1 毎日のように何かを捨て今日は裏紙にメモの言葉の山を 上野 節子
2 国道に車を寄せて銀杏を拾う人いて迂回して過ぐ 松平多美子
3 争いを目をそらさずに見ておりぬ空月星が子供が見ている 及川 文子
4 苦しみも大いなる恵みと受け入れて向日葵の花は伸びやかに咲く 安藤のどか
5 荒縄にぐるぐる巻かれた蔓薔薇は棘で噛みつく抗うように 緑川 恵子
6 砂糖菓子まかしたように真っ白な雪の世界に心遊べり 福屋みゆき
7 葉をおとし雪を待つてる樹のやうだ地下水脈に生かされてをり 河原由美子
8 駅前の更地となりし割烹屋おせちの味を今に思えり 白岩 常子
9 機窓より見下ろす白雲そのままを地上は映す黒き影成し 吉田この実
10 咲ききらぬままに残れるバラのあり立冬の朝の雨に濡れつつ 柊 明日香
11 寒さます指編みカバー思い出す母が先生ほどき毛糸で 風無 光子
12 花びらを食べる幸せ菊の香の膾味わう重陽の膳 北原さつき
13 回覧板にバスの減便の告知有りて不安増しゆく冬を向へる 本間久美子
14 私と目があったなら腹を見せ尻尾なんかを振りはじめやがる 桑原憂太郎
15 沈みゆく夕日に照らされし岩礁に立つ白波のしぶきの高し 杉本稚勢子
16 偶像が職業になり願望になって人ではなくなっていく 中島ひかり
17 雪積みて家内(やぬち)明るしパンの耳のフレンチトースト口に溶けくる 鎌田 章子
18 ネクタイが揃ひて頭を下げる図を何度見たのか 何度見るのか 清水紀久子
2 国道に車を寄せて銀杏を拾う人いて迂回して過ぐ 松平多美子
3 争いを目をそらさずに見ておりぬ空月星が子供が見ている 及川 文子
4 苦しみも大いなる恵みと受け入れて向日葵の花は伸びやかに咲く 安藤のどか
5 荒縄にぐるぐる巻かれた蔓薔薇は棘で噛みつく抗うように 緑川 恵子
6 砂糖菓子まかしたように真っ白な雪の世界に心遊べり 福屋みゆき
7 葉をおとし雪を待つてる樹のやうだ地下水脈に生かされてをり 河原由美子
8 駅前の更地となりし割烹屋おせちの味を今に思えり 白岩 常子
9 機窓より見下ろす白雲そのままを地上は映す黒き影成し 吉田この実
10 咲ききらぬままに残れるバラのあり立冬の朝の雨に濡れつつ 柊 明日香
11 寒さます指編みカバー思い出す母が先生ほどき毛糸で 風無 光子
12 花びらを食べる幸せ菊の香の膾味わう重陽の膳 北原さつき
13 回覧板にバスの減便の告知有りて不安増しゆく冬を向へる 本間久美子
14 私と目があったなら腹を見せ尻尾なんかを振りはじめやがる 桑原憂太郎
15 沈みゆく夕日に照らされし岩礁に立つ白波のしぶきの高し 杉本稚勢子
16 偶像が職業になり願望になって人ではなくなっていく 中島ひかり
17 雪積みて家内(やぬち)明るしパンの耳のフレンチトースト口に溶けくる 鎌田 章子
18 ネクタイが揃ひて頭を下げる図を何度見たのか 何度見るのか 清水紀久子