ひこばえネットで句座を共にする鷹俳句会の松尾初夏からチョコレートと共に、徳島新聞の切り抜きが届いた。以下がその内容。
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第43回徳島歌壇賞の顔
松尾初夏さん(70)
徳島市国府町府中
コインランドリーは要塞のやう舞ふ雪を見知らぬ人と飽かず見てをり
「古希の節目の年に受賞できて感激。思い入れがあり、お気に入りの一首なので、最高の気持ちです。今もじわじわうれしさが込み上げています」。はじける笑顔であふれる喜びを爆発させた。
2021年1月、病気で入院中の姉の洗濯物を洗うために訪れたコインランドリーでの出来事。突然、強く降ってきた雪に、たまたま居合わせた女性と見入った情景を表した。
徳島には珍しく一時吹雪になったものの、コインランドリーの待合室は暖かく、まるで要塞のように守られている気分だった。大きなガラス越しで、雪見には抜群の環境。しばらくすると、空は明るくなり雪はやんだ。その天気のように姉の病状も回復してほしいとの願いを込めた。
本名岡本信子。短詩型文学の愛好者だ。短歌歴は7年余り。14年3月、徳島歌壇に初めて送った作品が掲載されて以来、投稿を続ける。年間掲載回数は6、7回で、紙上では知る人ぞ知る存在になりつつある。20年の第18回とくしま文学賞は、短歌と川柳で優秀賞に輝いた。
力まず自然体をモットーに日常の体験や思ったことを詠む。旧仮名遣いにこだわりながら情景が目に浮かぶような作品づくりを目指す。小説や随筆を2日1冊は読む。読書で得た言葉や表現を短歌作りに生かしている。
短歌、俳句、川柳を3姉妹になぞらえるユニークな発想も持つ。しとやかな長女が短歌、次女は冷静で完結に言い切る俳句、末娘は自由奔放な川柳と語る。「それぞれ魅力がある。受賞を励みに、三つとも続けたい」と意気盛んだ。(奥村靖之)
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新聞の日にちがはっきりしないが表彰式が1月7日であるからその近辺であろう。よくもまあ俳句を書きながら短歌ができるものである。さらに川柳までやるとは。
徳島新聞には短歌と川柳のみ出しているのか。俳句でめざましい賞を取ったということは聞いていない。
初夏は俳句もおもしろいので以下に紹介する。
五分だけ待つ革手套きつく嵌め
花柊ことばの綾の解せぬひと
潮時か冬のふらここ漕いでをり
いきものの舌なまなまと霜夜かな
花柊ことばの綾の解せぬひと
潮時か冬のふらここ漕いでをり
いきものの舌なまなまと霜夜かな
(鷹2月号)