かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

5首合評 9月号2

2010-10-21 21:09:33 | 仲間の歌
五首合評  10年度  9月号2
                         抄出 柊 明日香
紫木蓮の花のひとつが開くとき残る蕾みが聞き耳立てる   早川 淳子

何年も何千年も雲浮かべ藍色冴えて空老ゆるなし      反怖 陽子

眼はテレビ耳はラジオに夕食の箸使いつつホームラン聴く  早坂 信子

退職の記念に求めし鳩時計十年待たず故障いくたび     井上 敬子

特急が通過して行く無人駅廃家ならび黄水仙咲く      中澤 直子
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十月歌会の歌

2010-10-21 21:07:19 | 仲間の歌
飛びたちし喉の蝶の代りとぞ日々に六錠のめど怪しき         清水紀久子

流線型、上、上、かさね入道雲山並みも消え芒ぞ侘し         久保田一恵

さびしきよ老いてゆ友と別るるは花舗にピンクの花を選びぬ      早坂 信子

タクシーで近くの店へ出でてゆく「寝たきり」「居たきり」怖るる母は  香月千代子

十月の朝露まとい朝顔は今日も咲いてる 頑張れ私          智理 北杜

鳥の群れ急旋回を繰り返す三日月のかげあはき夕空          松倉美知子

深山に巣を張り獲物を待っている蜘蛛の時間をわれは持たざる     西勝 洋一

鉄路みなその錆色のおだしきに時のま鋭く光る線見ゆ         石山 宗晏

忙しなくほつえしずえを渡りいる日雀にわが眼しばし奪わる      柊 明日香

雲間より枝も真白き岳樺を探して下る姿見の池(すがたみ)は晴れ   鎌田 章子
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9月号合評1

2010-10-21 21:05:01 | 仲間の歌
             抄出 北原さつき

陽は空を金魚は水中およぎゐてつつがなきかな 春はゆきたり         香月千代子

遠き日の伝言板に雨の降りわが初恋を思いいづるも              柊 明日香

たましひはいづくを巡るか知らねども光の方へ光の方へ            安藤のどか

いくつかの青くさき恋しのばれて絹さやの筋を夕べ取りゐる          高 みつる

ジグゾーパズル完成させて足らひをりこんな小さな仕合せでいいか       清水紀久子
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9月歌会のうた

2010-10-21 21:01:45 | 仲間の歌
今日の俺は厳し過ぎたな 上弦はもう西の空へ沈まんとする      智理 北杜

眠り足りて窓辺に寄ればうつすりと霧のかかれり九月の朝       松倉美知子

四十年を共に歩むもまだ遠し程よく染みるおでんの味に        清水紀久子

幾年も風雨に耐えし樹の肌に蔓からませて咲く花もあり        蒔田 明嗣

ドキッとす草とる先に蝉の空いづこの樹とも鳴け泣け一生と      久保田一恵

いわし雲鳳凰のごとき象して夕映えの空を悠然とゆく         石山 宗晏

愚痴言えば時々にゃあと返事する 人はつらいね 猫になりなよ    北原さつき

来客の忙しき夏もやっと過ぎひととき憩う樺の林に          柊 明日香

大雪山を見放くる丘に眠りいる友の墓石を夏の陽が焼く        西勝 洋一

長かりし夏の終りを友に書くハガキ一枚茶房の隅に          早坂 信子

ふりむきもされずに確と伸びてゐる自転車やさんの窓辺のサボテン   香月千代子

たはむれに実力テストに挑戦す中卒程度と侮るなゆめ         鎌田 章子

四階の段を上れば懐かしい人達がみな待っている           吉川さとる
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