かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2023年11月歌会の歌

2023-11-18 18:37:14 | 仲間の歌
1 毎日のように何かを捨て今日は裏紙にメモの言葉の山を          上野 節子

2 国道に車を寄せて銀杏を拾う人いて迂回して過ぐ             松平多美子

3 争いを目をそらさずに見ておりぬ空月星が子供が見ている         及川 文子

4 苦しみも大いなる恵みと受け入れて向日葵の花は伸びやかに咲く      安藤のどか

5 荒縄にぐるぐる巻かれた蔓薔薇は棘で噛みつく抗うように         緑川 恵子

6 砂糖菓子まかしたように真っ白な雪の世界に心遊べり           福屋みゆき

7 葉をおとし雪を待つてる樹のやうだ地下水脈に生かされてをり       河原由美子

8 駅前の更地となりし割烹屋おせちの味を今に思えり            白岩 常子

9 機窓より見下ろす白雲そのままを地上は映す黒き影成し          吉田この実

10 咲ききらぬままに残れるバラのあり立冬の朝の雨に濡れつつ        柊 明日香

11 寒さます指編みカバー思い出す母が先生ほどき毛糸で            風無 光子

12 花びらを食べる幸せ菊の香の膾味わう重陽の膳              北原さつき

13 回覧板にバスの減便の告知有りて不安増しゆく冬を向へる         本間久美子

14 私と目があったなら腹を見せ尻尾なんかを振りはじめやがる        桑原憂太郎

15 沈みゆく夕日に照らされし岩礁に立つ白波のしぶきの高し         杉本稚勢子

16 偶像が職業になり願望になって人ではなくなっていく           中島ひかり 

17 雪積みて家内(やぬち)明るしパンの耳のフレンチトースト口に溶けくる   鎌田 章子

18 ネクタイが揃ひて頭を下げる図を何度見たのか 何度見るのか       清水紀久子 
コメント
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