天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

補助輪を外すとき

2024-03-04 05:58:09 | 俳句



我がもとを去る弟子とその後の身の振り方について話し合った。結果、「ひこばえネット」の14人目のメンバーに招くことにした。
句座を共にするのでなく俳句をマンツーマンで定期的にみる、それが弟子である。弟子の名を仮にメイ子とする。彼女は63歳ほどで14年の付き合いになる。小生が50代のとき担当していたNHK俳句添削教室で知り合った。添削は実にもどかしく、鷹俳句会へ入ることと句会へ出ることを勧め、田無「ひこばえ句会」の常連となった。が、新型コロナウイルスが蔓延して「ひこばえ句会」が瓦解、彼女は句を見てもらう場を失った。
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メイ子はふつうの人が考えられないほどの過敏症。世の中の埃、煙、黴、細菌、ウイルス等人体を害するものにきわめて敏感で極度に恐れる。初対面のとき入ろうとした喫茶店の前で立ち止まった。この店は煙がきついからダメという。実際、煙に接して身体をこわすようだ。れっきとした夫がいることが不思議に思われた。男はばい菌の巣窟、それと一緒に寝るのを結婚生活という。よく結婚に踏み切れたと思ったほどである。
4年前、ウイルス蔓延の句会へ出ることを厭いメイ子は弟子の契約をしたいと小生に申し出た。内容はひと月に30句出してそれに小生が全句講評するというもの、有料である。世の中に10句3000円みたいな添削の勧誘記事が出るが小生はこの方法を買っていない。それは添削講師を5年やった経験からである。数少ない句を添削した結果、1句よけいに主宰に採られたとしてそれで本人の作句力が伸びるのか。おためごかしではないか。
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俳句は数を作ってそこから自分でよしあしを判定して玉と思われるものを選ぶ、あるいは玉にしていくしかない。たくさんの句を見て先のある句を見出す。その傷を指摘して本人に推敲させるほうが上質である。全員に多作を勧めている。
少数の句の添削をするよりいま小生のやっている指導は実があるとは思うものの、補助輪付き自転車に乗っていることは間違いない。はやく補助輪を取って独力で自転車を立たせるべきである。
それで契約の切れた先月を以て弟子契約を止める旨をメイ子に通告した。彼女は変な句も書くが詩心がある。補助輪を外す潮時と思った。メイ子のうまくいった句には詩を感じた。それは自分自身で育てていくほうがいい。けれど中央例会は怖くて行けない、通信句会もしない、それで小生も手を引くでは彼女は俳句をやっていけないだろう。
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それでネット句会「ジャッカル」に入ることを勧めた。が、1週間たってもうんともすんとも言って来ない。自分の身の上のことだぜ、もう少し積極的に意思表示できないのか。いらいらして小生のほうから彼女のもとへ出向いた。おせっかいである。月2回行う「ジャッカル」がしんどいのではないかと忖度したのである。
はたしてメイ子は途方に暮れていた。長い付き合いで胸のうちが読めるようになってしまった。それで月1度開催の「ひこばえネット」へ招くことにした。「ひこばえネット」14人目の会員となる。やや人数が多いがいたしかたない。先月120句のうち58句にコメントを書いた。またコメントを書く量が増える。「ひこばえネット」のみんな、メイ子をいい句で驚かせてほしい、よろしく。

コメント (2)
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