読書ノート  

主に都市、地域、交通、経済、地理、防災などに関する本を読んでいます。

「地方国立大学」の時代—2020年に何が起こるのか 木村誠 2020

2024年01月26日 | 教育・歴史(文部科学省・文化庁)

第3章や第4章に書かれている広島大学をはじめとする地方大学の新しい取り組みの紹介と今後の期待がこの本の主眼なのだろう。しかし、私は地域と大学を考えるための基礎知識を得るためにこの本を手に取ったので、第1章と第2章から気になった点をノートする。

平成の30年間で18歳人口は200万人超から120万人弱まで減った。出生数は平成の間に24%減ったから18歳人口が今後減少することは確実だ。大学入学者数の母体が減少するとわかっているのに大学は増加している。大学進学率は2018年頃にはっきり横這い傾向になった。私立大学の4割が入学定員割れになっている。
にもかかわらず、文科省はこの30年間大学の新設を次々と認可してきた。平成初期は公立大学の開学が目立ち、交付金も総務省の管轄だったため文科省の設立認可は甘かった。昭和後期に地方活性化の担い手として地方大学への期待が高まっていた。公立大学のほか、公私協力方式、公設民営方式の大学が多くつくられた。

外国人留学生の数は12.6万人で平成の間(1990→2017)に4.4倍増。社会人大学院入学者は1.8万人、18%にまで上昇した。

平成時代の大学政策3つの動き
1.大学の分化とミッション再定義
 大衆化した大学を、その役割や機能によって改めて分化させていく
2.大学の競争的環境の構築
 法人化を機に、学長権限を拡充、ガバナンス強化狙う。指定国立大学法人新設など国際最高水準の研究力確立を目指す
3.財政面の制約
 法人化以降10年、国の運営費交付金を年1%ずつ減額。私学助成金も頭打ち。学費値上げにより負担を家庭に転嫁。






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