かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2023年6月 歌会の歌

2023-06-17 18:13:20 | 仲間の歌
1ルピナスの紫の濃く群れ立ちて夏への扉開いてゆけり        福屋みゆき

2 気温上昇に上着を脱げばリラ色のスカーフ風にとらわれる     白岩 常子

3バーディを取り損ひしボギーなり迷へる一打はカップも弾く     本間久美子

4 人生をきれいさつぱり初期化してここは空港 夢に飛び発つ    安藤のどか

5 日常が四文字以内に管理されまた増えてゆくパスワード打つ    緑川 恵子

6 絶望は日常の中に待ち受けて 例えばティッシュを洗濯したとき  北原さつき

7 九十二歳の採りし独活の香満ちみちてキッチンはいま五月をうたふ 鎌田章子

8 レクサスとメルセデスとに挟まれた軽自動車を発進させおり    松平多美子

9 雪に折れ三年経て咲くライラック厨の窓辺に紫揺らす       吉田この実

10 焼きたての食パンちぎった指先は朝の日曜日って感じの春で    桑原憂太郎

11 雷は光と音でできていて君はどちらに怯えているの        中島ひかり

12 吹く風に葉裏を見せる庭の木を窓辺に立ちていたわりおりぬ    神林 正惠

13 兄逝きて一族憩う実家無し夜半の雨音淋しく聞こゆ        櫻井 若子

14 老舗なる「おもちゃのたもちゃん」空き店舗に昼呑みの店 長居はキケン 上野 節子

15 蕎麦がきが好きだった父思い出の中でたびたび母が作りおり    柊明日香

16 手をつなぎ一周遅れのグランドを走る君らの未来に拍手      杉本稚勢子

17 雨あがりの草の間(あわい)にひっそりと夏をしらせる小さきカタツムリ 及川 文子

18 芍薬の白ふつくらと開きたり友のやまひを思ふ朝に        清水紀久子

コメント
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