かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

かぎろひ 6月歌会の歌

2020-06-20 16:48:28 | 仲間の歌
身籠りて労わるる身の苦(にが)しさを吐きたる女(おみな)の言葉迫り来 河原由美子

秀麗な大雪連峰けふもまたキッチンの窓ゆ夫と眺むる        井上 敬子

友達が届け呉れにし大根の肥料袋の新芽がかほる          土蔵 寛二

コロナ禍のさつきの風にチューリップ、れんげう全て黄色に戦ぐ     安藤のどか

美容師の手が代わりしかジグザグからロックミシンのごとき感触     柊 明日香

ひと群れの野に咲く花を残しつつ工場長が夏の草刈る         松平多美子

お日様ありて月もみえたる十五時の通りをあるきて今日を映せり    小山 翔子

いつよりか逢わず年經し寺山の友都忘れの花に想いおり       白岩 常子

中学まで母手作りを着て通いセーラー服は着ずて老いたり      鎌田 章子

コロナ禍に外出自粛の籠る日々さ庭の草取り生き甲斐となす      神林 正惠

花柄の刺繍マスクに施しつ学校再開娘は待ちぬ           智理 北杜

濃緑を映して川は流れゆく六月来れど変事つづけり         西勝 洋一

てふてふの小さな影が通りゆく右に左に緑の庭を          清水紀久子

スポーツも解禁されて少しずつ息吹きかえす日本とわれら      上野 節子

ポツポツとアカシアの花が散りゆくとき変わらずに降れ六月の雨よ   谷口 三郎

新緑の森を揺るがすエゾハルゼミの合唱に吾立ちつくす       吉田この実

公園のベンチにひとり媼居し無心に蟻を杖にてつつく        吹田美津子

お揃いのフィラのTシャツは青空(そら)のいろ児ら駆けてゆくタンポポの路 笹川 淑子
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かぎろひ 5月 北海道新聞夕刊 6月15日掲載歌

2020-06-20 16:46:31 | 仲間の歌
受け口の私は日焼けの注意報下唇で受け取るんです       智理 北杜

堅雪の重み積む屋根が解き放つ春にふすまは泣くをやめをり    加藤多華子

ミニチューリップコロコロと蕾ふくらませ日和の庭に心遊ばす    白岩 常子

車寄せにコンビニ袋が舞い上がり人影のない観光ホテル      松平多美子

街の角を二つ曲がれば行きあえる乳の色せる木蓮の花       下沢 風子

見本にと縄持ち二段跳びをする七十六歳(ななじゆうろく)の夫に喝采  杉本稚勢子

コロナ禍か小鳥も来たらずわが庭の桜の花はふくらみもせで     谷口 三郎

芋ふみて植ゑゆきにつつ味はへり北の大地の繰り返す春を      河原由美子

アスファルトの裂け目隙間にたんぽぽのロゼット状に花盛りなり    丹呉ますみ

過去と未来を指して動きを止めし針昭和の龍頭を巻きてかなしむ    橘  幹子 
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