かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2023年新年歌会

2023-01-21 21:34:18 | 仲間の歌
1 走りゆく犬に引かれて老人の拙き歩みを危ぶみてみる         安藤のどか

2 竹ぐしのすいっと通る大根の素直さをもて生きてゆくべし       及川 文子

3 大任を終えし安堵か信号を待つ消防車ゆるゆる続く          白岩 常子

4 並木路に赤き実たわわのナナカマド炎のごとく雪に燃え立つ      吉田この実

5 春を乞うごとくに冬至を待ちおりし日脚伸びゆく暮れの西空      櫻井 若子

6 良い事がきっとあるはず梵鐘の余韻に卯年の光がのぞく        杉本稚勢子

7 電線を烏が一羽飛びたてり放つたやうに雪を蹴散らし         清水紀久子

8 センターのポインセチアが葉牡丹に居場所を譲る暮れの窓辺に     松平多美子

9 娘にもまた娘いて楪の如き女系の家族なりけり            北原さつき

10  命さえ消えそうだった君が吹くシャボンは高く長く舞い飛ぶ      中島ひかり

11 新雪に太陽の映えきらめくは令和五年の運勢や吉           神林 正惠

12 いくたびも黒豆覗き機嫌みる小鉢に少しの願いを込めて        緑川 恵子

13 地平線昇る日輪卯の年を連れて明けるや新春の朝           風無 光子

14 群青のうねり迫りて散る波の轟きわたる厳寒の海           河原由美子

15 人生で今が一番幸せと言う奴なんて轢かれてしまえ          桑原憂太郎

16  パンの耳にてフレンチトースト作る子よ日曜の朝の少し華やぐ     鎌田 章子

17  朝から空晴れ渡り部屋ぬくく睦月の二週迎えてうれし         土蔵 寛二

18 入院し半年以上戻れない入所者の部屋にも差す初春(はる)の陽     上野 節子

19 割り切れば何でもできると君は言うオンザロックをぐいっと空けて   柊 明日香


互選により10番の中島ひかりさんが9票で一位、二位は15番桑原憂太郎さんで7票。
三位から六位までは6票で先着順で、三位は3番白岩さん、四位は8番松平さん、五位は14番河原さんでした。
お互いに忌憚ない意見を出し合えて楽しい歌会でした。

コメント
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