1 あんな目をしていた頃があったんだろうって感じの園児の散歩 桑原憂太郎
2 ひとつづつ手放して逝きし先生の面影の見ゆ時雨の中に 柊 明日香
3 ひだまりに佇む肩に訪ね来しつなぎトンボに癒されおりぬ 神林 正惠
4 母が居る大音量のTVの前で何を見るともなく母は居る 緑川 恵子
5 戦火また燃え上がりをり母と子の恐怖に怯える姿痛まし 清水紀久子
6 枝豆の根粒菌を青空に透かしてみればことに美し 安藤のどか
7 朝八時目覚めて入る洗面所 長(おさ)の化粧の残り香の中 白岩 常子
8 白に白を重ねるように真白なる秋明菊は秋の輝き 及川 文子
9 大時化に打ち上げられしホタテ貝競いて渚にゴメと漁りぬ 本間久美子
10 青空を背負(しょ)って美瑛の丘走るポテトハーベスター(ハーベスター)の朱色際立つ 吉田この実
11 半額のケーキは買いだ今回はメロンの切れ端乗っかっている 福屋みゆき
12 「函館の旅来年は必ず」と宣り直したる神無月かな 上野 節子
13 晩秋の日暮れの後の田園にコンバインの灯りゆらめいており 松平多美子
14 年毎にせねばならぬ事増し来るも迷わず行こう光りを求めて 杉本稚勢子
15 生筋子買ふか買はぬか迷ひつつ底値ならむと自転車走らす 鎌田 章子
16 根がいいなら咲く花だって綺麗だと思う私の根は曲がってる 中島ひかり
17 親思う兄達語る饒舌に命日近付き思いふたたび 風無 光子
2 ひとつづつ手放して逝きし先生の面影の見ゆ時雨の中に 柊 明日香
3 ひだまりに佇む肩に訪ね来しつなぎトンボに癒されおりぬ 神林 正惠
4 母が居る大音量のTVの前で何を見るともなく母は居る 緑川 恵子
5 戦火また燃え上がりをり母と子の恐怖に怯える姿痛まし 清水紀久子
6 枝豆の根粒菌を青空に透かしてみればことに美し 安藤のどか
7 朝八時目覚めて入る洗面所 長(おさ)の化粧の残り香の中 白岩 常子
8 白に白を重ねるように真白なる秋明菊は秋の輝き 及川 文子
9 大時化に打ち上げられしホタテ貝競いて渚にゴメと漁りぬ 本間久美子
10 青空を背負(しょ)って美瑛の丘走るポテトハーベスター(ハーベスター)の朱色際立つ 吉田この実
11 半額のケーキは買いだ今回はメロンの切れ端乗っかっている 福屋みゆき
12 「函館の旅来年は必ず」と宣り直したる神無月かな 上野 節子
13 晩秋の日暮れの後の田園にコンバインの灯りゆらめいており 松平多美子
14 年毎にせねばならぬ事増し来るも迷わず行こう光りを求めて 杉本稚勢子
15 生筋子買ふか買はぬか迷ひつつ底値ならむと自転車走らす 鎌田 章子
16 根がいいなら咲く花だって綺麗だと思う私の根は曲がってる 中島ひかり
17 親思う兄達語る饒舌に命日近付き思いふたたび 風無 光子