレーポイントによりグループリーグを突破した件が問題視されている。まったく馬鹿げた議論であり、お話にならない。

 まず日本がポーランド戦の終盤に、安全にボールを回し時間を使ったプレーが非難されている。だが他会場との関係により、失点しないよう安全にプレーするのはごく当たり前の話だ。セーフティにボールを回し、うまく時間を使うのは正当なプレーである。

 それを「攻めない。卑怯だ」というなら、仮にリードしている状態で試合終盤にうまく時間を使って「試合を殺す」プレーは禁止だ、ってことになる。それではサッカーにならない。

フェアプレーポイントはお飾りか?

 一方、日本はフェアプレーポイントで勝ち残ったから「けしからん」というなら、勝ち点、得失点差、総得点すべてが同率の場合「最後の最後はフェアプレーポイントで優劣を決める」というレギュレーション自体がおかしい、ということになる。

 ならばFIFAは即刻、レギュレーションを変えるべきだ。

 ルールに明記されているにもかかわらず、それを利用するのは「卑怯だ」などというのは論理矛盾であり、まったくわけがわからない。

「他力本願」は是か非か?

 さて残る核心は、おそらく「他力本願」は是か非か? という問題だろう。だがこれだって実はカンタンな話だ。他会場の情報をもとに「この時間帯なら、リードしているコロンビアはもう失点しないようプレーするだろう」と読みをきかせる。

 で、「ならば自分たちもルール上の有利を得るため、まず失点を避けよう」と戦略を立てるのは個人信条の自由である。それを「卑怯」呼ばわりするのは論理が破綻している。

 たとえばイタリア人に向かって、「カテナチオなんて卑怯だ。なぜ攻めないのか?」などと批判するのは正当だろうか? そんなものはイタリア人の個人信条の自由である。本人が信念をもってカテナチオを選択するなら、当然それが優先されるべきだ。なぜならそれは「守備の文化」に価値を置くイタリア人固有の生き方の問題だからである。

 であるならば、今回の日本が取った「攻めない」という戦略も同列に論じる必要がある。

シミュレーションのほうがよっぽど汚い

「日本人は勝つためじゃなく、試合に負けるために時間稼ぎした。フェアじゃない」と批判する人もいるだろう。

 だがそれをいうなら、それ以上の失点を避け、そのまま試合に負けることによってルール上はグループリーグを勝ち上がれるレギュレーションになっているのだから、それを利用することは正当だ。目的はあくまで決勝トーナメントに進出すること。それのいったい何が悪いのか? まったく理解できない。

 もし日本代表の行為に「恥を知れ」というなら、ファウルされてもいないのに大げさに倒れる(サッカー界ではすでに「常識」と化した)シミュレーションのほうが、よっぽど汚いし恥ずかしい。

 私はシミュレーションが大嫌いだ。

 ぜひ根絶してほしい。

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【ポーランド戦】フェアプレイで「勝った」世紀の凡戦 〜日本 0-1 ポーランド

2018-06-29 09:39:05 | サッカー日本代表
試合には負けたがイエローの数でGL突破

 子供のころ、学校の道徳の授業で先生から「フェアプレー精神は大切です」と教わった。確かにその通りだった。なにしろワールドカップのグループリーグを、「フェアプレー」で突破できるのだからーー。

 学校でそう習った日本の子供が成長すると、フェアプレーな大人になる。そんな大人が11人揃ったサッカーチームは、こうして優先的に決勝トーナメントに出られる。そういうレギュレーションだ。かつて「日本人はマリーシアが足りないところがダメだ」と言ったドゥンガはどうやらまちがっていたらしい。

 それはともかく。

 ともに0-1で負けた日本とセネガルは勝ち点、得失点差、総得点ですべて並び、最後は「フェアプレーポイント」でセネガルを上回った日本がコロンビアといっしょに決勝トーナメントへ進出した。

 いやはや、しかし内容はかなりグダグダな試合だった。録画してある映像を2度観る気もしない凡戦だ。いや、フェアプレーポイントで勝とうと、試合の終盤に安全にボールを回して時間稼ぎした日本のプレーを批判してるわけじゃない。そういうレギュレーションなんだから活用し、グループリーグ突破をめざすのは当然だ。時間稼ぎは非難されるような行為じゃない(心臓には悪いが)

 そうじゃなく試合内容が酷い。まずキックオフと同時に、酒井高徳が場違いな右SHのポジションにつくのを見て心臓がノドから飛び出そうになった。これはそういう試合なのか? これは合宿終わりに遊びで興じるミニゲームなのか? そんな破壊的なスタメンだから内容は推して知るべし。グループリーグ第2戦までの躍動感などカケラもない。あのひ弱な宇佐美が「良く見えた」くらいだ。

スタメン6人代えで主力を温存

 日本のフォーメーションは4-4-2だ。スタメンはディフェンスラインが右から酒井(宏)、吉田、槙野、長友。ボランチは柴崎と山口蛍。右SHは酒井(高)、左SHは宇佐美。2トップは岡崎と武藤(嘉)だ。大胆に6人もメンバーを変え、主力を休ませようという作戦である。

 気温36℃という暑さのせいか、日本はボールを引き出す動きがない。全員が突っ立ったまま、走らなくてすむ足元へ、足元へと、ゆるいボールをつけるだけだ。まるでスローモーション映像を見ているかのように動きが鈍い。展開も遅い。全員が足に重りをぶら下げているかのようだ。この日、柴崎が休ませてもらえなかったのは、何かの罰ゲームなのか?

 日本は最前線とディフェンスラインの間が間延びし、コンパクトに保ててない。そのため前へのサポートも間に合わなければ、後ろへのプレスバックも遅い。特にアタッキングサードで攻撃時には、前と後ろが前後2グループに分断されているようなありさまだった。また敵が走れば必ず人について行くため、日本は陣形を横に引き伸ばされたり、縦に奥行きを作られたり。ゾーンが間延びするのはそのせいもある。

 一方、動きが重いのは相手のポーランドもまったく同じだ。もしかしてグループリーグ敗退が決まった2チームが余興でやってるゲームなのか? これは。キリン杯よりユルい雰囲気だ。ポーランドも日本に劣らず前後が間延びし、そのため互いの中盤にはたっぷりスペースがある。まるで60年代のサッカーを観ているみたいだ。

 ポーランドは4バック。案外、最終ラインからのロングボールは少なめで、グラウンダーのボールでビルドアップしようとする。このとき日本は2トップの岡崎、武藤の前からの守備がいい。ミドルサードの敵陣側からプレッシングを始め、中間ポジションを取りながら、コースを限定してハメたい地域へ相手ボールを誘い込もうとする。

 ところが日本がいいのはこの局面だけだ。あとは相手ボールがミドルサードに入るや、ボールホルダーに対する守備が甘くなる。相手と距離を取りすぎ、自由にやらせてしまう。おかげでポーランドはクロスにしろ、パスにしろ、やりたい放題だ。とはいえすでに敗退が決まり消化試合の彼らには闘志など感じられない。まだグループリーグ突破が決まってない日本におつきあいしている感じである。

内容は散々、だがいいことずくめの日本

 日本はビルドアップ時に山口蛍がCBとSBの間に落ちたり、柴崎が両CBの間に下りて3バックになったりしている。だが工夫はすれど、有効なパスが思うようにつながらない。スタメンをランクダウンさせると、こんなに内容が劣化するものか?

 たまにパスが急所につながり日本が攻撃してボールを失うと、今度は「結果的に」ポーランドのカウンターになる。ポーランドはモッサリしているが……日本の守備組織が崩れているだけに、このカウンターが滅法こわい。決定的な形になる。何度か同じようなカウンターを食らい、キモを冷やした。

 そんななか、後半14分に山口蛍が必要もない局面でムダなファウルをし、FKから失点してしまう。恒例のセットプレイからの失点だ。悪いところだけはいつも通りである。試合はこれで万事休した。あわてて乾や長谷部といったレギュラー組を出してくるが、もはやメンバーを2人や3人代えたくらいじゃ、とても修正が効かないチーム状態になっていた。

 と、ここまでボヤキまくってきたが……客観的に考えれば、これがまた日本にとってはいいことずくめの結果なのである。内容は散々だが結果よし。まずグループリーグを突破できたこと。第一目標は達成だ。次に大胆にメンバーを落としたために、主力の原口と香川、昌子らは完全休養。大迫と乾、長谷部は半ドンとはいえ休ませられた。これは中3日で次の決勝トーナメント1回戦を迎える日本にとっては大きい。

 それに同時進行している裏の試合の終盤。0-1で負けているセネガルがもし点を取ったら日本の敗退は確定なのに、「点を取らないほう」に賭けて最後は日本の選手たちに時間稼ぎのボール回しをさせた西野監督の度胸には驚いた。

 とすれば試合内容は別にして、実は日本にとっていいことずくめだったこの試合の新聞の見出しはこんなところか?

「勝負師・西野、三たびの奇跡を呼ぶ」

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【ロシアW杯・ポーランド戦】予習のきかない一戦、日本のアドリブ力が鍵だ

2018-06-28 06:29:19 | サッカー日本代表
相手はスタメンも陣形も予想がつかない

 さあ、グループリーグ突破を決める一戦だ。だが相手はすでに敗退が決定しているポーランド。それだけにスタメンを一新したりフォーメーションを変えてくる可能性があり、予習が効かない。そのため試合の立ち上がり10分、15分は相手の出方を見て、日本はその場のアドリブでうまく対応する必要がある。

 ポーランドにとっては消化試合だ。ゆえにモチベーションが落ちているかもしれない。だが反面、スタメンを控え組にがらりと変えてきたりすれば、逆に試合に出ておらずやる気マンマンな面々を相手にすることになる。従来のレギュラー組で来るとしても、国の威信をかけ死力を尽くしてくるかも知れず、彼らのモチベーションの高低は読めない。

 結果、日本は事前の仕込みのない「素のまま」の力で挑むことになり、地力が試される。その状態でいったいどんな試合経過をたどり、どんな結果が出るのか? 非常に興味深い。

 ただしポーランドは基本的にはヨーロッパの良くも悪くも「標準的」なスタイルであり、日本にとってはやりやすいだろう。

日本のやり方は変わらない

 一方、日本のオーガナイズの骨格は変わらない。

 おそらくフォーメーションはセネガル戦と同じ4-2-3-1だ。そして相手のビルドアップの局面では、ワントップの大迫とトップ下の香川が中間ポジションを取り、ボールを保持する相手CBに2人で前からプレッシングを行う。

 これで中へのパスコースを消し、相手ボールを狭いサイドに呼び込む。あとは同サイドのSBとSH、ボランチが挟み込んで前からハメる。

 一方、日本のビルドアップの場面では、ボランチの1枚がディフェンスラインに落ち、3バックを形成して両SBを高く張り出させる。これで相手が2トップでプレスをかけてきても、日本は1枚余って対応できる。

GK川島と原口、長谷部を休ませるか?

 さて日本のスタメンに関してはどうだろうか? 基本はセネガル戦のメンバーだが、変更があるとすれば運動量の多い右SHの原口を休ませ、アグレッシブでスピードのある武藤に変える一策か?

 また長谷部の疲労も心配されるが、休ませるとしても山口蛍は不振でパスミスが怖い。では今やチームのタクトを振っている柴崎の相方は誰になるのか?

 ボランチの2人は守備型(バランサー)と攻撃型の選手を組み合わせるのがパターン化しているが、ここは若い大島を推したい。彼が今大会に出場しないのでは日本の損失だ(決勝トーナメントのための隠し球になるかもしれないが)。若い柴崎と大島のコンビには、急所を突く鋭い縦パスをズバズバ刺し込んでほしい。

 あとはミスが目立つGK川島を中村航輔に変える方法もある。いきなり若手を使うのはリスキーだという声もあるが、私は得られるメリットのほうが大きいと考える。ただしメンバー選びがベテラン重視で保守的な西野監督はおそらく川島で行くのだろう。

日本のサッカースタイルが確立する日

 いずれにしても歴史を作る一戦である。

 今大会の日本が魅せているサッカーは、だれかに押しつけられたスタイルじゃない。彼らが「自分の頭」で考えたサッカーだ。

 そう。今日は、本当の意味で「自分たちのサッカー」で世界を取る日だ。

 2014年ブラジルW杯版「自分たちのサッカー」とは明らかにちがう。確かに旧来通りグラウンダーのショートパスは織り交ぜながらも、フィールドを斜めに横切るダイアゴナルなサイドチェンジあり、ライン裏を狙う長いスルーパスあり。柴崎を中心に、ピッチを広く使ったワイドな展開をする新機軸が形になりつつある。速攻と遅攻のブレンド化も結実してきた。攻撃的なサッカーだ。

 おそらく今回の戦い方が「日本のサッカースタイル」として確立され、今後、定着して行くのだろう。その意味でも歴史的な日だ。

 さあ、スッキリ勝って決勝トーナメント行きを決めよう。

 そこが彼らにふさわしい世界の舞台だ。

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【ロシアW杯】日本の全失点は守備のミスがらみだ

2018-06-27 06:34:36 | サッカー日本代表
W杯はミスのないチームが勝ち上がる

 アリゴ・サッキが日本対セネガル戦を観て、「戦術に囚われず両者がオープンに打ち合った結果だ」とコメントしたらしい。

 3点取られたら4点取って勝つ攻撃サッカーというのは、観る側にとっては実に魅力的だ。「スペクタクルだ」「アグレッシブで爽快だ」と賞賛の的になる。

 だが「3点取られたら4点取って勝つ」と標榜するチームは、往々にして5点取られて負ける。

 日本はいま一度守備の基本に立ち返り、次のポーランド戦を戦ってほしい。

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【セネガル戦・コラム】日本のパスサッカーは世界化するか? 〜日本2-2セネガル

2018-06-25 14:45:13 | サッカー日本代表
柴崎や大島らに託された大きな夢

 俺たちのパスサッカーはこれだーー。

 そんな世界に向けてのプレゼンテーションを見ているような試合だった。もちろんグループリーグ突破うんぬんも重要だが、「日本は国としてどんなサッカーをするのか?」も大きなテーマだ。その問いに答えるように、この日、彼らが見せたパスの質は実に多彩だった。

 これまでの彼らのパスは、もっぱら足元ばかりを狙う弱いショートパスだけだった。だがこの日は長短あわせ、大きくダイアゴナルなサイドチェンジあり、ライン裏を狙う長いスルーパスあり。またポストの選手に当てる強いクサビのボールもあった。

 ボールスピードも以前より速く(時間の経過とともに遅くはなったが)、満足の行くものだった。特に柴崎はすばらしいパスをあやつっていた。マメで緻密な日本の速いパスワークの前に、セネガルはすっかりイライラしていた。

 ひょっとしたら彼らは、内向きに日本化したパスサッカーを世界化するかもしれない。それは若い柴崎や大島らに託された大きな夢だ。そんなゾクゾクする予感がした。

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【セネガル戦】敵はパスカットからのカウンターを狙っている

2018-06-24 07:47:47 | サッカー日本代表
「日本式ティキ・タカ」を封印せよ

 ついに日本のロシアW杯グループリーグ第2戦、セネガル戦が今夜に迫った。そこで今回は「これだけは気をつけろ」という禁じ手を簡潔に紹介しよう。

 まずセネガルはカウンターが得意なチームだ。相手ボールを奪ったら、規格外の爆発的なスピードに乗って速攻を仕掛けてくる。そのため彼らは常に敵のパスカットを狙っている。

 とすれば「カットしてください」といわんばかりの、グラウンダーの弱いショートパスを足元にばかりつなぐ日本式ティキ・タカは格好の餌食になる。

間受けやバックパスは狙われる

 日本はコロンビア戦でもやらかしていたが、自分の足元へ味方のゆるいグラウンダーのパスが届くのを間受けしようと突っ立ったまま待つ。すると自分の背後から敵の足がグイと伸び、後ろからパスをカットされる。これをセネガル戦でもやったら致命的だ。

 事実、セネガル対ポーランド戦でのセネガルは、こうしたパスカットからのカウンターを何度も仕掛けていた。

 ならば日本はセネガル戦では、味方の足元に出すグラウンダーのショートパスをなるべく避け、柴崎がやっているような中長距離の強くて速いパスでピッチを広く使ったサッカーをすべきだ。

 ピッチを斜めに横切る長いサイドチェンジを入れる。例えばボールを保持した左SBが、逆サイドに開いて前のスペースをうかがう右WGにダイアゴナルなロングパスを出す。

 必要以上に自陣でボールをこね回さず、柴崎や大島が速いタイミングで敵のライン裏を狙った長いスルーパスを出す。そこにスピードのある武藤(嘉)を走り込ませる。

 くれぐれも安易なバックパスは厳禁だ。パスカットの標的になる。 

「苦しくなったらバックパス」でなく、「苦しくなったら前へ放り込め」のほうがカウンターを食らわないだけはるかにマシだ。

相手にボールを持たせてビルドアップ時を狙う

 まちがってもセネガル戦だけは、「ボールをつないで主導権を握ろう」という日本が大好きな発想をしてはいけない。カウンターが得意な敵の術中にハマる。

 この試合だけは、日本はミドルサードにブロックを敷いて相手にあえてボールを持たせ、岡崎や香川らが得意な前からの守備で牽制したい。狙うは敵のビルドアップだ。

 セネガルのCBがボールを持ったら、前からのプレッシングで中へのパスコースを消し、相手ボールを狭いサイドへおびき寄せる。で、同サイドの日本のSBとSH、ボランチが挟み込んでハメる。これでボールを奪ったら速いショートカウンターを見舞う。

 もしそれを嫌って敵がバックラインから縦にロングボールを入れてきたら、デュエルで競り合ってボールを回収する。汗をかいてセカンドボールを拾う。

 これで一丁あがりだ。

 くれぐれも「ボールをつなぐこと」に夢中になり、フィニッシュに行かない・行けない、のだけは絶対に避けたい。シュートを打たない限りゴールは生まれない。遠目からでもシュートを打つ。サイドから積極的にアーリークロスを入れる。で、こぼれ球を拾って詰める。

 みっともなくても、泥臭く決める。

 この試合はそんなハードワークが必要だ。

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【西野ジャパン】セネガル戦は誰をどう戦わせるか? 〜セネガルは知的な野獣だ

2018-06-23 08:25:57 | サッカー日本代表
組織と強い個が同居した最強の敵

 日本のロシアW杯は、いよいよ勝負のセネガル戦だ。ここで勝てばグループリーグ突破の確率がグンと高まる。だが率直に言って日本が勝てる可能性は(ゼロではないが)極めて薄い。

 セネガル対ポーランド戦を見た限りでは、セネガルは4-4-2で非常に統率の取れた組織の上に強い個が乗っている、という「全部入り」の最強チームだ。フィジカルが強く、爆発的なパワーがある。ここは引き分けの勝ち点1を取れれば御の字だろう。

 とすれば第3戦までのトータルで考えるのが現実的だ。ポーランドになら勝てる可能性はあると思うが、このへんの戦い方については後述しよう。まずセネガル戦のスタメン予想は以下の通りだ。

     ◯大迫

 ◯武藤(嘉)◯香川◯原口

   ◯大島◯柴崎

◯長友◯昌子◯植田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔

 予想というより提案だが、西野監督は「コロンビア戦のメンバーがベースになる」とコメントしている。で、それに準拠し4-2-3-1で若干アレンジを加えてみた。過去、代表ではメンタルが弱く実績を残せてないトップ下の香川は、コロンビア戦で自分の殻を華々しく破った。ここはぜひ次戦も起用し自信をつけさせたい。

 またケガ明けの乾は休ませて左SHには武藤(嘉)。ライン裏にスプリントできるスピードのある選手がいない西野ジャパンにあって、唯一、武藤だけがそれをできる。得点力があり、フィジカルが強くハードワークできる選手だ。フィジカル・モンスターだらけのセネガルにも対抗できるだろう。

 原口はカットインして右足でシュートできる本職の左サイドがベストだが、セネガル戦ではエースのマネとマッチアップする可能性が高い右SHで踏ん張ってもらう。ボランチの一翼には疲労の色が見える長谷部を休ませ期待の大島を。ケガはもう大丈夫なようだ。柴崎と2人で極上の鋭い縦パスを突き刺してほしい。

 一方、右CBには吉田を休ませ植田を使い、鹿島ラインのコンビネーションに賭ける。植田はパラグアイ戦でいい縦パスを何本も入れていた。ここでW杯経験を積ませたい。彼はフィジカルと闘争心が強くセネガルにも力負けしないはずだ。

 懸案のGKには、川島がイエローカードをもらっていることもあり若い中村航輔を。このところデイフェンスラインとの連係ミスが続き、消極的になっている川島はリスクが高いと見る。

ボールを持たせてカウンターを狙う

 セネガル対ポーランド戦を見た印象では、セネガルは引き気味で相手にボールを持たせてカウンターを狙うチームだ。相手ボールになればミドルサードに4-4のブロックを作って待つ。特に中央が固い。

 また爆発的なスピードがあり、敵からボールを奪うと2トップの後ろから2〜3人のアタッカーが瞬時に飛び出してくる。エースのマネは左SHで「中盤の指揮者」のようなプレイスタイルだが、自軍ボールになりカウンターのチャンスになると飛び込んでくる。FWのニアンも要注意だ。

 とすれば西野監督がめざす「リアクションでなく主導権を取るサッカー」をして下手にポゼッションすれば、セネガルの得意な形でガッチリ噛み合い、術中にハマる恐れがある。日本はボールを持たされ、ロストした瞬間に速攻で仕留められる可能性が高い。ただでさえパスカットされやすい弱いショートパスを多用する日本が、「パスで試合を支配しよう」などと素のままのスタイルで戦えばセネガルの思うツボだ。

 逆にセネガル対ポーランド戦を振り返ると、ポーランドが自陣に引いてブロックを作った場面でセネガルがボールを持つと、とたんにセネガルは攻めがぎこちなくなった。明らかに日本と違い、パスを何本もつないで攻めるチームではない。とすれば日本はラインを深く設定して低く構え、セネガルにあえてボールを持たせてカウンターを狙うのがベストだ。そうすれば彼らの良さを消せる。で、セネガルが前に出てきたところでボールを取れれば、ライン裏のスペースを生かした速攻が利く。

 くれぐれも注意したいのは、彼らのスピードと間合いだ。「まだ間に合う」と思っても、最後の1歩でありえないほど足がグンと伸びてくる。パスが足元に届くまで待っていると、途中で後ろからかっさらわれてしまう。彼らは初動が速く、パスカットが得意だ。頭に置いておきたい。

 またスピードがあるため、完全にイーブンなボールもマイボールにされてしまう。そのぶん日本は先回りした守備対応が必要だ。一方、セネガルは状況に合わせて選手やシステムを柔軟に変えてくるのも特徴だ。アフリカというイメージとは違い、非常に知的で戦術的なチームである。とすれば日本はまさに西野監督が繰り返す「対応力」が求められる。

 カギは初戦と同様、粘り強いハードワークだ。

 ぶちかましてほしい。

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【コロンビア戦】日本の速いカウンターがPKを呼んだ 〜日本2-1コロンビア

2018-06-20 15:24:36 | サッカー日本代表
長谷部をボランチとリベロで使う可変システム

 ロシアには魔物が住んでいるようだ。開幕したロシアW杯。優勝候補のドイツが負け、強豪アルゼンチンやブラジル、スペインも勝てなかった。その魔物が今度は日本に味方した。ただしあのハンドによるPKは偶然の産物ではない。香川を起点にした日本の速いカウンター攻撃が生んだ贈り物だった。

 前半2分、コロンビアが左サイドからアーリークロスを上げるが日本がクリアした。このときコロンビアは前がかりになり、全員が日本陣内にいる。自陣はカラっぽ。日本のカウンターのチャンスだ。

 で、このクリアボールを受けた香川がダイレクトで山なりの縦パスを出す。これを拾った大迫がシュートしたリバウンドを香川がダイレクトでシュートし、相手のハンドを呼んだ。このPKで日本は先制する。しかもコロンビアはハンドによる一発退場で10人になった。

 コロンビアのアーリークロスを日本がクリアした瞬間、敵は前がかりになっていたためコロンビア陣内にはだれもいない広大なスペースが広がっていた。このカウンターの好機を逃さず、機転を利かせた香川の縦へのダイレクトパスがすべてを決めた。

 続く日本の決勝点は後半28分。途中出場した本田が左コーナーキックを蹴り、これをゴール前で大迫が力強いヘディングシュート。2-1になり、勝負は決した。

香川をトップ下に据えた4-2-3-1

 日本のフォーメーションは、香川をトップ下に据えた4-2-3-1だ。ディフェンスラインは右から酒井(宏)、吉田、昌子、長友。ボランチは長谷部と柴崎。右WGは原口、左WGは乾。ワントップは大迫だ。

 この試合、日本には2つの約束事があった。

 1つはコロンビアのビルドアップの局面だ。敵CBがボールを持つと、大迫と香川が2人並んでCBにプレスをかけた。ボールを奪うためのプレッシングではない。パスコースを限定し、中へのコースを切って相手ボールをサイドへ誘導するためのプレッシングだ。

 これでボールが狙い通りサイドに出たら、同サイドの日本のSBとSH、ボランチが挟み込んでハメるゲームプランだ。

 もう1つは日本のビルドアップ時である。ボランチの長谷部が両CBの間に下りて3バックを形成し、両SBを高く張り出させてビルドアップする狙いだ。西野監督が「隠していることもある」とコメントしていたのは、おそらくこのプレーだろう。

 ただし前半早々にコロンビアがハンドで1人退場になり、前からプレスをかけてこなくなった。これで必要がなくなったため、日本は3バックによるビルドアップを前半でやめている。

ラクな仕事のはずだったが日本はリスキーだった

 相手は1人少なくなり、しかも日本はPKで1点リードしている。ぶっちゃけ、あとはラクな仕事のはずだった。10人になったコロンビアは、日本ボールになればディフェンディング・サードまでリトリートしてブロックを作ったからだ。

 ならばリードしている日本は後ろ半分で安全にボールを回してうまく時間を使い、焦れたコロンビアが前に出てきたときに縦パスを入れて敵の崩れた陣形を突けばよかった。

 だが日本は非常にリスキーだった。とにかくカンタンにボールを失いすぎる。また相手ボールに飛び込んでかわされ、2~3人が瞬時に置き去りにされたり、局面によっては守備が非常に甘く1人少ないはずのコロンビアの選手をフリーにしてしまっていた。

 柴崎はいい縦パスを出していたが、「リードしている」という得点状況と「1人多い」という試合状況を考えれば、その縦パスが必然性もなくリスキーなケースがあった。また意味のない場面で、意味のないタックルをして負傷退場してしまった。今後は絶対に気をつけてほしい。

 また乾は効果的なボールのつなぎとシュート、守備をしたが、ファウルを期待して露骨に何度も転びすぎる。結果、審判にほとんどファウルを取ってもらえず、カンタンに相手ボールになっていた。あれでは敵にボールをプレゼントするだけだ。柴崎同様、今後は絶対に気をつけてほしい。

 一方、後半23分に香川と交代で途中出場した本田も、自身のCKから2点目を呼んだプレー以外は、目も当てられないデキだった。なぜか右サイドに開いてプレイし続け、同サイドの原口、酒井(宏)とポジションが被りまくり。おまけに立て続けに2本の致命的なパスミスを犯し、しかもそのうちの1本は敵への見事なパスになっていた。リスキーすぎてとてもトップ下では使えないし、スタメンも無理だ。

大迫はやっぱりハンパなかった

 選手別では、大迫は高さと強さで獅子奮迅の活躍をした。特にマーカーを背負った鉄壁のポストプレイは圧巻だった。世界に通用した。大会後、彼の「値段」はおそらくハネ上がるだろう。

 強さとフィジカルのある原口は、随所で粘りのディフェンスをした。よくハードワークしていた。また長友も、強さと無尽蔵のスタミナですごいカバーリングをしていた。グッジョブだ。

 香川は前半の立ち上がりから持てる技術をフルに発揮し、メンタルの弱い自分に勝った。前線でのパスコースを消すプレッシングも完璧だった。だが惜しむらくは……前半で完全に試合から消えてしまった。

 また前半14分、香川はドリブルで敵ペナルティエリア手前まで進んでいながら、自分でシュートせず乾にパスしてしまった。あそこで積極的にシュートを打てないとダメだ。これは彼に限った話ではない。遠目からでも、日本の選手はもっと積極的にシュートを打たなければ点は取れない。

 一方、昌子はビルドアップ時の効果的なドリブルによる持ち上がりと、堅実な守備で貢献した。結局、次の試合でも自信をもって「使える」と断言できるのは、ディフェンスラインの4人と大迫、原口くらいだろう(次点は柴崎と乾、長谷部あたり)

問題山積、GK川島と本田の起用はリスキーだ

 では次にこの試合で出た課題を振り返ろう。とにかく難問山積だ。日本はリードし、しかも1人多いという絶対的に有利な状況なのだから、もっと「うまい試合の殺し方」をしてほしい。上のほうでも書いたがリスキーなプレーのオンパレードだった。ただし試合が残り15分になって以降の試合運びはよかった。安全に後ろでボールを動かし、うまく時間を使った。これは今後に生かしてほしい。

 次は選手個人の問題だ。テストマッチでディフェンスラインとの連係ミスにより失点の原因を何度も作っているGKの川島は、明らかに消極的になっている。過去のテストマッチでは自分が前に出すぎてミスが続いたため、この試合では逆に前に出るべきシーンで出ていなかった。

 またFKから左を抜かれた失点のシーンでは、川島がもっと左寄りの適正なポジショニングをしていれば防げたはずだ。あんな当たり損ねの弱いシュートを止められないのでは話にならない。迷いのある彼の継続起用はリスキーだ。次の試合では、若くビッグセーブのあるGK中村航輔をスタメンで使ってほしい。

 続いて2人目は本田である。彼の問題点は上の方に書いた通りだが……本田のCKから得点が入るのを見て、西野監督が「次は本田をスタメンで使おうか?」などと考えないか、非常に心配だ。上記の通り、危ないプレーだらけの本田の起用は危険だ。(もしどうしても彼を使うなら)是が非でも点がほしい局面で、トップ下でなくCFとして途中投入するワンポイントでしか使えない。

カウンターに弱い「日本式ティキ・タカ」は通用するか?

 最後に、最大の問題点へ行こう。(このブログではすでに何度も指摘しているが)日本人はグラウンダーのパスが弱すぎる。ボールスピードがない。中盤に人が多い現代サッカーでは、もっと強いパスを出さなければ密集地帯を通せない。日本のような弱いパスでは、簡単にカットされてカウンターを食らう。

 となれば、あの弱々しいショートパスをつなぐ日本式ティキ・タカが、「11人の」セネガルとポーランドに通用するか? は最大の難問だ。このスタイルはカウンターにめっぽう弱いからだ。

 日本人は長いパスを蹴る・止めるのが下手だ。だから狭いエリアに複数の選手が集まり、味方に近寄ってやってショートパスを交換する。しかもそのパスは「どうぞカットしてください」といわんばかりに弱い。

 とすればそのパスをカットされてカウンターを食らえば、さっきまでボールに集まっていた3〜4人の日本の選手はまとめて置き去りにされる。日本はもっと強いグラウンダーのパスを身につけなければ世界で戦えない。

 これらの教訓は、ぜひ次のセネガル戦に生かしてほしい。

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【西野ジャパン】コロンビア戦のスタメン予想と戦い方は?

2018-06-19 09:53:02 | サッカー日本代表
試合の流れに応じて可変せよ

 いよいよ今日は運命のロシアW杯、初戦のコロンビア戦だ。まずスタメンは、非公開練習から漏れてくる情報を総合すると以下のような布陣になる。基本はパラグアイ戦のスタメンをベースに、香川をトップ下に置く4-2-3-1である。

    ◯大迫(岡崎)

 ◯乾 ◯香川 ◯原口

   ◯長谷部◯柴崎

◯長友◯槙野◯吉田◯酒井(宏)

     ◯川島

 ボランチの大島はケガの回復が間に合わないらしい。また同様にケガが治らず離脱も囁かれた岡崎は、実は問題なく全体練習に参加したようだ。彼はスタメン起用もあるかもしれない。このへんは情報戦なのだろうか。

 さて、まず上記のスタメンについてひとこと。GK川島はディフェンスラインとの連携ミスを何度も繰り返し失点のピンチを招いており、おそらく修正がきかない。これはかなりリスキーだ。

 ならば、ここは思い切って若くビッグセーブのある中村航輔を選んでほしかった。日本人はとかくベテラン重視。保守的で若手の起用に過剰に慎重だ。だが中村を選べばノリに乗ってラッキーボーイになるのでは? くらいのポジティブシンキングをしてほしいものだ。

 また右SH起用の原口が吉と出るか凶と出るか? 彼は運動量があり、泥臭く守備もこなしハードワークできる選手で貴重な存在だ。ただし左サイドが本職の彼は右に回るとプレイがぎこちなく、威力が4割減くらいになる。だったら右SHは武藤嘉紀を使うテもあった。

 西野ジャパンの致命的なところは、ライン裏に走り込むスピードのある選手がいない点だ。武藤にはそれができる。またフィジカルが強いので競り合いにも負けない。とすれば左SHの乾がバテたら原口を左サイドに回し、右に武藤を途中投入する方法もある。もちろん大迫が疲れたらCFでの起用もアリだろう。とにかく総力戦だから、選手起用は柔軟に考えてほしい。

大迫と香川のフォアプレスで前からハメろ

 一方、このフォーメーションでの戦い方へ行こう。まず敵のビルドアップの局面だ。相手CBがボールを持ったら、香川が前に出て大迫と2トップの形になり、CBにプレスをかける。これは過激なハイプレスをかけるという意味ではなく、あくまでパスコースを限定するのが目的だ。いきなりボールを奪うためのプレスではない。こうして前の2人がパスコースを切れば後ろの選手は守りやすいのだ。

 で、彼ら2人が中へのパスコースを消し、相手ボールを狭いサイドへ誘導する。ボールがサイドに出たら、同サイドの日本のSBとSH、ボランチで挟み込んでハメる。もし首尾よくボールが奪えなくても、これだけで相手の攻めを遅らせる効果はある。

 逆に日本のビルドアップの場面では、ボランチの長谷部が一列下がってリベロに落ちて3バックを形成し、そのぶん両SBを高く張り出させる、という方法もある。これなら敵が2トップでプレスをかけてきても1枚余り、余裕を持ってビルドアップすることができる。

コロンビア戦は「引き分け含み」で戦え

 次はゲームプランとの兼ね合いだ。日本はなんとか1勝1敗1引き分けの勝ち点4、できれば1勝2分けの勝ち点5でグループリーグ突破を目指したい。とすれば最大の難敵コロンビアとは「引き分け含み」で戦い、あわよくば、という試合運びをしたい。それにはまず慎重に守備から入り、絶対に先に失点しないことだ。

 もしチャンスがきて日本が攻め、仮にボールを失えば相手はカウンターのチャンスになる。そのとき日本はくれぐれも攻守の切り替えを速くして素早く帰陣したい。

 そして0-0のまま、あるいは同点で残り時間が少なくなれば、上記の手順で3バック(5バック)に変え、守備を固めて試合を終わらせるという考え方もできる。つまり勝ち点1狙いだ。今日の試合は、勝ち点1なら勝利に等しい。

 逆に弱い日本から勝ち点3を取りたいコロンビアからすれば、0-0のまま、あるいは同点というのは負けと同じだ。とすれば必ず自分から守備のバランスを崩して攻めに来る。こうなれば日本はカウンター攻撃のチャンスだ。ボールを奪ったら、相手が陣形を整える前に速く攻めたい。これでリードできれば一丁あがりだ。

 万一、先に失点しても、あせって無理攻めしてはいけない。あくまで陣形のバランスを保ち、じっくりチャンスを待つ。で、好機がくれば、場合によっては柴崎が1列上がり攻撃的な布陣に変える。とにかく負けてしまっては何の意味もないので、リードされ残り時間が少なくなったら最後は前がかりで攻めたい。

 今日は最低でも勝ち点1。

 ぶちかましてほしい。

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【西野ジャパン】いちばん攻撃的なスタメンは?

2018-06-14 09:22:44 | サッカー日本代表
パラグアイ戦で一気に光が

 あのパラグアイ戦で一気に光が見えてきた西野ジャパンである。「光」の意味は2つある。1つは足元でばかりボールを欲しがり、走らず守備もしない本田&宇佐美抜きのメンバー構成にメドが立ったこと。もう1つは香川の台頭でかなり攻撃的なフォーメーションを組むことも可能になった点だ。

 もちろん「パラグアイは本気じゃなかった」とか「彼らはW杯レベルじゃない」みたいなケチのつけ方はできる。だが対戦相手はともかく、少なくとも「日本のシステムが非常に機能した」ことだけは客観的事実である。これは大きな自信になる。本大会を戦う上で、メンタル面での起爆剤になった。「よーし、やってやろう!」と意気が上がる。これが大きい。

 そしてもう1つ大きいのは、本田を中心とする、本田がコンセプトを考えた、ムダな横パスとバックパスを多用し速攻のチャンスをつぶす「劣化バルセロナ」な遅攻から脱却するメドが立ったことだ。パラグアイ戦の日本は十分、タテに速かった。で、勝った。これが結論である。

いちばん超攻撃的なシステムがこれだ

 さて、ではパラグアイ戦の勝利で見えた最も攻撃的なシステムとは、どんなふうか? それは以下である。香川をトップ下に、また攻撃的な若いボランチコンビを2人並べた4-2-3-1だ。

     ◯大迫

◯乾   ◯香川 ◯武藤(原口)

   ◯大島 ◯柴崎

◯長友◯槙野◯吉田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔

 どうです? これ。見ただけでワクワクしてきませんか? GKは川島が最終ラインとのコンビネーションでミスを繰り返しているので、中村航輔を選んだ。若い彼を起用すればノリにノリ、当たりまくって今大会のラッキーボーイになると予想している。

 ちなみにこのフォーメーションは、どうしても勝ち点3がほしいゲームで使える。右WGは武藤なら攻撃的、原口を使えば攻撃的にも守備的にもやれる。なおCB槙野のところにパラグアイ戦で健闘した昌子を入れるテもある。

最も固い守備的なシステムは?

 では一方、いちばん守備的なフォーメーションはどれか? それは以下のような感じだろう。長谷部アンカー、山口&柴崎のインサイドハーフで3センターを組み、バイタルエリアを埋める4-1-4-1だ。

     ◯岡崎

◯乾 ◯山口 ◯柴崎 ◯原口

     ◯長谷部

◯長友◯槙野◯吉田◯酒井(宏)

     ◯川島

 柴崎のかわりに大島もアリだが、柴崎はスペインでゾーンディフェンスを完全にマスターしている点(これが大きい)、またフィジカルが大島より強いだろう点で柴崎を選んだ。GKは経験を重視して川島で。

 敵のビルドアップの場面では、パラグアイ戦みたいに岡崎と柴崎が2トップの形で前に出て、ボールをキープする相手CBにプレスをかけてパスコースを制限する。これで相手ボールを狭いサイドに誘導してハメる。万一、縦パスが出たら山口、長谷部がカットする。

4-1-4-1は中盤の横幅を5人で守れる

  このフォーメーションは、中盤の横幅を5人で守れるのがキモだ。日本の選手は人に食い付いてサイドに引っ張られ、いちばん重要なバイタルエリアを空けてしまう傾向がある。で、中央を3センターで固め、真ん中が空かないようにする。相手ボールになって押し込まれたら、自陣に4-5の堅固なブロックを作って守備対応する。

 またこのフォーメーションは、両サイドハーフのポジショニングがキモだ。乾と原口が自陣に引いてくれば守備的に戦えるし、逆にチャンスの場面で彼らが高い位置に張り出せば攻撃的にもふるまえる。別に3バック(5バック)なんて使わなくても、このフォメなら攻守両面でかなり柔軟に戦える。また、もっと攻撃的にしたければ、山口のところに大島を使えばいい。

 まとめると、このフォメはどうしても負けられないゲームで使える。例えば引き分け含みで戦う必要がある初戦のコロンビア戦や、グループリーグが進み「ここで勝ち点1を取れば決勝トーナメント進出が決まる」というような試合で有効だ。

 こんなふうにフォーメーションとメンバーは、グループリーグがどんな経過で進むか? また、その試合の時点で日本は何勝何敗何引き分けか? によって千変万化する。なので、まだグループリーグが始まってもいないのに「ポーランド戦はこのフォメとメンバーで戦え!」なんて予想するのは実はナンセンスなのだ。

 でもおもしろいから、近いうちにその企画もやります(笑)

 どうぞお楽しみに。

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【西野ジャパン】これで本番スタメンは混沌か? 〜日本4-2パラグアイ

2018-06-13 06:41:38 | サッカー日本代表
レギュラー組との差なんてない

 サッカーにとって「ゴールとはいかに大切か」を思い知らされたゲームだった。得点はこれほど人を幸せにするものなのだ。

 パラグアイはいかにも「練習試合」てな緩い感じで厳しいプレスもなくインテンシティが低かったので参考外ではあるが……乾が2点、香川1点、柴崎のCKからのオウンゴール1点(半分は柴崎の得点みたいなもの)。理屈抜きに快哉を叫んだ試合だった。ただし、またセットプレイから2失点したのは大きな課題だが。

 フォーメーションは4-2-3-1。GKは東口。最終ラインは右から遠藤航、植田、昌子、酒井(高)。ボランチは柴崎と山口蛍。右WGが武藤、トップ下は香川、左WGは乾。ワントップは岡崎だ。

 試合は日本が最終ラインから丁寧にビルドアップし、ポゼッションして押し込んだ。ただしパラグアイは意図的に引き気味のカウンター狙いでやっていたので、いちがいに優劣は言えない。パラグアイがもっとガムシャラに来てくれれば日本との力関係がハッキリ判別できたが、まあ彼らのゲームプランなのでしかたない。

柴崎はセンスの違いを感じさせた

 さてスイス戦のスタメン組との最大のちがいは、全体にダイアゴナルな縦パスを積極的にぐいぐいつけてゴールに迫って行くところだ。本田が大好きな意味のないバックパスなどほとんどない。「前へ」のアグレッシブな息吹がひしひしと感じられた。明らかに今日のメンバーのほうがモチベーションが高い。一体感もあった。

 なかでもいちばん違いを感じさせたのは柴崎だ。試合開始たった5分で、縦パスのセンスが傑出していることが早くもわかる。他の選手とはボールスピードがまるで違うのだ。ズドン、と来る。

 とてもムリだと思える狭いところをよく通すし、突然とんでもない場所にサイドチェンジする。「えっ? あそこが見えてるんだ?」と視野の広さに驚かされる。この選手をスタメン出場させないなんて日本の損失だろう。

香川は本田を凌駕したか?

 ファーストディフェンダーとしての、岡崎と香川の守備のうまさにも感心した。パラグアイのビルドアップの局面になれば彼らが2トップの形になり、前へ出てボールを保持する相手CBに対しパスコースを切る。これで後ろは守りやすくなる。香川と本田の守備のレベルは天と地ほどの落差がある。

 乾の1点目を演出した香川のポストからの落としはすばらしかったし、乾の2点目を呼んだ香川のフリックも巧妙だった。本田より香川のほうがはるかに動きが軽快だし、これでトップ下の力関係も変わったのではないか? ただ西野監督は(日本サッカー協会上層部の命を受けて?)本田ありきでチームを作っているようなので、序列はきっと変わらないのだろう。やれやれ。

 そういう「悪の安倍政権」的なダークなところが、国民のワールドカップ熱がクールダウンしまくっている原因なのだが。

日本代表は本番で「気持ち」を見せてほしい

 一方、途中出場したGKの中村航輔も実にキビキビしたゴールキーピングで気持ちよかった。若い彼あたりをW杯本番で起用してやれば、意気に感じてバカ当たりしてラッキーボーイになりそうな予感がするのだが。西野さん、どうですか?

 あとはCBコンビも危なげなかったし、武藤のフィジカルも目を引いた。レギュラー組との差なんて、ないんじゃないだろうか? ただ遠藤航が(守備はいいが)攻撃に転じるとやや不自由そうにプレイしていたのと、乾と岡崎はやはりまだコンディションが厳しいか? とは感じさせた(ただし乾のシュートのうまさは相変わらずだが)。

 いずれにしろ、これで日本は勝ってワールドカップを迎えられる。たとえ海外列強と技術の差はあっても、ひたむきな走りの量と質、汗をかく泥臭いハードワークでなら「気持ち」を見せられるはずだ。日本代表の選手には、ぜひそんな見る者のハートをぶち抜く(下手でも)熱いプレイを期待したい。

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【西野ジャパン】パラグアイ戦に勝つ5つのコツ

2018-06-12 06:36:33 | サッカー日本代表
ピッチを広く使ってワイドな展開を

 まずパラグアイ戦の予想スタメンはこの記事に書いた通りだ。以下に再掲しよう。香川をトップ下に置く4-2-3-1である。このフォーメーションのポイントは、香川がスイス戦で壊滅的だった本田のポジションを奪う活躍ができるかどうかだ。

     ◯武藤(岡崎)

 ◯乾 ◯香川 ◯岡崎(武藤)

   ◯山口蛍 ◯柴崎

◯長友◯昌子◯植田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔

 ただし上記はあくまで「予想」であり、「私が監督ならこの選手を選ぶ」という意味ではない。もし私が監督なら、すでに選手の見極めは終えている。本田や香川、宇佐美は選ばず、この記事で書いたように長谷部アンカー、柴崎&大島がインサイドハーフを務める4-1-4-1(下図)を選択する。で、パラグアイ戦ではこの固定メンバーにより熟成を高める。

      ◯大迫

◯原口 ◯大島 ◯柴崎 ◯武藤
 (乾)
      ◯長谷部

◯長友 ◯槙野 ◯吉田 ◯酒井(宏)

      ◯中村航輔

 さて今夜は最後のテストマッチ、パラグアイ戦である。いったい日本はどう戦えばいいのか? まず西野ジャパンの問題点は、すでにガーナ戦とスイス戦でほぼ出尽くしたと思われる。それらは以下の通りだ。この欠点を修正したい。

【西野ジャパンはここがダメだ】

1. ムダな横パスとバックパスが多い遅攻偏重。

2. 弱いグラウンダーのショートパスを多用する「劣化バルセロナ」化。

3. フィニッシュへ行かず、ボールを繋ぐこと自体が目的化している。

4. ジーコジャパンや悪い時のザックジャパンそっくりのスタイル。

5. 総評すれば、ガラパゴス化した日本式の「小さいサッカー」だ。

6. おそらく本田が現場監督になり、このサッカーを実質指揮している

7. 走らず、守備もしない本田と宇佐美は切るべきである。

 例えば上記1を修正するには、もっと縦パスを増やすことだ。2を直すには、ミドル〜ロングパスを織り交ぜ攻めのリズムを変える。3については遠目からでも積極的にシュートを打ちたい。5の修正策についてはリンク先を見てほしい。


パラグアイ戦はこう戦え

 では次はパラグアイ戦の具体的な戦い方へ行こう。まずはビルドアップからだ。スイス戦の日本は、頑なにグラウンダーのショートパスを使って最終ラインからビルドアップしようとした。で、縦のパスコースを切ったスイスの選手にこれを引っ掛けられ、カウンターを食らった。まずここを変えたい。

 ハリルジャパンで実証されたように、日本の最終ラインの選手はすでに正確なロングパスを前線につける技術がある。ならば使わないテはない。ボールを保持したCBの選手が、左右にワイドに開いた両ウィング(乾、武藤)の足元やウラに放射状のロングパスを入れたい。ピッチを広く使ったワイドな展開だ。

 念のためにいっておくが、これはアバウトな「放り込み」ではない。正確に前線の選手の足元やウラを狙う精度の高いロングパスだ。

 これによりパラグアイの前からのプレスを回避し(彼らの頭上を越すパスで)、まずミドルサードからアタッキングサードにかけたゾーンでボールをキープできるようにする。つまりミドル〜ロングパスを使い、まずサイドの高い位置でボールを保持し基点を作るわけだ。これでスイス戦のように、ビルドアップ時に低いゾーンでボールを奪われショートカウンターを食らうリスクはなくなる。

サイドを使ったフィニッシュを

 あとはサイドを使った攻撃だ。正確なクロスを入れてフィニッシュに行きたい。「本田ジャパン」のフィニッシュはグラウンダーのボールによる真ん中偏重。これを変えたい。

 よく「クロスを入れろ」と言うと、「いや日本人は身長が低いからクロスはムダだ」と否定する人がいる。だがクロスへの対応は必ずしも身長で決まるのではない。むしろポジショニングとタイミングが重要なのだ。

 なかでも特に有効なのは、敵の守備組織がまだ整ってないうちにアーリークロスを入れる攻めである。アーリークロスを入れれば、中で何が起こるかわからない。なぜならサッカーは手が使えないスポーツゆえ、入れたクロスボールを敵は手でつかめないからだ。

 つまりクロスからの一発でシュートを決められなくても、必ずゴール前でセカンドボール(こぼれ球)が発生する。これに俊敏に反応し、詰めてしまう。武藤や岡崎が得意なプレーである。

 こんなふうに敵の守備隊形が整わない速いタイミングでフィニッシュに行くのがキモだ。「本田ジャパン」のように、中盤でムダな横パスとバックパスを繰り返しボールをこね回すのでは、敵に「どうぞこの間に守備の組織を固めてください」というのと同じだ。まったくのナンセンスである。

敵のビルドアップを狙う

 次は守備へ行こう。例えば日本が攻撃し、アタッキングサードでボールを失ったとする。つまり攻から守への切り替えの局面だ。このとき日本はその場でプレスをかけるのでなく、縦のパスコースを切りながら敵の攻めを遅らせ、まずミドルサードまでリトリートしたい。そのほうがリスクが少ない。で、このゾーンにブロックを作り、あらためて組織的なプレッシングを行う。

 この場面では、パラグアイの最終ラインがボールをキープしているとする。ならば、まずパラグアイのビルドアップに対し、日本のワントップがボールを保持する敵のCBにプレスをかけてコースを限定する。つまりボールを奪うためのプレッシングではなく、相手最終ラインからの1本目のパスを制限するためのプレスだ。

 次いでトップ下の香川は敵CBからボランチへの縦パスを牽制し(彼はこのプレーが得意だ)、日本のワントップが中へのパスコースを切る。これで相手ボールをサイドへ誘導する。

 ボールをサイドへ追い込んだら、あとは同サイドの日本のSBが縦へのパスコースを切る。また同サイドの日本のWGとボランチが横のパスコースを切る。これで囲い込みが完成し、うまくハメることができる。

ボールサイドにスライドしろ

 一方、守備で気をつけたいのは、スイス戦でPKのきっかけになったようなミスだ。このとき日本の右サイドの酒井高徳が体を入れ替えられて抜かれ、そのあと吉田が対応しPKを食らった。つまり高徳が抜かれたら、もうカバーがいないのだ。

 そうではなく、酒井高徳がボールに正対している時点で、日本の選手はボールサイド(右サイド)へ順にスライドし、ボールサイドの守備を厚くしたい。これにより高徳が抜かれたときのカバーリングができる。要はゾーンディフェンスのキモであるディアゴナーレとスカラトゥーラが必要だ、というお決まりの問題になる。

 ただしA代表の選手選考でだれを選んでも即、これが自然にできる環境を整えるためには、育成年代から手をつけて50年かかる。現状、乾や柴崎などすでにマスターしている選手がチームメイトに伝え、急ごしらえでもやるしかない。

 最後に強調しておきたいのは、日本には汗臭いハードワークが絶対に必要だということだ。下手くそなら下手くそなりに相手より多く走り、泥のように粘り強く守り、カラダを投げ出してでもボールをゴールにねじ込む。どんなに苦しくても、「最後の1歩」を出す。

 そんな泥臭いサッカーで勝利をもぎ取ってほしい。

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【西野ジャパン】パラグアイ戦の予想スタメンはこれだ

2018-06-11 07:33:04 | サッカー日本代表
乾、武藤、香川、岡崎に注目

 西野監督は「パラグアイ戦では控え組をスタメンに使う」と明言している。とすれば、パラグアイ戦の予想スタメンは以下のような感じだろうか。香川をトップ下に据えた4-2-3-1だ。


     ◯武藤(岡崎)

◯乾 ◯香川 ◯岡崎(武藤)

  ◯山口蛍 ◯柴崎

◯長友◯昌子◯植田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔


西野監督は選手を見る目がない

 はっきり言って、スイス戦で先発したレギュラー組より強いと思うが(笑)、まあそれだけ西野監督には見る目がないってことだ。西野監督は左サイドが本職の原口は、右サイドで使うと「別人」になり力を発揮できないことをわかってない。だから当ブログでは、レギュラー組の右WGにはしきりに武藤を推しているのだが……それはともかく。

 さてパラグアイ戦スタメンのポイントは、コンディションが心配された乾と岡崎、香川、酒井(宏)がどれくらいできるか? だろう。彼らがベストコンディションでチームに戻って来れば百人力だ。

 個人的にはメンタルの弱い香川は買ってない。だが、あの攻めを遅らす横パスとバックパスを繰り返し、動きが鈍重で走らないし守備も中途半端な本田などより、香川のほうがはるかにマシだ。香川にはぜひ本田を追いやり、レギュラーを取ってほしい。

岡崎と武藤は右サイドもできる

 一方、西野監督は岡崎と武藤が右サイドもできることをわかってないんじゃないか? 右サイドで持ち味を殺された原口より、岡崎か武藤の右サイドのほうがよほど破壊力がある。

 また岡崎はもしワントップに入ればファーストディフェンダーとして、中間ポジションを取って敵MFへのパスコースを消しながらボールを保持するCBにプレスをかけるのがうまい。

 例えば彼が中へのパスコースを切りながらプレッシングし、相手ボールを左サイドに誘導する。で、左サイドでは同サイドの長友が縦のパスコースを切り、山口蛍が横を切る。そして乾が後ろから囲んでプレスをかければうまくハメられる。岡崎を使えば、こうした前からの組織的な守備が実現できるのだ。

 またCBの昌子がどこまで復調しているかも見ものだ。ライバルの槙野はガーナ戦で意味のないファウル癖をまたぞろ出し、不安定さを露呈した。ゆえに昌子がベストコンディションで使えるとなれば選択肢が大きく広がる。植田に関しても同じだ。

 最後にGKだが、個人的にはメンタルの弱い東口より、若くビッグセーブがある中村航輔に期待したい。レギュラーの川島はデイフェンスラインとの連携ミスを繰り返し失点の原因を作っているだけに、パラグアイ戦で中村がファインセーブを連発すればレギュラー取りは十二分にある。がんばってほしい。

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【スイス戦】本田、宇佐美と心中する西野ジャパン 〜日本0-2スイス

2018-06-09 13:26:30 | サッカー日本代表
あれだけ攻めを遅らせては勝てない

 敵は守備隊形が崩れている。速いカウンターのチャンスだ。なのに日本はムダな横パスとバックパスを繰り返し、攻めを遅らせてしまう。かくて、その間に敵は守備組織を整えてしまい、日本の攻撃ははじき返されてしまうーー。ガーナ戦もまったく同じ展開だったが、この試合でもそんなシーンのオンパレードだった。

 典型的なシーンは前半31分にあった。ハイボールの競り合いのこぼれ球を大迫が拾う。スイスはまだ守備の態勢が整っていない。この時点では4対3で日本が数的優位だった。ここで速いカウンターをかければ一発で決まる。

 だがなんと日本はここから2~3メートルの弱い横パスを4本、バックパスを3本もムダに繰り返し、タテに速く攻めようとしない。ボールをつなぐことに夢中で、攻めが前に進まないのだ。

 結果、その間にスイスはどんどん選手が自陣に戻り、最後にはスイスは11人全員が自陣に引いた。繰り返すが、日本ボールにした時点では4対3だったのだ。日本はムダにボールをこね回し、スイスが守備の態勢を整えるのをわざわざ待ってやってから攻めている。

 で、そのうちにリトリートしてきたスイスの選手にがっちり守備ブロックを作られ、日本はそのブロックの外側で安全に横パスを回しているだけになる。こうなる前に、速く攻めたいのだ。どうタテに速く攻めるか? そのアイデアがない。単に「ボールを大事にして」横につないでいるだけだ。これでは勝てない。

 ポゼッション率だけが意味もなく高い、ゴールを目指さないサッカーだ。そう、この記事でも解説した、ガラパゴス化した日本式パスサッカーなのである。

 どうやら日本のサッカーは、ハリルが来日する前の姿にすっかり戻ってしまったようだ。現にハリルはこのありさまを見て、「もっとタテに速く」「速いカウンターをかけろ」と修正策を出したのだからーー。

 なぜ時計の針は戻ったのか? ハリルジャパン時代は縦に速かった日本代表は、なぜ弱い横パスとバックパスをムダに繰り返すようになったのか? 元凶はだいたい想像がつく。本田がチームメイトに「距離感」が大事だと触れ回り、遅攻をやろうと洗脳したのだろう。

 オシムは「腐ったリンゴを取り出さなければ、周囲のリンゴも腐ってしまう」と言った。かくて日本代表はオシムが予言した通りになったわけだ。

 腐ったリンゴだらけのこのチームに未来はない。まずやるべきことは、足元にばかりボールを欲しがり、走らず守備もしない本田と宇佐美を切ること。そして以下の修正策を講じることだ。

【日本を救う6つの対策】

1. ムダな横パスとバックパスをなくす。

2. カウンターのチャンスには、相手の守備隊形が整わないうちに速く攻め切る。

3. グラウンダーの弱いショートパスを減らす。

4. 放射状のミドル〜ロングパスで、ピッチを広く使ったワイドな展開をする。

5. フィールドを斜めに横切るダイアゴナルな長いサイドチェンジをする。

6. 柴崎と大島をインサイドハーフ、武藤を右WGで3人同時にスタメンで使う。フォーメーションは長谷部アンカーの4-1-4-1。

 なお4バックの守備は、ガーナ戦の3バックよりはるかにマシだった。もはや時間がない。3バックはきっぱり捨て、トレーニングの時間を4バックによる連携の熟成に集中させるべきだ。それしかない。

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【西野ジャパン】まず守備の「原則」を決めろ

2018-06-08 09:15:34 | サッカー戦術論
どこからプレスをかけるのか?

 報道によれば、ロシアW杯をめざし合宿中の選手たちから、口々に「どこからプレスをかけるのか?」という言葉が発されているようだ。ジーコジャパンの時代からエンエンと繰り返される、日本にとっての永遠の課題である。

 だがこのお題は実は永遠でもなんでもない。守備の原則を知っていればカンタンに解決できる。まずザックリ2つのケースに大別して考えてみよう。

 ひとつは、自分たちがボールを失った瞬間にその場でかけるプレッシングだ。そしてもうひとつは、局面が落ち着いて敵が最終ラインからビルドアップしようとするときにかけるプレッシングである。

 前者の場合、ボールを失った場所はそのときによって違うのだから、当然、どこからプレスをかけるのか? もケースバイケースになる。

 例えばアタッキングサード(前線)でボールを失った場合、守備対応はこれまた2つに分類できる。ひとつはゾーンの高さを変えず、高い最終ラインを保ったままその場で前線からゲーゲンプレッシングするケースだ。いわば「攻撃的な守備」である。ただしラインが高く背後に広大なスペースを抱えているぶん、リスクはある。

 一方、もうひとつの対応は、ボールを失ったアタッキングサードでプレスをかけ始めるのでなく、縦へのパスコースを切りながら自分たちの守備ゾーンへとリトリート(後退)し、まず守備の隊形を整えるやり方だ。こうして守備組織を整えてから、組織的なプレッシングを開始する。

 この場合、ミドルサード(ピッチの真ん中)へ後退し守備ブロックを作るケースと、ディフェンディングサード(自陣ゴール前)までリトリートする2パターンがある。

敵のビルドアップへのプレスは?

 では局面が落ち着き、相手チームが最終ラインからビルドアップしようとしているときにかけるプレッシングの位置はどうか? ご推察のとおり、これはボールを失い守備に回った自分たちのチームが「どこまでリトリートしたか?」によって決まる。

 例えばミドルサードへ後退した場合、ボールを保持した敵CBに対し、自軍のFWがミドルサードの敵陣側からプレッシングを開始するのがふつうだ。このときFWとMF、DFが協力し組織的にプレスをかけ、自分たちがボールを奪いたいゾーンへ相手ボールを誘導してハメる。

 以上、ボールを失ったその場でプレスをかけ始めるのか? それともリトリートするのか? リトリートするならどのゾーンまでか? これらのプレー原則は監督が決めることだ。「うちのチームはこれで行く」。それがそのチームの守備のコンセプトになる。

 もちろんケースバイケースで選手が状況に合わせて臨機応変に対応すべき局面もあるが、基本的には以上の守備の原則は西野監督がきっちり決めておくべきだ。そこのオーガナイズがなければサッカーにならない。

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