ごっとさんのブログ

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祝 大村先生ノーベル賞受賞

2015-10-10 10:26:06 | 時事
北里研究所の大村先生が、ノーベル賞の医学・生理学賞を受賞されました。

ノーベル賞は今まで基礎研究部門の方が受賞されていたのですが、昨年の青色ダイオードのように、実際に社会の役に立つような応用研究部門も受賞されるようになりました。この選考基準が変わったのかもしれませんが、イベルメクチンという多くの動物や人間を救った薬の研究で受賞されたというと事は、本当にうれしいことです。

私が勤務していた会社と大村先生とは、密接な研究提携をしており、先生が見つけられた微生物生産物を、医薬品として開発できないかの評価を行っていました。また当社も微生物からの有用物質の探索に力入れていましたので、大村先生の見つけられた菌株を大量培養し、その中から有用そうな物質を多量に取り出すということも担当していました。

私との関わりは、先生が見つけられた物質の中で、プロテインキナーゼという酵素の阻害剤がありました。これが医薬品となる可能性があるということで、当社が評価を進めていたのですが、やや毒性が強いという欠点がありました。当時私は、こういった微生物生産物を化学変換して、より良い性質を出すという研究をしていましたので、この物質を化学修飾して毒性を低減させるという仕事が回ってきたわけです。

このころは定期的に北里研究所の大村研と打ち合わせをしていましたので、仕事以外の行事にも参加していました。大村研のスキー旅行などもあり、私は行ったことはなかったのですが、大村先生は皆と一緒にゲレンデで滑ったりせず、一人でノルディックを楽しんでいられたようです。先生ひとりでは危ないからといっても、先生についていける人がなく、あきらめたといっていましたが、先生は国体の選手として活躍されていたので当然かもしれません。このころから大村先生は美術関係に興味が深く、どこの美術館だったか忘れましたが、美術館巡りなどした記憶があります。

このときの共同研究であった、キナーゼ阻害剤は、残念ながら副作用を除くことができず、医薬品としての開発はあきらめるという結果となりました。それでもこのキナーゼという酵素は、非常に多くの研究者が扱っている物でしたので、その阻害剤を研究用試薬として利用するということになったようです。

その後かなり時間がたってから、私が出向した財団で、大村先生に理事をお願いしていましたので、また一緒に飲んだりするチャンスが出てきたわけです。私事ばかりになりましたが、肝心のイベルメクチンについては次回に続きます。