かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2023年夏季歌会

2023-08-28 15:45:45 | 仲間の歌
1 猛暑日といへど成さねばならぬこと二つ三つあり明日も生きる    安藤のどか

2 川沿いの疎林に一基の歌碑ありて白蓮の声する跡を歩めり      白岩常子

3 辛くても希望も少し湧いてくる夏は胡瓜の塩揉みがいい       福屋みゆき

4 十九年目今年は雨の墓参り夫名の表札独り棲む家          矢島弘美

5 その日には原爆ドームだけ映りそれだけの街ヒロシマになる     緑川恵子

6 「聞いてない」つて夫「言ったのに」と私羽音ひそかに風立ちにけり 本間久美子

7 縄文の土偶のへその懐かしさつよさはかなさ愛しさ覚ゆ       及川文子

8 ポケットを叩けばコインが増えていく手品を君と見ていたことも   桑原憂太郎

9 「母に似て頑固で融通きかぬやつ」夫が告(の)りしを諾ふ 今は  鎌田章子

10 一日に何度も走る救急車見送る度に水を飲みたり          上野節子

11 遠い夏ローソク出せと故郷の辻を巡りし七夕の夜          松平多美子

12 街角の「貸本まんが」 の看板が文字もうすれてひつそりと立つ    清水紀久子

13 「夏祭り」を歌う君の眼ひかってた卒業ライブの役目果たして    杉本稚勢子

14 水をやり育てた道に咲いたのが彼岸花でもあなたと歩む       中島ひかり

15 誰彼を花に例えて笑い合う学生時代の私は杏            北原さつき

16 検査値の数字を見つめ老医師は我が事のごと思案しおりぬ      吹田美津子

17 〝サロベツ〟は宗谷丘陵すすみゆくさみしき魂の欠けらさがして   河原由美子

18 見上げれば天に階(きざはし)薔薇色の太陽の国虹色の海      開羽瑠奈

19 整体の待合室に癒されしスッポン逝きて面影を追う         神林正惠

20 悔しくも激走制し銅メダル円谷選手の遺言に泣けり         櫻井若子

21 夏空にてんつくてんつく伸びゆける木立葵のくれないの花      柊明日香

互選の結果、10票獲得の21番柊明日香が1位、8票獲得の二人は先着順で3番福屋みゆきが2位、5番緑川恵子が3位でした。
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