◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

今日の秀句/12月14日~20日

2014-12-20 07:45:50 | Weblog
[12月20日]
★球を打ちおりなば夜空から粉雪/多田有花
今年は寒波の来襲で、普段の雪の降らない地方にも雪が積もったりしている。夜のテニスコートだろう。球を打っていると粉雪が舞い降りる。急に冷え込んだ夜の思いがけない幻想的なプレゼント。(高橋正子)

[12月19日]
★忌中告ぐ白木の札や雪激し/内山富佐子
雪が激しく降る日に、忌中の札を見ると、冥福を祈りながらも、人の死の悲しみが、悲痛なまで深くなる。
(高橋正子)

★日輪のいろ水鳥の羽根にあり/川名ますみ
水鳥の羽が日輪の色を置いている。朝の水鳥、あるいは夕べの水鳥か。詩的な水鳥の情景。(高橋正子)

[12月18日]
★湯気のたつ銭湯(ゆや)入口の石路の花/下地 鉄
銭湯の湯気と石蕗の花の取り合わせが、いい。石蕗の明るい黄色、湯気のやわらかな白さに気持ちがなごむ。(高橋正子)

★味噌の香や朝の厨の根深汁/桑本栄太郎
寒い朝の味噌汁の香りはいいものだ。旬の根深の旨さに身がしゃんとする。(高橋正子)

★窓明りに急ぎ起床や今朝の雪/佃 康水
あまりに明るい窓の明かりに寝過ごしたのではと、急いで起床。ところが、窓の明かりは一夜にして降り積もった雪であった。雪が降り思わぬ詩的な世界を得た。(高橋正子)


[12月17日]
北風に掃かれて街の清きかな/下地鉄
元の句は、「や」「かな」と切字が併用されていたが、これは避ける。
北風が吹き、街の塵を一掃し、街は青空も、街並みも清らかになった。北風の吹いた後「清き」と感じるのは、沖縄の暖かさがあってのことだろう。(高橋正子)

[12月16日]
★冬山の鋼の襞の迫りけり/小口泰與
鉄壁のように迫る冬山の厳しさ、力強さに対峙し、冬山を同じような心境に立った作者の姿が見える。(高橋正子)

★ビル街を突き抜けてくる冬日かな/河野啓一
「突き抜けてくる冬日」を得てビル街の風景が改まった。静かでありながら、緊張感と温かさがある。「突き抜けてくる」の率直な実感がよい。(高橋正子)


[12月15日]
★癒えし眼に白山茶花や青み帯び/佃 康水
白内障の手術を終えられて、周囲が新たな景色のように目に映るのではと思う。山茶花の白い花も白が青みを帯びて鋭く目に映る。感覚が冴え冴えしている。(高橋正子)

★翔ぶよりも羽ばたくことよ冬の雁/小西 宏
秋渡って来た雁は、冬の今は地上に落ち着いて、空を翔ぶことよりも、羽ばたいて見せることが多い。雁の美しくはかなげな印象を覆して、現実のリアルな姿が詠まれた。(高橋正子)


[12月14日]
★青色の灯し飾りてクリスマス/河野啓一
青色の灯は、北欧の幻想的な夜を思い起こさせる。また多色の灯りよりも、より現代的、宇宙的なイメージが湧く。 今年はノーベル賞で青色ダイオードが有名になったことも青色の灯りを増やす一つの理由にせよだ。(高橋正子)

★月冴えて地上に流れる賛美歌や/迫田和代
清らかで美しい賛美歌がさらに身に沁みて感じられるのは、月光がさえざえと届くときであろう。地上も聖なるものに満たされる。(高橋正子)
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12 コメント

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デイリー句会投句 (古田敬二)
2014-12-14 08:45:36
★テーブルに冬の菜の花でんと置く
★寄り合いて春蘭冬芽を尖らせる
★全山を一色にして黄葉期
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御礼 (河野啓一)
2014-12-15 12:17:41
高橋正子先生
12/4の投句「青色の灯し飾りてクリスマス」を今日の秀句にお加えくだされ、素敵なご句評を賜りまして誠に有難うございます。
デイケア施設の玄関に最近青いクリスマスツリーが輝いており、幻想的な眺めと同時に、ノーベル物理学賞のことも想い出させてくれております。

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お礼 (迫田和代)
2014-12-15 13:49:43
正子先生い4687
12/14「月冴えて地上に流れる讃美歌や」を 今日の秀句 にお選びいただきとても嬉しいです。そのうえ正子先生の素適なコメント胸に沁みます。有難うございました。
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御礼 (佃 康水)
2014-12-16 18:49:55
高橋信之先生 高橋正子先生
12/15の投句の「癒えし眼に白山茶花や青み帯び」の句を今日の句にお選び頂きまた大変嬉しい句評を賜り感謝申し上げます。白内障で特に右目が0.3位の視力でしたが手術を終え日に日に視力が増し、今では1.2にまで回復しました。病院に着くまでに生垣が有り、八重の白山茶花が咲いています。眼の癒えて深い青みを帯びて汚れのない白の深みを感じました。確かに世の中が明るくなりましたが、家の汚れが目立って見えるのは困ります。
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お礼 (小西 宏)
2014-12-16 20:49:52
高橋正子先生
「翔ぶよりも羽ばたくことよ冬の雁」を「今日の秀句」にお加え下さり、たいへん有難うございました。雁の姿も当地では見ることが少なくなりました。これも思い出の中から甦らせたものです。
長旅を終え生活の中に生きる雁の動きは、先生のおっしゃるように「現実のリアルな姿」です。ただ、「旅」も「生活」も雁にとっては同じように必死な現実なのでしょうが。
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御礼 (小口泰與)
2014-12-17 09:46:01
高橋信之先生、正子先生
12月16日の投句「冬山」の句を今日の秀句にお取り上げいただき、大変にうれしい句評をたまわり、厚く感謝申し上げます。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。有難う御座いました。
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御礼 (河野啓一)
2014-12-17 10:37:48
高橋正子先生
12/14の投句「ビル街を突き抜けてくる冬朝日」を今日の秀九にお取り下されかぶんのご評を賜りましてまことにありがとうございました。千里タウンの朝の寸景をよんだつもりでした。近頃高層マンションへの建て替えが流行っており、あまり好ましいことではないと感じております。
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お礼 (下地鉄)
2014-12-19 14:34:22
高橋正子先生。拙句の「北風に・・・」や「湯気の立つ・・・」
を今日の秀句に選いただき嬉しいコメントまで頂きほんとに有難うございます。 これを励みに奨励いたく心からお礼申しあげます。 これで又続けていけそうです。 心からお礼申し上げます。
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御礼 (桑本栄太郎)
2014-12-19 17:45:54
高橋信之先生、正子先生
12月18日の投句「味噌の香や朝の厨の根深汁」の句を
今日の秀句にお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして
大変有難うございます。
我家では朝食には、パン食が多いいのですが寒い今の
時季になりますと、温かい飲み物が欲しくお味噌汁と
御飯の事もよくあります。
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御礼 (佃 康水)
2014-12-19 20:17:14
高橋信之先生 高橋正子先生
12/18の投句の「窓明りに急ぎ起床や今朝の雪」を今日の秀句にお選び頂き、正子先生には仰る通りの状況の句評を賜り誠に有難うございます。朝起きて辺りの明るさに吃驚、12月の積雪(8センチ)は当地にしては珍しく、辺り一面の銀世界でした。雪は幾つになっても何故か嬉しくなります。
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