国内に住む全ての人に番号を割り当てるマイナンバー制度に対し「不安だ」と感じている人は78%に上ることが、全国面接世論調査(2015年12月5、6日実施)で分かった。
この人たちに最も不安に感じることを聞くと「個人情報が漏えいし、プライバシーが侵害される」との回答が60%と突出して高かった。
背景には、誤って個人番号を住民票に記載するなど行政トラブルが相次ぎ、関連の詐欺事件も起きていることがありそうだ。
マイナンバーは税や社会保障の行政を効率化するための制度で、1月1日から運用が始まっている。
政府には国民の不信感を払拭するための努力が求められる。
また制度について「よく知っている」と答えた人は13%にとどまっており、国民への説明不足も大きな課題だ。
制度の運用に当たり、必要な対応を聞いた質問では「不正利用や情報漏れ、担当者のミスを防ぐためシステムなどの強化」がほぼ半数を占めた。
希望者に交付され、身分証明書としても使える「個人番号カード」を「取得したいと思わない」人は65%に達した。
政府がPRする個人カードの便利さは、国民に伝わっていないようだ。
一方、カードの使い道では、医療費控除や児童手当などの手続きが簡単になることへの関心が高かった。
個人カードを将来的に銀行のキャッシュカードやクレジットカードとして使うなど、利用範囲を広げようとする政府の構想に対しては、84%が「反対」と答え、強い警戒感がうかがえた。
また個人番号を2018年から銀行の預金口座にも結び付け、脱税防止と徴税強化に使う方針に関しては、半数以上が反対した。
こうした意識を下敷きにして、制度に「期待する」と答えた人は23%と低調だった。
その中でも期待する内容としては「行政事務の効率化が進み、コスト削減につながる」が多かった。