4代目 市川左團次さんの突然の訃報に驚きました。
実は先日の『13代目 市川團十郎襲名披露』地方公演の舞台に
何故、左團次さんが出演されないのか不思議に思っていましたが
既に体調が万全ではなかったのでしょうね。
長い間、市川宗家を支え、先代の團十郎との共演も多かった左團次さんですから
小さい頃から可愛がっていた13代目の晴れ舞台を、どんなにか楽しみにしていたでしょうに
その無念を思えば残念でなりません。
左團次さんの舞台は何度か歌舞伎座で楽しませて頂きました。
いつも豪放磊落な立役が多かった中で
一度だけ観た「身替座禅(みがわりざぜん)」の奥方が忘れられません。
浮気な夫・山蔭右京は、12代目團十郎が演じていました。
普段は女形をしない大柄な役者が、嫉妬深い奥方に扮し
浮気した夫を遣り込めるというストーリーは
ふたりの呼吸の合った動きで、実にユーモラスでした。
その12代目は既に10年前に他界されており
今頃は「やぁやぁ お久し振り」なんて、再会を喜んでおられるかも‥。
若い頃の左團次さんは、NHK大河にも何回か出演していましたが
尤も知られていたのは、2005年『義経』の金売り吉次でしょうか。
他にもテレビのトーク番組などで
軽妙なお喋りを聞かせてくれる、楽しい歌舞伎役者さんでした。
長い間お疲れさまでございました。心よりご冥福をお祈り致します。