クロアチアに、豊かな森が美しい自然遺産・プリトヴィッツェ湖群国立公園がある。
広大な敷地に大小の滝と湖が点在し、現在クロアチア最大の観光地となっている。
エメラルドグリーンの湖と緑の木々が織り成す美観は、地上の楽園とさえ思わせた。
1979年に世界自然遺産に指定されたが、その後クロアチア紛争の際にはユネスコ
危機遺産にリストアップされた時期もあったそう。
平和を取り戻した現在、世界中から訪れる人々が心を癒し、その美しさとスケールの
大きさに感動する。そして此の地で争った人間の不遜を考えさせられる。
多くの動植物を育み新鮮なオゾンを作り出す森や湖は、そんな愚かな人間たちの干渉を
拒絶しているようにも思えた。
プリトヴィッツェ湖群国立公園は、ザグレブからは140ｋｍほど離れており
公園へ向う道すがら、多くの廃屋や弾痕が残る家々が目に付いた。
1990年から５年間のクロアチア紛争で崩壊したり傷ついたものだと言う。
夾竹桃やラベンダー、アジサイが美しく咲き誇る村々の其処此処に、
争いに明け暮れた歴史の爪跡が残って痛々しい。
今までは、対岸の火事に過ぎなかった『バルカン半島の紛争問題』を
目の当たりにして、改めて平和の尊さ有難さを考える機会となった。
