すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【森保ジャパン】プレー原則がない烏合の衆

2019-02-05 09:17:30 | サッカー戦術論
監督が機能していない?

 チーム立ち上げ時のご祝儀相場の意味もあり、当初、森保監督の「選手まかせ」をある種好意的に見ていたところがある。

 最初の1年は選手に好きにやらせて化学反応を見る。1年間はラボとするーー。

 そういうことなら話はわかる。だが、その場合でも「うちのチームはこうする」という基本原則は必要だ。最低限の原則は示し、「あとは自由にやれ。ラボだ」。これならうなずける。だが森保ジャパンはどうもそうじゃない。監督が示しておくべきごく基本的な原則があいまいなままプレーしている感じがするのだ。

 森保ジャパンについてはこの記事でも似たようなことを書いたが、当該記事の時点では前者(ラボ)であることを前提で書いた。だがもし後者なら問題だ。

 例えば敵のビルドアップを制限するセオリーや、ダブルボランチのバランスを見る(バイタルを空けない)ポジショニングの約束事などは基本的なことだ。だがこういうトレーニング時に監督が選手にプレー原則さえ示しておけばスムーズにできるはずのことが、試合というド本番でできない、という現象が森保ジャパンでは頻発している。

 直近では、アジア杯の決勝戦でカタールは5-3-2でくる、などというのは巷間予想されていた。敵が3バックでビルドアップしてくるなら、それをどう制限するのか? そんなことはマニュアル化されている。

 またカタールがボールを保持すれば3-1-4-2(3-5-1-1)になり、日本の守備時4-4-2と中盤の噛み合わせが悪いーー。そんなことは事前に予想し対策しておくべきことだ。

 これがカタール戦の敗因だったか、そうじゃないか? そんな些末なことはどうでもいい話だ。問題は、監督がプレー原則をチームに示していないことである。

 じゃあサッカーの監督って何する人なんですか? という話だ。

 繰り返しになるが、まだチーム立ち上げから間もないから、選手には自由にやらせて化学変化を見たいーー。それなら話はわかる。ただしその場合も、「この局面では、ウチのチームはこうプレーせよ」という最低限の原則は必要だ。でないとサッカーにならない。監督はそれを提示すべきである。

 逆に自由にやらせてラボ化する、という意図などなく、ただ漫然と「なんとなく」やってるだけなら監督などいらない。これも繰り返しになるが、「サッカーの監督って何する人なんですか?」という話である。
コメント (2)
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【森保ジャパン】株の素人みたいな選手の起用法だ

2019-02-03 10:27:20 | サッカー日本代表
損切りできずズルズル売れない

 森保監督の選手起用は独特だ。非常に保守的で、まるで株の素人みたいな選手の使い方をする。こうと決めたら動かない。

 例えば堂安や南野は典型だが、その選手の株が最高値をつけたとき(キリン杯)の快感が忘れられず、現実にはすでに株が下がっているのに(アジア杯)、損切りできずにその株を持ったまま手離さない。

 必然的に時間だけが立って行き、株が紙切れ寸前になった時点(後半40分台)で、売りに出す。

 ああ、損しちゃったーー。

 てなぐあいだ。

 早めに敗勢を大逆転するプロの相場師みたいな選手起用ができない。

 まあ森保ジャパンはスタメンが売り切れたらそれで終わり、プランBがない、ともいえるのだが。

 しかも森保監督は身内の株にめっきり弱い。青山、佐々木、塩谷、浅野……。日本人監督はどうしてこうも「身内びいき」になるのだろうか?(ナアナアとか馴れ合いとも言うが)  

 もちろんいっしょにやった選手はよさがよくわかっている、というのはあるだろう。だが日本代表の選手はせっかく広く日本人全体から選べるのに、これだけ特定の属性に偏るのはどうなんだろうか?

 謎の森保采配である。

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【アジア杯決勝】敵のビルドアップを制限できず ~日本1-3カタール

2019-02-02 11:51:04 | サッカー日本代表
元栓を締めず水がジャブジャブ

 日本はトルクメニスタン戦の再来か? と思わせるような散々なデキだった。カタールの3バックによるビルドアップに対し、日本はそれを規制するための前線での第1プレッシャーラインがまったく機能していなかった。

 敵の3枚のビルドアップに対し「盾」が数的不利なら、中を切って狭いサイドにボールを誘導しハメに行くような対策が必要だった。日本はそれがまるでできず、カタールはバックラインでボールを回すまでもなく簡単に縦パスを入れていた。やりたい放題だ。

 水道の蛇口の元栓を締めることができず、水がジャブジャブ流れ出す状態では堤防は決壊する。日本は前から敵を規制する組織的な守備がまったくできていなかった。

 ヨーロッパの最前線では、「敵のビルドアップをいかに止めるか?」が1大テーマになっている。FWによるプレッシングはマニュアル化されている。トレーニングの段階から、森保監督がそのプレー原則をハッキリ示していればできるはずだ。

 最初の1年は「選手に自由にやらせて様子を見よう」という方針なのかもしれないが、最低限の原則さえないのは大問題だ。

ニアゾーンをめぐる攻防がない

 カタールは3バックでアンカーを1枚置き、前線の11番が自由に動いて中盤に下りてくる。日本はこの動きを捕まえられなかった。

 一方、彼らは守備になればウイングバックが引いて5-3-2になる。トランジションが速く、ボールを奪うと鋭いカウンターを繰り出す。日本は彼らのカウンターを食らうと簡単に数的同数を許した。あらかじめ偽SBをCBの前に配置しておくような、予防的なカバーリングができていないからだ。

 また日本はコンビネーションでサイドを使って敵のウイングバックを釣り出し、空いたニアゾーンを突くような攻めをしなかった。ひたすら分厚い敵の中央に突撃しては、弾き返される。その繰り返しだった。このチームの真ん中フェチは深刻だ。

 あまり機能してなかった堂安は、もっと早いタイミングで伊東と代えてもよかった。まっすぐ縦に攻める香車の伊東がいれば、敵のウイングバックが釣られてニアゾーンが空いたかもしれない。選手交代の遅さも致命的だった。

監督の無策が招いた敗戦だ

 とはいえ日本にはツキもなかった。1失点目はオーバーヘッドを食らった交通事故。3失点目のハンドによるPKも運がなかった。

 防げるとすれば2失点目だったが……あのシーンでは裏抜けしようとした19番に吉田が食いつきかけ、正対していたボールホルダーにシュートを打つに十分なスペースをやってしまった。敵ボールホルダーの周囲には近距離に5人の日本選手がいたが、誰も寄せようとしない。完全なボールウォッチャーだった。

 スタメンを完全固定してきた疲れからか、この試合、日本の選手はボールウォッチャーになるシーンが散見された。ターンオーバーで選手の疲労を取るような対策をしてないのだ。スタメン固定のツケが出た。あれでは敗戦もやむなしだろう。

 後半になると2点のリードをもらったカタールはゾーンを下げ、日本にボールを持たせて試合を殺しにかかった。後半、日本は押し込んでポゼッション率が上がったように見えたが、敵の手のひらの上で踊っているだけ。完全にカタールのゲームだった。

 今大会、日本は試合ごとの出来不出来の差が激しかったが、決勝にきてその「暗黒面」が出た。大会を通じて不出来な試合をひっくり返すような監督の修正もなく、ただスタメンを機械的に固定してレミングのように海に飛び込んで行った。南無阿弥陀仏だ。

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