かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2020年9月歌会の歌

2020-09-19 17:19:32 | 仲間の歌
1 坪畑に収穫叶いしミニ西瓜帰省の娘と舌鼓うつ          神林 正惠

2 十年余われに添ひゐしTシャツの薄くなりしをまたも着てをり   鎌田 章子

3 夕風に稲穂はゆれて農夫ありさながらにして「ミレーの晩鐘」   白岩 常子

4 頬づえ指で感じた柔らかき伸びたうぶ毛はマスクの下に      加藤多華子

5 「一億」や「輝く女性」に「改革」と看板だけで夏は終わりぬ   谷口 三郎

6 秋の気配道の端(は)に早しのび来てしだれて咲ける萩の白はな    笹川 淑子

7 天窓のひかり眩しむ朝なり二階の踊り場ふくらみ映ゆる      土蔵 寛二

8 まだ青の色濃く残るインゲンと蜻蛉に詫びつつ支柱外せり     松平多美子

9 桔梗(きちこう)の一輪咲きぬ秋風に吹かれて種を結びし傍へ    清水紀久子

10 電線で列をなしたる鴉には暦あらめや塵の日知るに       小山 翔子

11 荷さばきの指先速やか若き主婦百均製品器用につかいて     杉本稚勢子

12 「目が見えるようになりたい」短冊が盲人施設の壁に貼られて  上野 節子

13 萎れたる松葉牡丹に一杯の水そそぎゐる涼風のなか       安藤のどか

14 美術館に「京の美術」を観て回り麦僊の「罰」をいとしみて観き 井上 敬子

15 邯鄲の声を聞きつつ夕風に涼みておれば君を偲ばゆ       西勝 洋一

16 「普通」という隠れ蓑にて安穏としている多数派という暴力   智理 北杜

17 足裏に秋の気配を感じつつカーテン開く 朝が始まる      柊 明日香

18 夕風に岸辺の葦(ヨシ)の葉が揺れる穂の上(え)に見るはヨシキリの幻影(かげ)   吹田美津子

19 指先を翳せばネイルアートのごと蜻蛉の止まる私のネイル    吉田この実

20 野の花を色とりどりに手折りたる秋の香匂う玄関華やか     風無 光子
コメント
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