「世界最高の知性」4人へのインタビューとそれに基づく対談。短いインタビューなのでそれぞれの発言の背景根拠は今ひとつよくわからないところがある。
1.エマニュエル・トッド
民主主義は後退あるいは破壊され続けており、まもなく寿命を迎える。民主主義のリーダーである米国は、不平等でカネがあまりにも重要な国になった。中国は権威主義であるけれども平等主義的な価値観がある。
グローバル化は格差を生み出し夢はなくなった。しかし米国がグローバル化から抜け出し工業国に戻ることはできない。先進国は新興国を自らの陣営に引き入れるようなことは控えなければならない。西洋は傲慢であり、新興・途上国が「私たちを好きである」と仮定するのは大間違いだ。
2.マルクス・ガブリエル
新型コロナに対し民主主義国はロックダウンすべきではなかった。しかし対応に成功したのは自由民主主義国だった。パンデミックは国民国家の論理を明らかにした。
パンデミックによってソーシャルメディアは過激で極端な、著しく反民主主義的、人々の人間性を奪うものになった。私はソーシャルメディアのアカウントを止めた。
しかし私は未来について非常に楽観的だ。デジタル技術には2つの側面があり、リスク評価や規制など多くの対策が必要な側面もあるが、その一方で信じられないほど進歩的で驚異的な側面もある。
3.ジャック・アタリ
パンデミックを乗り越えるのに最も成功したのは民主主義国家だった。中国は自国民にも外国人にも嘘をついた。
グローバル化はコロナとロシアによって後退しているが、それは一時的な試練であり、グローバル化を止めるわけではない。
4.ブランコ・ミラノビッチ
グローバル化で先進国の中間層が没落したと言われるが、新興国の中間層は大いに豊かになっている。グローバルな不平等への対処の方法はある。高所得層への高率の税を課すことと、無償教育を重視することだ。経済成長なしに絶対的貧困を解消できないのだから「脱成長」思考は間違いだ。技術革新により炭素排出を増やさず経済成長と貧困の削減を両立することは可能だと私は信じる。