879号 昭和生まれの老翁の面白話。第21話 「土葬、酒乱」 今週の一花 ポピー‘ブラックマジック’

昭和生まれの老翁の面白話。第21話　土葬、酒乱、幽鬼の世界

現在では死者は火葬を薦められて、土葬するのにはいろいろの手続きが必要であり、条例で禁止されている市町村もあります。しかし、以前、地方の山村ではまだ、土葬が多かった昭和初期の話です。

友人から聞いた話です。彼の実家は滋賀県北部で京都府の境にある寒村に先祖伝来の杉山を持っていました。「杉材は洋材の輸入で売れず、しかし、山の手入れはしなければならないので、特に夏場は大変だ」と言っていました。その杉山のある村落での話です。

ある葬儀で土葬がありました。墓穴を掘り、遺体を埋め、そこを土饅頭型にし、木の墓碑と卒塔婆を立てます。そこに死者が生前好きだった酒を土饅頭にかけて霊を弔いました。

墓での弔いが終わり、遺族が帰って無人になった夕方、ある人がたまたまその土葬をしたところを通ったそうです。そこでその土葬の前にひざまずいている男を見たそうです。見た人は最初、ギョッとしましたが、その男が亡くなった人を憐れみ、悲しみ偲んでいると思ったそうです。ところがよく見ているとその男は手拭いに酒を含んだ土を入れ、それを絞って、垂れる土で濁った酒を飲んでいたそうです。幽鬼の世界です。その男は酒好きというより、酒乱でその土地では知れていたと言います。

老翁の話いかがでしょうか？感想等ありましたらお寄せください！

今週の一花　ポピー　‘ブラックマジック’

　ポピー　‘ブラックマジック’。これほど黒い花は見たことがない。これから流行りそうな花です。

878号 昭和生まれの老翁の面白話。第20話 「熱烈な広島カープファン」」 今週の一花 イヌノフグリ

昭和生まれの老翁の面白話　第20話「熱烈な広島カープファン」

一緒に仕事をしたことのある女性です。彼女はバブル期に地方の国立大学を卒業し大手地銀に女性最初のキャリア組で入社したそうです。しかしバブルがはじけ、すぐにお払い箱になったそうです。笑顔が可愛いおおらかで、無邪気、あまり細かいことに頓着することはありませんでした。柔道が趣味で講道館に通っていました。ある時やわらちゃん（谷亮子さん）と練習をする機会があったそうです。彼女は相手と組み手をしたところまでは覚えていたのですが数秒後に自分が畳の上に転がっているのに気付いたそうです。どのような技で転がされた全くかわからなかったそうです。

彼女は熱狂的な広島カープファンです。1018年、広島がリーグ優勝した時に彼女はリーグ優勝を大喜び有頂天になりました。すぐさま日本シリーズの応援のために広島までの新幹線の予約を取りました。それまではよかったのですが残念ながら日本シリーズの入場券が手に入らなかったのです。彼女は泣き泣き新幹線の予約をキャンセルしたそうです。それを聞いた時、手順が違うのではないかと思いましたが、彼女らしく、可愛いと思いました。

今週の一花　イヌノフグリ

　イヌノフグリ。我が家の花壇に咲いています。今は青い花のオオイヌノフグリがはびこり、イヌノフグリを見ることはありません。貴重種です。

877号 昭和生まれの老翁の面白話。第19話 「明日は早朝、銀座に集まれ」」 今週の一花 ジャノメエリカ

昭和生まれの老翁の面白話　第19話「明日は早朝、銀座に集まれ」

小生が最初に勤めた出版社の待遇は給料は高く、女性社員は専務（社長は別会社にいて、事実上の責任者）の好みで、若くかわいい子が多かったです。上司（編集長、写真部課長、図案部課長）は毎日のように居酒屋に誘ってくれ、会社に遊びに行くようでした。ぬるま湯に浸かっているようでした。このままでは腐ってしまうと思い、無謀にも会社を辞め、池袋駅近くの、今は整備され、豊島区役所なになっているが、それ以前は古びた雑居ビルが立ち並ぶ雑然とした所でした。その中でも一段と小汚いビルの一室を、若者数人と共同で事務所を借りていたころの話です。

仕事はたまにしかなく、金銭的には苦しかったのですが、まだ、若く、気分はそれほど深刻ではありませんでした。事務所には若者の友人やまたその友人と何となく若い者がたむろしていました。若者たちは建築資材の大会社の社長や大学教授の息子だったりで、自由気ままなお坊ちゃまで仕事が無くても、生活苦は感じられなかったです。早稲田大学や慶応大学を卒業した、まあ、それなりに闊達でスマートないでたちで、小生を除いて、かっこいい青年たちでした。今は無い、４大婦人誌（「主婦の友」「婦人倶楽部」「主婦と生活」「婦人生活」）などの数社と編集業務の代行を行い、小生は写真撮影をしておりました。そんな折、大会社の社長の息子（先にも書いた早大2年を3回）が「明日は長めのストローを持って、早朝、銀座に集まれ！」と言うのです。「何のためにだ」と聞くと「明日は12月25日。クリスマスだ」と言います。その頃はクリスマスイブにはバー、キャバレー。クラブで下心のある男たちがママやお目当てのホステスに酒や肴を飲み食いしながらクリスマスプレゼントをするのが流行っていました。翌日25日は「早朝に銀座のバーやレストランの前に昨夜のビール、高級ウイスキーや酒の飲み残しや食べ残しが沢山出してある。ごみ収集車来る前に、酒をストローで吸い、食べ残しを食べるのだ」と言うので驚きしました。江戸時代からある、上流社会人の侘び、寂び「貧乏ごっこ」のようなもののようです。その後、彼らはどのような人生を送ったかは不明です。

今週の一花　ジャノメエリカ

　ジャノメエリカ。

 

876号 昭和生まれの老翁の面白話。第18話 「早稲田大学生2年3回」 今週の一花 ラナンキュラス ‘グリーン’

私がまだ20歳台で池袋の雑居ビルの一室を借りていたころの話。事務所を1人で借りるのは難しく、アルバイト的な雑誌社の取材やライターなどをやっている3～4人の若者と共同で事務所を借りていました。若者たちは早稲田大学や慶応大学を卒業した者たちでした。中には兄貴が東大に行ったので、「俺は東大より上の大学に行きたい。しかし、行く大学がないので行かなかった」と高卒のままという者もいました。若者の一人に大手建築資材会社の社長の息子がいました。私が「大会社の息子か。すごいな」と言ったら、彼は「何、大会社の社長と言っても雇われ社長だからいつ首になるかもしれない」と言っていました。彼は早稲田大学を3回入学しており、１度も卒業していないのです。親からは大学生活ができる十分な仕送りをして貰っているのですが早稲田大学に入学して2年間授業料を払わず、大学から学籍を外されました。そうするとまた、早稲田大学を受け、入学、2年間授業料を払わず学籍外される。また、早稲田大学を受験、合格、2年間、授業料を払わず学籍をはずされそうになる。早稲田大学に3回入学3回学籍を外されそうになっていました。親からの仕送りを授業料に使わずに何に使ったのはわかりません。彼の周りには不思議と女の影はありませんでした。博打もしない、酒もそれほど飲まない。何に金をて使っていたかわからない不思議な男でした。彼は「今回は卒業しようかな」

今週の一花　ラナンキュラス　‘グリーン’

　ラナンキュラス　‘グリーン’　花弁がグリーンの珍花。

875号 昭和生まれの老翁の面白話。第17話 「高校の生徒会事件？」 今週の一花 ジュリアン

第17話　卒業した高校の生徒会事件？

高校3年の時、通学する高校の次期生徒会会長選挙があった。立候補者に1年生がいた。ところが有ろうことか、その1年生が当選してしまいました。焦ったのは前会長（すでに京大に入学。後に政務次官になる。政務次官は制度は2001年廃止）であった。先月までは中学生で何もこの高校のことを知らない1年生に後を託するのは心もとないと思ったのでしょう、圧力をかけ辞退させたようです。そして再選挙で彼の付き合っている3年生の女子（後に結婚)を立てたのでした。そこで彼女が会長に当選しました。普通、男女共学校では男子が会長、女子が副会長ですが、女子の生徒会長が誕生しました。高校側は生徒会に介入することは全くありません。生徒の自主に任せ、無関心です。校則もありますが犯罪的な行為がなければ全てオーケーでした。朴歯高下駄で通っていた生徒もいました。彼女とは高校時代は知り合いませんでしたが関東在住のミニ同窓会で知り合い、我が家にも来たことがありました。数年前スキルス性癌で亡くなった報せを受けました。冥福を祈ります。

今週の一花　ジュリアン　サクラソウ科

　バラ咲きジュリアン‘ブライダルベル’