米国の中国製品に対する第4弾の追加関税発動を控え、日本企業が影響を避けるために生産拠点を中国の外へ移す動きが加速してきた。
米中の対立は「新冷戦」と呼ばれるほど深刻化し、解決の糸口すら見えない。
両大国に挟まれた日本企業はサプライチェーン(部品の調達・供給網)の大幅な見直しを迫られている。
米国はこれまで年間約2500億ドル(約26兆5千億円)相当の中国製品に対して追加関税を発動済み。
第4弾では残るほぼ全ての中国からの輸入品が対象となり、9月1日に発動する。
スマートフォンやゲーム機など一部品目の発動は12月15日に延期することを決めたが、実施方針は変わっていない。
ソニーは、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」やオーディオ機器などが第4弾の対象となる。
商品ごとに生産拠点の中国外への移管や値上げなどの対応策を検討。
任天堂もゲーム機「ニンテンドースイッチ」生産の一部を今夏中国からベトナムに移した。
米国が輸入するゲーム機の90%以上が中国で生産されており、ソニーと任天堂、米マイクロソフトは連名で関税リストから外すよう米政府に要請してきた。
ソニーの十時最高財務責任者(CFO)は「高い関税を掛けることは最終的に米国経済にマイナスになる」と訴える。
リコーは、第4弾対象の複合機について、米国向け商品の生産地を7月末からタイエ場に移した。
京セラも複合機やコピー機の生産をベトナムに移管する。
JVCケンウッドは、ヘッドホンの生産を中国からフィリピンに移した。
「中国は人件費が高騰し、以前から移転を考えていたが、米中摩擦の激化を受けて対応を急いだ」という。
大手商社幹部は「春ごろまでは貿易摩擦が近く収束するとの期待もあったが、もう限界だ。 対立長期化に備え、中国で投資する生産拠点を大幅に見直さざるをI得ない」と話した。