かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2021年2月 歌会の歌

2021-02-20 22:17:35 | 仲間の歌
1 鳶(とび)の声(こえ)高く聞こゆるこの夕べ紫陽花いろの雨傘ひらく   笹川 淑子

2 大寒の凍てる夕暮パルプなる煙突の煙ま直ぐに昇る         井上 敬子

3 但馬牛、長野の林檎と取り寄せてかの日旅を時世にさびしむ     白岩 常子

4 うす暗き午前零時の厨にはクモの影のみ壁にうごいて        小山 翔子

5 母ゐなく父親われに愚痴言ふに娘(こ)の言ひ尽くすまでを聴き遣る  土蔵 寛二

6 神楽岡の疎林のむかうに陽は落ちて冬の淋しい風景はあり      安藤のどか

7 離れ住む娘らの声かと背に降る雪のカサコソ聞き入る吾は      吉田この実

8 寒の日の寺参り止めパチンコの店に向かうと老婆はいそぐ      赤間 恒子

9 今日もまた結び目ひとつほどかれた 風で涙を隠して帰る      智理 北杜

10 三人の仲良しがいた茶話会に母はもうなく 淡雪の降る       松平多美子

11 浅春の空の青さや光満つ雪解の音の爽やかにして          神林 正惠

12 オンライン開催となりし冬まつり天ぷら蕎麦の立ち食いならず    西勝 洋一

13 三密の真っ只中に訪ねくれマスク三枚重ねて友ら          櫻井 若子

14 氷から降りられるまで鴨一羽を川の中から見まもる四羽       上野 節子

15 韓国の史劇の中に(シューベルト)のセレナーデ流るる悲劇の場面  吹田美津子

16 断捨離も「お棺に入れる」が増えゆきて溢れるだらうと子は諾はず  鎌田 章子

17 沙羅の木に身をかがめつつ止まりいる二羽のすずめが今朝の吹雪に  柊 明日香

18 動かない心がなづきが動かない吹き荒ぶ雪に巻かるるごとく     清水紀久子

19 春の陽かはたまた冬陽海ちかき広場に積まれし雪嵩に差す      杉本稚勢子

20 切手シート、シャープのマスク当たりたりこの一年によきことあらむ 谷口 三郎
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする