1 お母さん たいへん苦労をかけました母の姿にまだ及ばない 安藤のどか
2 ふわふわの雲に乗っけた悲しみよどこか遠くへ飛んでいってね! 上原詩穂子
3 山道を峠二つで日本海オロロンライン ツーリングと併走 矢島 弘美
4 気がかりの白内障の手術終え見廻り明りて幸せ深し 神林 正惠
5 梨の木に鳥の巣在りて我が庭に新たな命育まれ居り 神林めぐみ
6 使われて使われ疲れ歯ブラシは未だキッチンの蛇口を磨く 白岩 常子
7 雨の夜壮絶な音と光り電柱に雷が落ち怯えてゐる我がゐる 小城 悠子
8 草刈りの騒音の中三角の夫の竹笠左右に揺れる 緑川 恵子
9 大吟醸独り酌む世のゆたけきよ 一人呑む夜のうらさびしさよ 竹内 幹夫
10 廃屋の玄関脇に一本の角スコップは錆びて立ちおり 松平多美子
11 寂しさに手に取るスマホ会話せずひとりびとりが孤独なる塔 福屋みゆき
12 この本の君の思いを消さぬよう栞の位置を変えずに返す 深山すみれ
13 雨去りて碧き稜線見え隠れ霧の衣の淡くたなびく 宗方 信子
14 盆迎え親の命日忘る歳実家の過去帳そっと開き見る 風無 光子
15 AIやスマホにタマシイ抜きとられこゑをあげたしわれは人間 斎藤嶺 也
16 みしみしとせまる緑にのまれゆく社の森におぼえある花 河原由美子
17 一葉に汝(なれ)が書きにし春の誌(うた)根づきて壁に息をしてゐる 土蔵 寛二
18 森の奥わけいつてゆく蝦夷鹿(ユク)の群れおのもおのもの蛍を追ひて 大関 法子
19 見知らねど歌に惹かれし人の訃よ鯖三枚に下ろして炊かん 鎌田 章子
20 ホームに佇つ我が脇すり抜け跳びたてる名知らぬ虫は碧き宙(そら)へと 杉本稚勢子
21 自転車のベル鳴らし来しアイス売り握りしめたる五円はおぼろ 湯浅 純子
22 塀を超す白立葵はさわやかに咲き上がるなりまだ伸びている 丹呉ますみ
23 もう少しちゃんと育てておけばって言うお母さんのもう少しって 桑原憂太郎
24 真夏日はUVカットでおさへても炙りだされるハートのくすみ 並木美知子
25 立葵の搖れいるままに花虻は花粉にまみれて脇目もふらず 及川 文子
26 合歓の花きれいだったよ大連は引き揚げ船で帰りし母は 長谷川光子
27 反り返り反り返りつつ幼子は翼のやうにシンバルを打つ 斉藤 純子
28 夫や子の留守を一人で帰省せし娘はむすめの顔となりをり 本間久美子
29 子等の住む街も揺れしと告げてゐる緊急地震速報ののち 清水紀久子
30 人間は十人十色と言うわりにいざという時潔白が要る 中島ひかり
31 地震に戦争、災害、温暖化このままいけば地球は壊れる 上野 節子
32 臙脂色のオープンシャツを手に取れど着せたき父はこの世におらず 柊 明日香
互選の結果
一位は詠草番号12番の深山すみれさん。得点は20票
二位は詠草番号27番の斉藤純子さん。得点は11票
三位は詠草番号6番の白岩常子さん。得点は9票
四位は詠草番号23番の桑原憂太郎さん。得点は8票
五位は詠草番号26番の長谷川光子さん。得点は8票
(同点の場合は先着順)
選者賞として
桑原賞(かぎろひ詩社代表の桑原憂太郎選)は詠草番号21番の湯浅純子さん
大関賞(新墾選者、本日の講師)は詠草番号10番の松平多美子さんでした
2 ふわふわの雲に乗っけた悲しみよどこか遠くへ飛んでいってね! 上原詩穂子
3 山道を峠二つで日本海オロロンライン ツーリングと併走 矢島 弘美
4 気がかりの白内障の手術終え見廻り明りて幸せ深し 神林 正惠
5 梨の木に鳥の巣在りて我が庭に新たな命育まれ居り 神林めぐみ
6 使われて使われ疲れ歯ブラシは未だキッチンの蛇口を磨く 白岩 常子
7 雨の夜壮絶な音と光り電柱に雷が落ち怯えてゐる我がゐる 小城 悠子
8 草刈りの騒音の中三角の夫の竹笠左右に揺れる 緑川 恵子
9 大吟醸独り酌む世のゆたけきよ 一人呑む夜のうらさびしさよ 竹内 幹夫
10 廃屋の玄関脇に一本の角スコップは錆びて立ちおり 松平多美子
11 寂しさに手に取るスマホ会話せずひとりびとりが孤独なる塔 福屋みゆき
12 この本の君の思いを消さぬよう栞の位置を変えずに返す 深山すみれ
13 雨去りて碧き稜線見え隠れ霧の衣の淡くたなびく 宗方 信子
14 盆迎え親の命日忘る歳実家の過去帳そっと開き見る 風無 光子
15 AIやスマホにタマシイ抜きとられこゑをあげたしわれは人間 斎藤嶺 也
16 みしみしとせまる緑にのまれゆく社の森におぼえある花 河原由美子
17 一葉に汝(なれ)が書きにし春の誌(うた)根づきて壁に息をしてゐる 土蔵 寛二
18 森の奥わけいつてゆく蝦夷鹿(ユク)の群れおのもおのもの蛍を追ひて 大関 法子
19 見知らねど歌に惹かれし人の訃よ鯖三枚に下ろして炊かん 鎌田 章子
20 ホームに佇つ我が脇すり抜け跳びたてる名知らぬ虫は碧き宙(そら)へと 杉本稚勢子
21 自転車のベル鳴らし来しアイス売り握りしめたる五円はおぼろ 湯浅 純子
22 塀を超す白立葵はさわやかに咲き上がるなりまだ伸びている 丹呉ますみ
23 もう少しちゃんと育てておけばって言うお母さんのもう少しって 桑原憂太郎
24 真夏日はUVカットでおさへても炙りだされるハートのくすみ 並木美知子
25 立葵の搖れいるままに花虻は花粉にまみれて脇目もふらず 及川 文子
26 合歓の花きれいだったよ大連は引き揚げ船で帰りし母は 長谷川光子
27 反り返り反り返りつつ幼子は翼のやうにシンバルを打つ 斉藤 純子
28 夫や子の留守を一人で帰省せし娘はむすめの顔となりをり 本間久美子
29 子等の住む街も揺れしと告げてゐる緊急地震速報ののち 清水紀久子
30 人間は十人十色と言うわりにいざという時潔白が要る 中島ひかり
31 地震に戦争、災害、温暖化このままいけば地球は壊れる 上野 節子
32 臙脂色のオープンシャツを手に取れど着せたき父はこの世におらず 柊 明日香
互選の結果
一位は詠草番号12番の深山すみれさん。得点は20票
二位は詠草番号27番の斉藤純子さん。得点は11票
三位は詠草番号6番の白岩常子さん。得点は9票
四位は詠草番号23番の桑原憂太郎さん。得点は8票
五位は詠草番号26番の長谷川光子さん。得点は8票
(同点の場合は先着順)
選者賞として
桑原賞(かぎろひ詩社代表の桑原憂太郎選)は詠草番号21番の湯浅純子さん
大関賞(新墾選者、本日の講師)は詠草番号10番の松平多美子さんでした