すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【森保ジャパン】声をかけたい選手たち

2020-11-30 10:05:04 | サッカー日本代表
彼らの力はまだまだこんなもんじゃない

【鎌田大地】

 まだまだ伸びる。相手ボールになるといったん中盤に下り、守備をしてから攻撃に出て行くスタイルを確立しつつある。それが完成されれば非常におもしろい選手になる。あとはインテンシティも高めてほしい。ゴールもほしい。

【久保建英】

 持てる力の半分も出してない。(1)スタメンで出て力を発揮するタイプではないか?(2)右サイドでないと生きないのではないか?--という2点で森保監督の起用法には疑問がある。典型的な「オン・ザ・ボールの選手」で、ボールのないところでは力が半減する。ワンプレイ終わると足を止める、ボールを失うと足を止める、などの点が課題だ。

【橋本拳人】

 彼の力はこんなもんじゃない。まだまだやれる。所属チームでは一列前で攻撃の仕事をしているというから代表チームでは戸惑いがあるかもしれないが、がんばってこなしてほしい。彼をセントラルMF候補の一角にできるかどうかはメンバー構成上、死命を制する。

【鈴木武蔵】

「大迫の代わりにポストをこなせ」的なオーダーがあるかもしれないが、(そのほうが選手としての幅も広がるが)個人的には、過度に気にせず自分の得意な裏抜けの感覚を磨いてほしい。2列目の選手にもっと裏のスペースをつくパスセンスがあれば彼は輝くはず。

【浅野拓磨】

 爆発的なスピードが魅力なのは言うまでもないが、近年では粗削りだった技術全般に進歩した。武蔵と同じく裏抜けタイプ。森保監督はもっと彼を起用し慣らしてほしい。そうすれば試合経過によっては彼の起用が有効になる局面は必ずあるはず。シュートの精度を磨いてがんばってほしい。

【安西幸輝】

 攻撃力が魅力だ。まだまだできる選手だと思う。カメルーン戦ではポジショニングとフォーメーションの問題で途中交代になったが、腐らず精進してほしい。長友の後釜候補は貴重だ。

【シュミット・ダニエル】

 足元の技術に優れる彼を、ビルドアップの第一歩にした攻撃を確立できるかどうかが森保ジャパンのキモだ。現代サッカーの起点はGKである。ゆえに権田を重用している森保監督の起用法には疑問があるが、腐らずがんばってほしい。

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【森保ジャパン】選手の自主性でできること、できないこと

2020-11-28 06:01:18 | サッカー戦術論
意思統一が必要な集団プレイ

 森保ジャパンでずっと気になっていることがある。

 それは相手チームの最終ラインがボールを保持してビルドアップしようとしている際のハイプレス(のハメ方)がひとつ。

 そしてもうひとつは、味方が高い位置でボールを失ったときにボールを即時奪回しようとするカウンタープレス(ゲーゲンプレッシング)である。

 ハイプレスやカウンタープレスは、当然ながら複数の選手が意思統一し、同じ共通認識がなければできないプレイだ。

 だが森保ジャパンの試合を見ていると、大迫と南野がいるときは前からハイプレスやカウンタープレスを行い、いないときには行わない。

 そして行わない場合は、高い位置でボールを失うとプレスなしで全体がリトリート(後退)している。

 不思議な話だ。

 当然だが、ハイプレスやカウンタープレスは大迫と南野の2人だけでやるプレイじゃない。

 想像だが、これは大迫と南野に前からプレスをかける強い意識があり、ゆえに彼らが試合に出るときにはほかの選手に声をかけ、彼ら2人が自主的に指示しているのだと思われる。だから、できるのだ。

「これは草サッカーのチームなのか?」とあきれてしまう。

監督がプレー原則を示しておく必要がある

 繰り返しになるが、彼ら2人だけにその意識があるだけではうまくいかない。

 例えばある選手は前からプレスをかけたが、ある選手はプレスをかけずにリトリートした、なんてことになったら目も当てられない。

 とすれば相手チームの最終ラインがボールを保持しているときにはハイプレスをかける(または特定の相手や特定の時間帯、点差によっては、かけない)。

 また高い位置でボールを失ったらカウンタープレスする(同上)、などと、複数の選手がハイプレスやカウンタープレスを行う際の「プレー原則」(約束事)を認識しておく必要がある。

 つまり大迫と南野がいれば勝手にそうなるが、いなければそうならない、というのでは困るのだ。監督が「うちのチームはこうプレーする」と、きっちりプレー原則を事前に示しておく必要がある。

自陣での組織的プレッシングにもルールがある

 もちろん高い位置でプレッシングするのでなく、逆にリトリートする場合にはミドルサードまでか? それともディフェンディング・サードまで後退するのか? というような約束事にしても同じだ。

 さらには引いた位置での組織的守備にも決まりごとがある。

 例えば先日のメキシコ戦では、日本は攻撃時には4-2-3-1、守備時には4-4-2になる、という約束事があった。

 で、初めは、日本が守備に回って組織的プレッシングの局面になれば、鈴木武蔵と鎌田が2人で横に並んでビルドアップする敵の2人のCBにプレスをかけていた。

 ところが途中で数人のメンバー交代があり、武蔵と鎌田が退いて南野がワントップに入ってからは南野が敵のCBに1人だけでプレッシングしていた。

 果たして「チームとして」はどちらのやり方が正しいのか?

 ひとつのセオリーとして、2トップが中にポジショニングし、敵のアンカーへのパスコースを切りながらスライドする方法がある。

 すなわちボールホルダーの敵CBにFWがつき、敵CBがドリブルで前進できるコースを切る。

 で、もう1人のFWは、敵のアンカーをマークする。こうして敵CBの2人とアンカーの計3人を2トップでスライドしながら防ぐ方法だ。

 では「チームとして」は、どちらのやり方をしようとしているのか?

 判然としない。

 なぜか?

 当然、監督が選手に指示してないからだ。

 こうした意思統一は選手まかせでは絶対にできない。現に選手まかせだったから、ああなってしまったのだ。

指針がなければ烏合の衆だ

 サッカーでは一事が万事このとおりで、複数の選手が共通認識を持ち、同じ意図に基づいて同じ方向性でプレーできなければ試合が成立しない局面が必ずある。

 ところが森保ジャパンでは、これが「選手まかせ」になっている可能性が非常に高い。

 致命的である。

 選手個々の自覚を促し選手の自主性やインスピレーションにまかせる、といえば聞こえはいいが、裏を返せば監督の職場放棄だ。

 サッカーには、選手まかせではできることとできないことがある。

 このことはハッキリ認識しておくべきだ。

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【森保ジャパン】森保監督には「説明責任」がある

2020-11-27 06:00:00 | サッカー日本代表
監督は「指針」を語るべきだ

 森保監督は試合後、どうでもいいような抽象的なコメントしかしない。

 だが彼は日本を代表する「サッカー日本代表チーム」の監督だ。したがって森保監督には、国民に対する「説明責任」があると考える。

 ゆえに試合後の曖昧模糊としたコメントはもうやめて、「我々はこういうサッカーを目指している」というゲームモデルをまずハッキリ説明すべきだ。

 そして試合後のコメントでは、「あの局面では〇〇というプレー原則を実行すべきだったが怠った(または実行した)。それでああいう結果になった」というように、敗因(勝因)になったプレー原則を明示すべきだ。

 そうしたしかるべき説明があれば敗戦も納得できるが、現状のようにわかったようなわからないようなコメントしかないのでは納得のしようがない。監督が取るべき処方箋を持っているのか、いないのかがわからなければ不安でしかない。

 外国の代表チームに研究されるのを恐れているのかもしれないが、プロの分析官なら(言葉で聞かなくても)試合そのものを見ればたちどころにわかる。どうせ分析されるのだから心配は杞憂だ。

 森保監督の有意な「言葉」を待ちたい。

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【森保ジャパン】自主性にまかせる「幅」と「深さ」

2020-11-22 08:06:10 | サッカー日本代表
リベラルで民主的な放任主義

 選手の自主性にまかせる、という森保ジャパンを見ていると、なんだかドラマ「金八先生」がブームだった頃の学校を思い出す。

「生徒の自主性にまかせる。校則などもってのほかだ」

 学校の先生がもしこう言えば、「民主的でリベラルな先生だ」と拍手喝采。持て囃される。だが校則で基準を決めておくのは必要だし、子供である生徒がすべてに関し「正しい判断」ができるとは限らない。

 これと同じで、

「選手の自主性にまかせる。ゲームモデルやプレー原則など必要ない」

 などと言い始めたらサッカーにならない。

 森保ジャパンを見ていると、なんだかこうした「リベラル主義こそ素晴らしい」的な胡散臭さを感じてしまう。

芸術は即興性こそが大切か?

 サッカーはよく芸術になぞらえられる。確かに芸術家のインスピレーション、即興性は重要だ。例えばジャズのコンサートで、ギタリストが即興で鳥肌もののすばらしいギターソロを弾いたとしよう。

 すると当然、「あのギタリストは天才だ」と誉めそやされる。

 なんだかこれも、森保ジャパンと共通しているように感じる。つまり以下のような感じだ。

「あの切羽詰まった局面で、あの選手は瞬間的なインスピレーションでプレイを選択した。天才的な選手だ。監督に言われた通りやるのでなく、彼は『自分』を持っている」

 こう誉めそやされる。森保ジャパンを取り巻く状況は、こんなふうに芸術における即興性が賞賛されるのとも共通している。

 サッカーは野球とちがい、ワンプレーごとに監督がブロックサインで指示を出すわけにはいかないのだから当然といえば当然だが。

森保監督をめぐる二元論

 さてここで議論はふたつに分かれる。

「プレイが止まることの少ないサッカーは、選手による局面ごとの自主的な判断がより求められる。その集積こそがサッカーだ」

 この論法を極限まで突き詰めれば、最後は「監督なんていらないよね」ということになってしまう。【主張A】

 だが他方、サッカーはこうも言える。

「複数の選手が共通の『意図』をもち、同じ方向性でプレイする。そのときゲームプランやプレー原則は絶対に必要だ。それがなければチームは烏合の衆になってしまう」【主張B】

 さていったい、どっちが正しいのか? 正解はもちろん両方の折衷案だ。

 ゲームプランやプレー原則を前提にした上で、こまかなワンプレー、ワンプレーは選手がインスピレーションで判断する。それがサッカーだ。

「炭鉱のカナリア」はいつ鳴くのか?

 さて、では肝心の森保ジャパンはどうか?

 森保監督は「ベースになる幹の部分は選手に提示し、あとは選手の判断にまかせている」

 こんな感じのコメントが多い。これだけ見れば上にあげた【主張B】に近いように感じる。だが実際の試合を見ていると、森保監督が選手にプレー原則を提示しているようには見えないのだ。

 森保監督を支持する人はこういう。

「森保監督は細かくコンセプトを決めてやろうと思えば、それができる人だ。だがあえてそれをやらずに選手の自主性に任せ、化学反応を見ているのだ」

 とっても便利な言説である。こんな論法が通るなら、どんな無能監督も「選手の自主性を重視している。だからあえて指示してないんだ」で済んでしまう。ではいったい、いつまで化学反応を見るつもりだろうか?

 こうしてジャーナリストが監督やサッカー協会に忖度し、真実を言わない。正しい指摘をしない。

 なんだかこれって、どっかの政府とそれを取り巻く御用マスコミの有り様にそっくりだと思いませんか?
コメント (1)
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【森保ジャパン】大迫依存を脱し「プランB」を持て

2020-11-21 07:31:36 | サッカー戦術論
裏抜けタイプのFW育成を

 森保ジャパンの欧州遠征は、FWの大迫がクラブ事情で代表を途中離脱したため、奇しくも意図せずして大迫がいない場合のプランBを模索するための旅になった。

 前線でボールが収まる大迫はターゲットマンとして有用だ。ゆえに森保ジャパンの攻撃は、大げさでなく大迫を起点にするケースが多い。

 大迫が前で収めてボールを落とす、はたく、展開する。いわば大迫は森保ジャパンにとって「最前線のゲームメーカー」と言ってもいい存在だ。

南野と鈴木武蔵、浅野がプランBに挑戦した

 では大迫がいない場合のプランBとは何か? もうおわかりのように大迫とはまったくタイプの違うFWを起用したゲームモデルの構築である。

 で、今回の欧州遠征ではこの試みに南野と鈴木武蔵、浅野が「ポスト大迫」として挑戦した。

 だがまず南野は前で使うとゼロトップであり、彼の適正とはちょっと違う。で、今回は残る鈴木武蔵と浅野がプランB構築に挑んだことになる。

 いうまでもなく彼らは2人ともスピードを生かし裏抜けを狙うタイプであり、大迫のスタイルとは180度ちがう。

 ゆえにこのプランB作りが成功すれば、フィニッシュのバリエーションが大きく増える結果になったはずだ。

 だが率直に言ってこの試みは100%成功したとは言い難い。

 まず浅野はパナマ戦の後半25分から途中出場し、スピードを生かして縦横無尽に暴れた。だがこのケースではパナマが浅野にスペースをたっぷりプレゼントした状態だったため、もろ手を挙げて喜べない。

 そして何より重要なことは、浅野はこのとき点を取ってない。

武蔵は無得点だがスペースを作った

 一方、鈴木武蔵はコートジボワール戦とメキシコ戦にワントップで先発出場した。つまり浅野よりはるかに多くのチャンスを与えられた。そして浅野と同様、点を取ってない。

 ただ武蔵の場合は特にメキシコ戦で、裏抜けを狙ってオープンスペースに何度もスプリントした。そのことによってメキシコの最終ラインを下げさせ、敵のバイタルエリアを広げた。この働きは見逃せない。

 武蔵が得意な裏抜けを実現できなかったのは、逆にいえば裏のスペースを狙ったスルーパスが2列目から出なかったせいだ。受け手の問題というより、出し手の問題である。

 その意味では日本の二列目の選手は(日本人が大好きな)足元にボールを出すだけでなく、一気に裏のスペースを狙う感覚を磨く必要がある。

 とはいえ武蔵はあの敵GKとの決定的な1対1を決められておらず、個人的にはこの点を最重視してマッチレポートでは「もう彼をテストする必要はないのでは?」と半ばキレて書いてしまった(笑)

 だが冷静に考えれば敵の最終ラインを下げさせた武蔵の働きは無視できないし、なにより彼にはフィジカルがある。よって前言を撤回し、浅野ともども今後もリストに残すことを提案したい。浅野のスピードも非常に魅力的だ。

 ただし2人にくれぐれも強調しておきたいことは、FWでありながら点を取っていないということは非常に重い事実であり、今後はその点を改善すべく努力してほしい。

 日本には、「点は取っていないがいい働きをした」「無得点だが機能した」というFWならばいままで掃いて捨てるほどいた。そこから頭ひとつ抜け出すためには、やはりゴールが絶対に必要だということを強調しておきたい。

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【欧州遠征まとめ】森保ジャパンはチェンジ・オブ・ペースせよ

2020-11-20 07:07:14 | サッカー戦術論
チームの現在位置と修正点

 10月、11月の欧州遠征では、コロナ禍のなかカメルーン、コートジボワール、パナマ、メキシコという良いチームと得難いテストマッチができた。

 それにより森保ジャパンの現在地と課題が浮かび上がってきた。そこで今回はそれらをまとめてみよう。

 まずビルドアップに関しては、GKに権田を使うのか、シュミット・ダニエルを使うのかでまったく変わってくる。

 これまで森保監督は権田を使うことが多かったが、今後は足元に優れビルドアップの第一歩になれるシュミット・ダニエルを使った場合のビルドアップを確立したい。

 例えばゴールキックのルールが改正され、ペナルティーエリア内で味方がパスを受けてもよくなった。そのためエリア内にCBを2人置き、GKと合計3人でビルドアップの起点を作るチームが多くなった。

 森保ジャパンでこの形をそのまま採用してもいいし、あるいはもっと大胆にエリア内に下がるCBを1人にしてもいい。もし仮に相手チームが同数の2人でプレスをかけてきても、シュミット・ダニエルならこなせるだろう。

最大の課題はプレイに「変化」がないこと

 このほか、まず全体にいえることは「変化」が少ないことだ。例えばプレイによる緩急の変化や、爆発的なスピードアップのほか、パスの出し方にも偏りがある。一本調子で単調なのだ。

 例えば森保ジャパンは(というか日本のサッカーは、と言い換えてもいいが)、パスを出す場合にはロングパスでなくショートパスを、スペースにではなく足元に出す、という大きな偏りがある。

 もちろんこれは選手のタイプや適性によってこうなるケースも多いが、結果的にこの種の偏りがあると相手チームはこっちのプレイを読みやすくなる。「このチームは一気にウラを突いてこないぞ」というふうに。

 ゆえにパスなら、足元、足元、だけでなく裏を狙うパスも織り交ぜる。例えばパスの受け手であるFWがライン裏を狙う動きをし、これにより敵の最終ラインを押し下げて敵の陣形を間延びさせる。

 そうすればライン間が広がってスペースができ、これで今度はその裏をかいてライン間に侵入した選手に基点になるパスを出すことも可能になる。

一気に局面を変えるサイドチェンジを

 同様に「単調」という意味では、サイドチェンジが少ない点もあげられる。

 どうしても日本人は足元にショートパスを出す展開になるため、同サイドでプレイし続けるケースが多い。

 よって遠くが見えている選手が少ない。このため要所で大きなサイドチェンジを入れ、変化をつけるような戦い方に欠けている。

 ショートパスによるポゼッションだけではどうしても単調になるわけだ。

トランジションを重視せよ

 また変化がない、という意味では、トランジション(切り替え)の遅さも気になる点だ。

 例えば急所で敵がボールロストした。このとき敵は攻めにかかっていたため守備体形が崩れている。ならばここで速いカウンターをかければ一気に攻め崩せる。

 そんな局面で、わざわざいったんバックパスして遅攻にしたり、ショートパスを複数つないで手数をかけてしまう。つまり攻めをスローダウンさせてしまうわけだ。

 こんなふうにカウンター一発で決められる場合は、素早いトランジションから急所を突く鋭い縦パスを入れたい。

 日本人はいつもまったく同じリズムでプレイしており、「爆発的に加速する」ような変化に乏しい。「ここ」という局面ではグッとインテンシティを上げてリズムを変えたい。

勝ち切るための試合運び

 試合運びという点でも「単調さ」は目につく。

 例えば前半はハイプレスで、敵のビルドアップに対し前から激しくプレッシャーをかける。また前でボールを失えば激しいカウンタープレスでボールを奪い返して攻める。

 こうして前がかりの攻めで得点を取りリードしたら、今度は陣形を低く構えて4-4-2でブロックを組みゾーンディフェンスで敵を待ち受ける守備をする。これによって時間を使い、試合を終わらせる。

 こういう試合運びの変化で有利を得ることも重要だ。試合運びのうまさはまさに勝敗を分ける。

 まとめると、日本人は和を重んじて組織的かつ献身的なプレイをするが、そこに加味すべき加速度的なアクションや緩急の変化がない。

 この点は個々のプレイから試合運びに至るまで、一貫している。まずリズムを変えることが次なるステップにつながる大きな一手になるだろう。

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【オーストリア遠征まとめ】森保監督には修正力がない

2020-11-19 06:00:00 | サッカー日本代表
後半に修正してきたメキシコ

 メキシコ戦では、監督の能力の差をまざまざと見せつけられた。

 この試合、前半の日本は相手の中盤を蹂躙し、何度も決定機を作って見せた(1点も入らなかったが)。

 これに対しメキシコのヘラルド・マルティーノ監督は、日本のやり方を見て後半に修正をかけてきた。

 すなわち2人交代してフォーメーションを4-3-3から4-2-3-1に替え、セントラルMFを2人置いてバイタルエリアを埋めたのだ。そしてその2人の前にオルベリン・ピネダを配置し、中盤を厚くした。

 これでマンマークをつけられた鎌田は封じられ、前半の勢いをなくした。

 前半は中盤を制圧していた日本は制空権を失い、プレスも利きにくくなった。そして後半はメキシコにいいようにやられた。

監督に求められる最低限の能力とは?

 これに対して森保監督はといえば、途中でひねり出した南野のワントップが機能せず、橋本や久保、三好、浅野と途中で投入した選手もそろって生かせず裏目に出た。

 例えば途中出場させた浅野についていえば、メキシコはリードし、すでに引き気味でプレイして試合を終わらせようとしていた。つまり前方にスペースがない。そこにスピードがありスペースがあってこそ生きる浅野を入れても機能しない。

 つまり試合前から浅野の途中投入を考えており、試合の内容とは関係なくそのシナリオを機械的に実行した、という感じしかしないのだ。

 そもそも森保監督はよくいえば選手の自主性にまかせる監督だ。ゆえに試合の途中で気の利いた飛び道具を突然ひねり出すようなタイプじゃない。

 いや確かにパナマ戦では、途中から出場した遠藤航や鎌田、浅野らが活躍して勝った。

 だが森保監督は別に相手のやり方を見て、システムややり方を変えたわけじゃない。突き放した言い方をすれば、途中出場した遠藤航らが個人の力で「勝手に活躍した」だけだ。

 だが敵の手の内を見て機敏にやり方を変えて対応するって、監督に求められる最低限の能力じゃないだろうか?

 果たしてこのまま森保監督でいいのだろうか?

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【森保ジャパン】地力の違い。世界は遠い ~日本0-2メキシコ

2020-11-18 08:04:24 | サッカー日本代表
前半の得点機をモノにできていれば

 オーストリア遠征の2戦目、国際親善試合のメキシコ戦だ。

 前半は完全に日本のゲームだったが、2~3度あった得点機をモノにできなかったのがすべてである。続けてチャンスを逃してしまうと試合の流れが逃げて行く。

 あの鈴木武蔵のGKとの1対1と、原口のミドルシュートが前半に決まっていれば試合はまったく違った展開になったかもしれない。

 日本のフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがシュミット・ダニエル。最終ラインは右から酒井宏、吉田、冨安、中山。

 セントラルMFは遠藤航と柴崎岳。2列目は右から伊東、鎌田、原口。ワントップは鈴木武蔵だ。

前半は完全に日本のゲーム

 前半、日本に支配され中盤で劣勢だったメキシコは、後半にフォーメーションを4-3-3から4-2-3-1に変え、セントラルMFを2人置いてバイタルエリアを埋めた。

 さらにその2CMFの前にオルベリン・ピネダを配置して中盤を厚くする修正を行う。これで日本は前半のように中盤のプレスが利かなくなった。

 こうして穴をふさがれ、後半の日本はメキシコにいいようにボールを回された。ピンチをしのいだチーム(メキシコ)が欠点を修正し、最後は競り勝つ。まるで勝負のジンクスを絵に描いたような試合だった。

 点が取れないのは毎度のことなので驚かない。それより個人的には、酒井宏と吉田、冨安の3人を含む守備陣で2点を取られて完封負けしたショックは大きい。やはり世界はまだまだ遠い。

武蔵は結果が出せなかったが……

 選手別にいくつかコメントしておこう。右SHの伊東は非常に利いていた。持ち前のスピードを生かして縦への突破や、高い位置に張ってサイドチェンジのボールを呼び込んでいた。

 一方、前半の鎌田はライン間でボールを受け、ラストパスで得点機を演出したり、かと思えばちょっとしたボールキープでタメを作り攻めに繋げるなど好プレイが光った。鎌田は日本のエンジンだった。

 他方、森保監督は南野をワントップで使おうとしているように見えるが、その起用法は果たしてどうだろうか?

 南野はトップ下(セカンドトップ)でチャンスを作り、いったんボールを失えば激しくカウンタープレスしてボールを奪い高い位置でショートカウンターをかけるのが持ち味だと思うのだが。

 なお鈴木武蔵は慣れないポストプレイに挑戦していたが、肝心のスピードを生かして裏抜けするような得意形を思ったように作れなかった。

 だがポストプレイでチームの軸になる大迫とちがい、スピードタイプの武蔵のような選手が戦力になればリズムが変わる。攻めのバリエーションが増えてチームにとっては大きい。今後も失敗を恐れず真っ向トライしてほしい。

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【メキシコ戦予想】鈴木武蔵と橋本拳人を「使えるヤツ」に

2020-11-17 05:59:14 | サッカー日本代表
レギュラーは固まったか?

 オランダ遠征とオーストリア遠征を経て、レギュラー組の予想がかなり固まってきた。18日のメキシコ戦はいわばレギュラー組を強固にする試合になるが、ざっくり以下のようなスタメンになるのではないか?

【3-4-2-1】

FW 鈴木武蔵(浅野)
MF 久保 鎌田(南野)
MF 原口 遠藤航 橋本拳人 伊東
DF 冨安 吉田 酒井宏
GK シュミット・ダニエル


【4-2-3-1】

FW 鈴木武蔵(浅野)
MF 久保 鎌田(南野) 伊東
MF 遠藤航 橋本拳人
DF 長友 冨安 吉田 酒井宏
GK シュミット・ダニエル

ポイントは4つある

 メキシコ戦のポイントは4つある。それは(1)フォーメーションは3-4-2-1か? 4-2-3-1か?(2)GKシュミット・ダニエルを使うか?(3)勇気をもって橋本拳人を使うか?(4)鈴木武蔵はレギュラーを取れるか? --だ。

 まずフォーメーションに関してはおそらく4-2-3-1を使ってくると思うが、一応、3-4-2-1の予想も載せておいた。

 GKに関しては、もし私が監督なら足元に優れ、ビルドアップの第一歩になれるシュミット・ダニエルを使う。だが森保監督なら権田かもしれない。

橋本と武蔵は残れるか?

 第三のカギは、パナマ戦でよくも悪くもなかった(つまりレギュラーを取れる確証がなかった)橋本拳人を、勇気をもってもう一度使うか? だ。

 セントラルMFは森保構想では柴崎岳が一番手だ。だが一連の遠征で柴崎はよい結果を残せてない。とすればここで橋本を使ってチャンスを与え、彼が準レギュラーの地位を固められるかどうか? はメンバー構成上、非常に大きい。

 第四のポイントは、これまでの試合で決定打のなかった鈴木武蔵が結果を出せるかどうか? 彼とすれば最後のチャンスと思って踏ん張ってほしい。

 ちなみにパナマ戦で一定の結果を出したFWの浅野は、相手が疲れた後半に出してスピードを生かせばおもしろいと思う。

 なおトップ下(またはシャドー)での鎌田と南野の争いもおもしろい。

 さあメキシコ戦、すっきり勝ってもらおう。

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【森保ジャパン】遠藤航がチームの中心だ ~日本1-0パナマ

2020-11-14 11:01:49 | サッカー日本代表
日本のフォーメーションは3-4-2-1

 オーストリア遠征での国際親善試合だ。日本のスタメンはGKが権田、3バックは右から植田、吉田、板倉。右のウイングバックが室屋成、左が長友。セントラルMFは左がアンカー的な橋本拳人、右が柴崎岳。2シャドーには右が三好、左が久保。ワントップは南野だ。

 前半の日本はミドルプレスで始めたが、全体の重心が後ろに行ってしまい後ろが押し上げないので重たい展開になった。そのためボールを奪ってもいったんバックパスしては遅攻になる。よくも悪くも「日本らしいサッカー」だ。

 前で奪って速いショートカウンター、などというパターンには絶対ならない。

 もっと前に人数をかけ、前にパスコースを作る必要がある。

 パナマはレベルの高いチームではないが日本もデキが悪く、前半はドングリの背比べだった。

後半の修正がきき日本ペースに

 ところが後半のド頭から橋本に替えて遠藤航をアンカーに据えた日本は、打って変わってバランスが好転する。

 選手の「矢印」がいっせいに前を向き、敵のビルドアップに対しては前からプレスをかける。

 そのため前半分でボールを奪えるようになり、チャンスになれば前線へ飛び出す意識も高まった。

日本の心臓は遠藤航だ

 遠藤航はさすがのデキだ。危ない急所を知っているし、敵のチャンスの芽をきっちり潰す。

 マイボールの時には最終ラインからボールを引き出し、パスを前につける。遠くも見えており、はるか逆サイドへのサイドチェンジのボールも出している。

 そしてチャンスになればスルーパスも出せる。

 日本の先取点はそんな遠藤航の組み立てのパスから始まった。

 後半13分。センターサークルの中心の位置で最終ラインの植田からボールを受けた遠藤航は、左前にいた久保に縦パスを出す。

 それを受けた久保は敵最終ラインの裏のスペースへ飛び出した南野にスルーパス。決定的な場面にパナマのGKが南野をファウルで止める。

 PKになり、南野が落ち着いてド真ん中に決めた。日本先制。1-0だ。

リード以後はたびたびチャンスを作る

 これですっかりパスが繋がるようになった日本は、後半19分にも魅せた。

 センターサークル付近で縦パスを受けた南野は後ろへフリック。このボールを受けた久保が右サイドの裏のスペースに飛び出した室屋へパス。

 室屋が倒れながら左に出したパスを南野が受けて軽くドリブルし、左サイドを駆け上がった途中出場の原口にはたいた。

 だがこれは南野のラストパスが弱かったぶん、敵DFに防がれてシュートが左にそれた。惜しいチャンスだった。

途中出場の鎌田と浅野が大爆発

 そして日本は後半25分に久保に替えて鎌田を入れてシャドーにし、南野に替えて浅野をワントップに置いた。

 この交代がまた奏功する。

 鎌田は相手ボールになると低い位置まで下り、守備をしてボールを奪い組み立てのパスを出す。

 一方、ワントップで周囲に空間を与えられたスピードスターの浅野は、長く難しいボールをダイレクトで味方にはたいたり、ライン裏のスペースに飛び出すなど大車輪の活躍をした。

 後半31分には自陣の深い位置で柴崎から短い縦パスを受けた鎌田が、2タッチで前縦の浅野にすばらしい浮き球のスルーパス。

 センターサークル付近で浅野は完全に敵ライン裏に飛び出し、GKと1対1に。ペナルティエリアから前へ飛び出した敵GKはたまらずファウルで浅野を止めた。

 これで敵GKは一発レッドの退場になる。

 また後半40分にはセンターサークル付近でパスを受けた鎌田が、前の浅野にまたもすばらしいスルーパスを出す。完全にスペースに抜け出した浅野はGKと正対したが、この好機はGKに防がれる。

 このあともスペースを持った浅野は鎌田のスルーパスを受けて何度もライン裏に飛び出す動きをし、チャンスをたびたび作った。

選手の特徴がよく出た後半

 鎌田はカバーエリアの広い守備とスルーパス、クロスで獅子奮迅の働き。何度も得点機を作った。特にスピードのある浅野とのコンビネーションは魅力的だ。

 またなんといっても遠藤航はこれでレギュラー確定だろう。彼がド真ん中のアンカーに居座る日本はバランスがよく非常に機能した。

 左サイドを激しくアップダウンする原口も効いていたし、吉田と植田、板倉の3バックも安定していた。浅野や鎌田、遠藤航を筆頭に選手それぞれの特徴がよく出た後半だった。

 日本が不出来だった前半は「なかった」ような試合だったが、パナマのレベルが高くなかったことに加え後半は相手が1人退場となったこともあって、日本のよさがひさびさに光った試合だった。

 課題はひんぱんに来た得点機に追加点を取れなかったことと、チームの中心であるはずの柴崎に元気がなかったことだ。柴崎はオランダ遠征でもいまいちだったし心配だ。

 来週に控えた次の親善試合はメキシコだ。格上の彼ら相手にこんなラクな試合はできないだろうが、安定した守備をベースにしっかり無失点に抑えて戦ってほしい。

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【森保ジャパン】GKシュミット・ダニエルのビルドアップが見たい

2020-11-11 09:43:43 | サッカー日本代表
GKからの組み立ては常識だ

 GKのシュミット・ダニエルは足元に優れ、ビルドアップの第一歩になれる得難い選手だ。

 GKから緻密に組み立て、ポジショナルプレーで敵陣に殺到する。そんな日本代表が見たい。

 森保監督は、なぜ大きく蹴り込むだけのGK権田を使うのだろうか?

 シュミット・ダニエルをレギュラーとして固定してもいいと私は思うのだが。

 あなたはどう思いますか?

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