すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

近所の「狂暴犬」と仲良くなる

2024-03-31 13:17:38 | エッセイ
一度は噛まれたが粘りが奏功した

 近所の散歩コースに非常に狂暴な大型犬がいた。その家は大きくて、家の前にでかい犬小屋があったのだ。

 彼は人が近くを通るたびに吠え狂い、小屋の中で暴れていた。

 で、ここからが物好きなのだが……よりによって私はヤツとなんとか仲良くなれないか? と考えたのだ。

 なわけで散歩のたびにその犬小屋へ寄るのだが、ことごとく吠えられて退散していた。

 で、このままでは埒が明かないと考え、私はあるとき大胆な行動に出た。

 檻に張られた柵の間から鼻先を突っ込み、こっちには敵意がないことを示したのだ。

 ところが彼には当然そんなことは通じず、たちまち私はガブリとやられた。

 すごく痛かった……。

威嚇の一撃を機会に仲良くなる

 いや彼は単なる威嚇のつもりだったのだろう。

 攻撃が直撃してしまった私がしきりに痛がるのを見て、彼はそれまでとはまるで豹変した。

「しまった」

「やっちまったぞ」

「悪かった」

 そんな意を示してきたのだ。で、急に彼は大人しくなった。

「ここが攻め時だ」

 そう見た私はヤツの首周りをしきりに撫で(これは私の必殺ワザだ)、お近づきになろうとした。

 すると彼はそれを大人しく受け入れ、恭順の意を示した。

 これで一連の儀式は終わった。

 以後、私は散歩のたび彼の檻に寄り、「はぁはぁ」いうでかいヤツを撫でまわした。彼はもうなされるがままだ。

夏の暑さで彼は苦しそうだった

 そして季節は夏になった。

 折からの猛暑が容赦なく檻を襲い、ヤツは暑そうにまた「はぁはぁ」していた。

 とても苦しそうだ。

 大丈夫なのか? このままで?

 家にいるはずの飼い主さんに一声かけ、このままでいいんですか? 暑そうですよ? と言おうか考えた。

 だがそんな出過ぎたマネをするのもなんだか気が引けてしまい、そのままズルズルと時が過ぎて行った。

 そして別れは突然、やってきた。

彼は突然いなくなった

 ある日、いつものように彼の檻を訪れると……彼がいない。だが辺りには明らかに彼の体臭がもうもうと立ち込め、こんもりと糞もある。

 散歩に連れて行ってもらってないから糞が溜まっているのだ。

 いなくなったのは最近みたいだ。

 何が起こったんだろう?

 おそらく私のイヤな想像が当たっているのだ。

 この暑さにやられて、もう彼はこの世にいない。

 あまりのことに、しばらく呆然と檻の前に立ち尽くした。

 彼の身近にいて状況がよく分かっている自分は、なぜもっと事態を回避する適切な行動が取れなかったのか?

 こればかりは後悔しても、し切れない。

無責任な飼い主は散歩にも連れて行かない

 それにしても飼い主さんも明らかに無責任な人物なのだ。

 あんなでかい犬がいるっていうのに、散歩に連れて行った形跡がまるでない。

 いつも糞がたまっている。

 まるで飼い殺しのような状態なのだ。

 それからしばらく散歩のたびに檻の前を通り、ひょっこり帰って来てないか? と覗いてみた。だがそんなことはあり得ない。

 ああ、自分はなんてことをしてしまったのか?

 ただ後悔だけが胸を突いた。

あるときそこにちょこんと「豆柴」がいた

 だがそうこうするうち、ある日いつものように檻の前を通ると、あの檻の中に小さな豆柴がちょこんといたーー。

 なんと代わりの犬を飼い始めたのだ。

 私が近寄ると、人懐ッこいそいつは喜んで左回りに激しくぐるぐる何度も回る。

 そんな奇妙な動作を繰り返した。

 私はうれしさ半分だが、それにしても散歩にすら連れて行かないクセにこの飼い主はまた新しい犬を飼うなんて……。

 非常に複雑な気分になってしまった。

 さて、新入りのそんな豆柴とのことは、また機会があれば書くとしよう。

 では今日はこんなところで。

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