.
植物研究家のAさんから
「下山千歳白菜、収穫が始まりました。
下山さんの畑にお邪魔しませんか」と
お誘いを受けました。
「ぜひ、ぜひ!!」
長靴はいて、勇んで出掛けました。
下山さんのお宅と畑は、
世田谷区北烏山9丁目
京王線・千歳烏山から徒歩7分、
甲州街道を渡ってから100m位のところ。
.
下山千歳白菜は、
篤農家・下山義雄さんによる品種改良で生れた
ウイルス病に強い大型結球白菜です。
元気で形のよい白菜の自家採種を繰り返すこと
により育成された白菜です。
昭和20年代、連作障害で栽培危機に陥ったときも、
下山千歳白菜は、たった1%の被害を受けただけ
だったそうです。
写真は、耐病性の高い新種としての価値が認証
され、昭和28年、登録された名称登録証です。
.
しかし昭和30年後半から核家族化がすすみ、
重さ7~8kgの巨大な白菜は、家庭消費に向か
ないため、売れなくなり、やむなく昭和40年代に
栽培しなくなりました。
しかし、地元の「烏山みずとみどりの会
のみなさんのお声と尽力により、
「あのおいしかった下山千歳白菜をもう一度」
と、平成10年に復活したのだそうです。
現在は、元サラリーマン、ご長男の下山繁雄さん
が、お1人で栽培なさっています。
「父への供養です。続けることで喜んでくれる
ような気がしまして・・・」
.
下は、平成12年発行、下山繁雄さん著・編纂本。
いわゆる回顧本ではなく、資料もふんだん。
拝読してから思ったのですが、農業だけではなく、
物作りの姿勢にも通じるような気がしました。
いまの若い人にお勧めしたくなる、内容です。
昭和30年の栽培記録のスライドが掲載されて
います。
全32枚のスライドから抜粋して写してみました。
下は、昭和31年、下山千歳白菜普及のため
作成された、配布用のパンフレットです。
さて、畑へ行きましょう。
広大なお屋敷の門を入り、歩を進めると、
正面の記念碑に迎えられます。
さらに行くと、大正時代の面影を遺した民家。
まっすぐ歩くと厩(うまや)があり畑が広がります。
畑には、比較のために、
2種の白菜が栽培されています。
1種は下山千歳白菜。
もう1種は普及型の結球型黄芯白菜。
黄芯白菜は、みなさんご存知の白菜。
芯に近い部分が黄色の白菜です。
約1000株。
目の前にしたとき、
丈があり、株も外葉も大きいので、ちょっと圧倒
されてしまいました。
巨大なことはわかってるのに、
「おっきいですねぇ・・・」とひとり言。
1株抜いていただきました。
軽々と持ち上げられた下山さん。、
4kg。
外葉の茎の元気なこと。
寝かせると・・・。
すみません、根は、どんな感じですか?
持ち上げてみました。
え?こんなに平べったくて薄いんですかぁ?
大きさの比較です。
右は、普及型の黄芯白菜
左は、下山千歳白菜
大きさ、なんだか親子ですね。
畑から上がり、母屋でお話しをうかがったとき、
「畑仕事というのは、1日も休みがないんです。
種をまいたら、毎日、面倒をみなきゃならない」
「たいへんですね」
「ええ、でも、完璧ではありません。
もしも、いま父が生きていて畑を見たら、
『なにやってるんだ』と叱るでしょう」
.
販売は、畑の先の自販機。
TEL=03-3307-3054
.
自然食品店「自然村」さんでも買えます。
tel 03-5927-2788-7880
東京都練馬区関町北2-33-12
.自然村さんは、添加物入りの商品を排除された
「自分たちがいいと思ったものしか売らない」という
お店です。下山千歳白菜は減農薬です。農薬を
つかっています。では、なぜ、扱うことに?
どうぞ、ブログをお読みください。
.
畑を見学に行きたいと思ったくらいですから、
甘くて、やわらかくて、ほんとにおいしい白菜
なんです。鍋につかったら、とろ~り、
即席漬けにしたら、甘い。
教室でも大好評でした。
.