星のひとかけ

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2016-10-12 | 文学にまつわるあれこれ(詩人の海)





 くたびれた時代に生きる、くたびれた心よ
 善悪の網を逃れて、こっちへおいで
 笑ってごらん、もう一度、薄墨色の薄明の中で
 嘆いてごらん、もう一度、朝明けの露にぬれながら

            (「薄明の中へ」 第1節)


















 谷間や丘をさすらううちに
 時が流れて俺は老いたが
 いつの日か必ず娘を見つけ
 くちづけをして手を取るつもりだ
 丈高く、木漏れ日浴びた草を踏み分け
 ふたりして、時の終わりまで歩いていこう
 銀色の月の林檎を摘み取りながら
 金色の太陽の林檎を摘み取りながら

     (「さすらうエインガスの歌」 最終節)














詩の引用は、『赤毛のハンラハンと葦間の風』 W・B・イェイツ著
                栩木伸明 訳/平凡社 2015年 より


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